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気になったニュース#31 【かけばかくほど痒くなる原因が判明】 2022.5.11

九州大学の津田誠主幹教授ら研究グループが、アトピー性皮膚炎などで慢性的なかゆみを引き起こす原因たんぱく質を発見したとのことです。

https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r4/press20220502.pdf

発見されたのは「NPTX2」というタンパク質で、皮膚をひっかくことでかゆみを感じる神経細胞の活動を高めることがわかったとのことです。
私自身も軽度のアトピー性皮膚炎がありますので、「かけばかくほどかゆくなる」という感覚がよくわかります。
皮膚科医に「かかないことが一番の治療法」と言われたことがありますが、わかっていてもかいてしまうのは困ったことです。

小学生のころ、学校の図書室で読んだ学習マンガではかゆみのメカニズムとして、皮膚では弱い痛みとして知覚している刺激を脳では痒みと認識してしまうのだと書いてありましたが、どうやら近年の研究においては痛みと痒みは別の神経回路だと判明しているのだそうです。

研究グループの津田教授は「慢性的なかゆみを鎮める治療薬の開発に向けた大きな一歩」と言っているそうで、痒みを鎮める薬ができたら大変画期的だなと思います。
まだ「かゆみの原因となるたんぱく質が見つかった」という研究結果の段階ですので、今後治療薬として流通するまでにはまだマウスなどを使った基礎研究から始まって、臨床試験の第1から第3フェーズを通らなければなりませんので、現状では実現可能性があるとしか言えない段階の話だと思うのですが、それでもかゆみに悩まされている人々にとっては大変夢のある話だと、期待してしまいます。

蛇足ですが、よく何らかのサプリや治療法において「マウスを使った研究で素晴らしい成果が出た」というような謳い文句がありますが、それはまだ基礎研究の段階にあるレベルの話ですので鵜呑みにはできません。それからさらに臨床試験を何度も重ねてようやく一般の医療機関で処方される薬になったり、治療法として確立することになります。
一般的に、病院で処方される薬は基礎研究で実験される段階から1万分の1ほどの倍率をくぐり抜けているそうです。
そう考えると、病院で処方される薬や治療法というのは、それほどの倍率を勝ち上がったスーパーエリートだと言えます。
なのでマウス実験の結果をもってあたかも革新的なものであるかのように言及されている意見には、注意が必要です。
(決して記事冒頭の研究のことを指しているのではありませんので、誤解しないようご注意ください)