見出し画像

出版1周年記念会 in 大阪の開催報告③

出版1周年記念会 in 大阪のラストは、私が登壇させていただきました。

タイトルは、「キャリアコンサルタント × ジェンダー」について。

ちょっとお堅いテーマとなりましたが、今回はキャリコン資格者の方が何人も参加されていたのと、これからの私たちの取り組みとして「キャリコン×ジェンダー」に力を入れていきたいと思いから、このような流れになりました。

そして、サブテーマとして、昨年の商業出版の舞台裏についても、少し触れさせていただきました。神田さんとの共著ですが、企画書の立案とか出版社とのやりとりなどは私がメインでやっていたので、そのあたりのことについて、率直に振り返ってお話しをしました。



みなさんは、キャリアコンサルタント(キャリコン)という資格をご存じでしょうか?

2016年から国家資格となった比較的新しい資格ですが、72,567人(2024年3月末現在)の登録者がいることから、いろいろな資格制度の中でも、まあまあ母数の大きな方だということができます。

仕事の内容、社会的な役割としては、職業の選択や職業生活設計、能力開発などの相談指導を行う専門家と位置づけられています。



ところが、キャリコンの資格取得のための講習内容は偏っているのが現実で、更新研修なども含めて、基本的には、①新規採用、②中途採用、③女性が中心(最近はこれに高年齢者などが加わる)というのが実際です。

10人に1ともいわれるLGBTQなどのマイノリティへの支援体制は乏しいというのが現段階での悲しい実態であり、もちろん個人的な興味関心や研鑽などによってこういったテーマに取り組む人もいるとはいえ、なかなか全体には広まっていないといえます。



一方で、キャリコン資格者をめぐる平均的な経済状況は必ずしも良好とはいえず、労働政策研究・研修機構が平成30年に発表したによれば、「200〜400万円未満」が「33.2%」ともっとも多いとされています(労働政策研究報告書No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査 労働政策研究・研修機構 平成30年発表)。

このような問題意識をもって、2021年に大阪で一般社団法人を立ち上げ、キャリコンをはじめとする有志のメンバーで活動をはじめている思いと実情から、今回のお話しをはじめさせていただきました。ちなみに、私たちの協会では、以下のような設立趣旨をおいています。

当法人は、ジェンダーに関するキャリアコンサルティング及びその関連領域に関する研究、調査、助言指導、啓蒙活動などの普及及び向上を促進し、もって、人々がジェンダーによって差別されることなく、それぞれの特性に応じた有意義なキャリア開発を通じて、豊かな職業人生を送れることに寄与することを目的とし、その目的に資するために次の事業を行う。(以下略)

一般社団法人ジェンダーキャリアコンサルティング協会 設立趣旨



キャリコンである私たちが、広い意味でのジェンダーのテーマに真剣に取り組む上での思い。それは、ひとことでいえば、つぎのようなものです。

同じ仕事でも “ひとりひとり” 見方は違う
過去の経験や個人の価値観に影響をうける

適職探しには“そのひと”の理解が不可欠
専門性を武器に、ありのままの伴走者を
           


ダイバーシティ、SOGI が毎日のように語られる今、ジェンダーをめぐる揺らぎが真剣に問われています。

私たちは、ジェンダーに関わる諸課題への理解を深め、一人でも多くの人々が、ジェンダーにとらわれない平等なキャリア形成を築けるよう、キャリアコンサルティングを広めていきたいと考えています。

そのためにも、キャリアコンサルティングの視点から、ジェンダーをめぐる現在的なテーマについての最新の情報を整理し、共有する活動に取り組んでいきたいと思います。

当日は、今後の取り組みの具体的な見取り図についても、触れさせていただきました。多くのみなさんから積極的な発言をいただき、その後の交流会でも予定時間を上回るほど盛り上がりました。



後半のパートでは、出版の舞台裏についても、少しお話ししました。

実際に共著者2人がどんな思いで企画を考えたのか。出版社とのやりとりの流れはどうだったのか。具体的に苦しんだこと、そして出版して良かったことは。そして、これから出版を目指す人へのメッセージ。

最近は東京だけでなく、大阪やその他の大都市はもちろん、地方でも出版に興味があったり、実際に著者という人としばしば出会います。

私たちの活動はまだまだ小さなものの過ぎませんが、こうしたコミュニティが少しずつ発展していったらいいなという思いで、これからに向かっていきたいと思っています。



今回は、本書の中で紹介しているテーマを2つほど取り上げて、参加者とみなさんと一緒にシェアするという時間をとりました。以下はそのうちの1つです。

いろいろな角度から議論が可能であり、またさまざまな意見や考え方があるテーマだと思いますが、それゆえにこうしたリアルな場で交流をはかることの意義も小さくないのではと思います。

なぜ男性はスーツを着なければならないのか?

ビジネスシーンでは決まって男性はスーツを着ることを義務づけられ、女性は男性よりもカジュアルな服装が認められがちです。就職活動のときは男女問わずリクルートスーツなのに、社会人になるとあっという間にこのような違いが生じることに疑問を持つ人は少なくないと思います。

本書では、このような取り扱いの違いや社会的な慣習の背景には単なる表面的なドレスコードにとどまらない根深いジェンダー問題がひそんでいると理解し、さまざまなハラスメントや人間関係の軋轢などのテーマにつながると仮説しています。本質的な「女性差別」の解消に向けた見取り図を射程にしていることも踏まえて、何気ない慣習にひそむ根底的なテーマに迫ります。

神田くみ・橘亜季著『男はスカートはいてはいけないのか?』



最後に、みなさんの生の声を聞かせてくださいというお願いをしました。

・こんなことで困っている、悩みがある

・キャリコンとしてのご意見やご感想

・具体的な事例や学びの共有などを通じてのお言葉

こうしたお声やノウハウをともに共有させていただくことを通じて、前回とは形は異なりますが、私たちが関わる次の本の執筆・制作にご協力いただけたら嬉しいと考えています。

また、いつもnoteをご覧いただいているみなさんの中にも、具体的な事例の共有や、執筆などへのご協力をいただける方がおられましたら、まずはメッセージをいただけたらと思います。

いつもお読みくださいまして、ありがとうございます。

学生時代に初めて時事についてコラムを書き、現在のジェンダー、男らしさ・女らしさ、ファッションなどのテーマについて、キャリア、法律、社会、文化、歴史などの視点から、週一ペースで気軽に執筆しています。キャリコンやライターとしても活動中。よろしければサポートをお願いします。