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気になったニュース#33 【姿を見せた!銀河系中心のブラックホール】

私たちが住む銀河系(天の川銀河)の中心に、ブラックホールがあることを実観測できたとの記事です。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC071000X00C22A5000000/

今まで理論上の存在は確認されていましたが、銀河系の中心のブラックホールを実際に観測できたのは初めてになります。
『いて座A*(エー・スター)』と名づけられたその天体は、ブラックホールであると考えられていたものの直接的な証拠はありませんでした。今回の観測によって、いて座A*がブラックホールであることの証明がされました。この大質量のブラックホールは、なんと太陽400万個分もの質量を持つ天体なのだそうです。

2019年には、同様の手法でおとめ座のM87にあるブラックホールの姿を捉えたことで大変な話題になりました。
その手法というのは、世界8カ所の電波望遠鏡を連動させ、地球規模の巨大望遠鏡を仮想的に実現させるというものです。
厳密にはブラックホールは光すら飲み込んでしまうため、それ本体の姿を撮影することができません。そのためブラックホールの外側で発生する電波を詳細にとらえ、データを解析してブラックホールの「黒い影」を撮影することができたのです。

「ブラックホール」という概念が誕生したのは1905年にアインシュタインが提唱した相対性理論に端を発します。
当初はブラックホールの存在が実在するとは考えられておらず、そのように考えれば辻褄が合う、といっただけの数学上の問題だと思われていたのですが、研究が進むにつれてブラックホールの実在が確実視されていきました。
それから100年が経ち、冒頭で紹介した仮想望遠鏡によってM87のブラックホールが史上初の撮影をされたのです。M87はおとめ座銀河団の中核をなす銀河で、その中心には太陽の65億倍もの質量を持つブラックホールがあることが知られていました。いて座A*と比べても約1500倍の質量があり、気が遠くなるほどの大質量です。

そして今回、私たちが住む天の川銀河の中心にあるブラックホールが撮影されましたことで、この2つの質量の違うブラックホール同士の比較から新たな発見がおそらくたくさん見つかることでしょう。すでに議論されている点としては、大質量のブラックホールでは常に見られる「ジェット噴射」が、いて座Aからは観測できないということです。いて座Aは大質量のブラックホールとしてはかなり小さめです。本当であればジェット噴射が噴出されているが単に観測できないだけなのか、それともジェット噴射そのものが出ていないのか、議論がされています。

宇宙にはまだ分からないことがほとんどです。宇宙を満たしているブラックマターの存在や、現在唱えられているビッグバン理論、インフレーション理論などに関しても、いずれ新たな事実が判る日が来るかもしれません。
宇宙の神秘が解き明かされる可能性に、期待しています。