気になったニュース#26【海はビッグデータの宝庫】 2022.4.28
「ロボット船」と呼ばれる無人運航船とビッグデータを用いて、中国の企業が新たな価値創造に取り組んでいるという記事です。
2019年に設立された「北京海舶無人船科技(AquaHelpers)」は独自の無人運航船の開発・製造を手掛けています。同社の無人運航船は、自動運転車にとって一般的なLiDERなどのセンサー類を備えているほか、水質観測装置、サイドスキャンソナー、シングルビーム、ドップラー流速計などの水中機器も備えているとのことです。
耳慣れない機器名たちですが、サイドスキャンソナーとはソナーを用いて海底面を画像として捉える装置で、シングルビームとは水深を計測する装置、ドップラー流速計は被測定物にレーザ光をあて移動もしくは回転する物体の速度を測定する装置のことです。
海はしばしば「第二の宇宙である」とか、「深海は宇宙よりもたどり着くのが難しい」などと言われます。人類が未だ海について分からないことだらけであるということの表れでしょう。
ですから水面および水中のデータはとても高い価値を持っており、そこで調査した膨大なデータを蓄積し、ビッグデータとして活用しようというのです。将来的には水域の安全保障、水中の生態系観測、水中スキャニング、事故や災害対応分野という4つの領域に活用しようとしているとのことです。
また日本においても、無人運航船の取り組みがされています。
日本の国土は実に6800もの島々からなっており、旅客船の数では世界の15%をも占めている旅客船大国です。
船が日常の足となっている地域も多く、それだけに自動運航する船が実現すれば活用される機会も多いでしょう。日々の交通だけではなく、離島観光の足となることも期待されます。
ただ技術的に自動運航船が実現できたとしても、現在の法律では小型船であっても必ず船舶免許を持つ乗員が乗り込む必要があるため、完全自動運航の船を走らせることはできないそうです。
現代ではロジスティックスが発達し、インターネットで注文した品物が翌日には届くというような便利な時代になりました。
また海外からの輸送も気軽にできるようになり、なにやら飛行機に積み込まれた物品が大陸を超えて運ばれてくるようなイメージがあります。
それに比べて、船での輸送はなんとなくひと昔前の輸送方法であるような気がしてしまうのは私だけでしょうか?
ですが、実のところ貨物の99%は現在でも船で運ばれているのです。
日本においては輸出入で運ばれる貨物の99.6%は船便で運ばれており、飛行機で運ばれるのはたったの0.4%でしかありません。
いったいなぜこれほど船が活用されているのでしょうか?
実は船という輸送機関には、他の方法に比べて圧倒的に高い経済性があります。
一般的な貨物船であれば鉄道の2~4倍の輸送効率があると言われています。さらに、効率の良いタンカーであれば鉄道の10倍ほど、自動車と比べると100倍の輸送効率があります。
それは原付のバイクで例えると、30トンの荷物を引いていることになるそうです。
そのように現在でも船というのは輸送の主役になっているのです。