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女性総理が誕生してほしい理由

週末は台風一過の晴天で、また一瞬季節が戻ったみたいですね。
衣替えですが本格的に秋物をたしなむのは少し先にして、半袖ニットとか七分のトップスとかこの時期しか着れないものを楽しみたいですね。

自民党の総裁選が終わりましたね。このところネットでもテレビでも政治の話題ばかりです。大方のメディアの予想に反して岸田さんの圧勝でしたが、4人の候補者による選挙戦は見ていてとても勉強になりました。

第100代の総理大臣が誕生して新たな時代が始まることになりますが、岸田さんといえば地味ですが人柄が良いことで有名ですね。まずは新たに日本の舵取り役になる新総理に期待したいものです。



今回の総裁選は、4人の候補者のうち2人が女性候補ということで話題になりました。今まで女性が候補者になること自体があまりなかったのですが、初めて複数の女性候補が出て堂々と論戦を戦わせる姿を見て、時代が変わってきたなと思った人も多いと思います。

それぞれ、政策もバックボーンも人柄もまるで違いますが、各候補者のディベートがネットで即時に配信される時代ですから、リアルな臨場感のままに雰囲気や空気感までもがそのまま伝わってきます。

そんな様子を見ていて思ったのは、政治家の世界でもやはり男性と女性とでは持ち味が違うけれど、それぞれにかけがえのない魅力があり、それがその人の思考や選択や行動を後押ししていくことで、新たな可能性が導かれていくということ。

当たり前といえば当たり前ですが、今までは事実上の総理大臣の候補になる人は男性しかおらず、なおかつそれなりのお歳の方に限定されていたので、総理=おじいさんという絵に暗黙のうちに慣れてしまっていたのかもしれません。

日本でも女性総理の誕生を願う声は昔からありますが、それが現実のものになりそうなリアルな感覚でとらえられるようになったのは最近だと思います。ある人がメディアで「日本で女性総理が誕生するには10年はかかる」とコメントされていて、なるほどと思ったこともありますが、今回の総裁選でだいぶ下地ができたから、肌感覚としてはその道のりはかなり短縮されたような気がします。

うまくいけば岸田さんが頑張られた次は女性総理。このような絵は、もう夢ではないかもしれません。



私が女性総理の誕生を待望するには、理由があります。

ひとつには、男女平等の実現。女性差別の解消。女性活躍の推進。世の中の半分は女性なわけですから、日本のリーダーである総理大臣も理屈の上では2回に1回くらい女性が務めてもおかしくない。それが過去1回も実現していないことの方が、むしろ不思議なくらいです。

もうひとつは、まずは1回でも女性が日本のリーダーになることによって、実は男性社会の矛盾や閉塞感や生きづらさも浮き彫りになると思うから。女性のリーダーが誕生することで、今までにはなかった変化が訪れて、「時代が変わってよかった」と思うのは、女性だけとは限らないはずです。

日本の男性社会は、本当に特殊な社会です。感情を表に出してはいけない。自分の悩みは自分で解決しなければならない。最低毎日8時間働くのを定年まで続けるが常識。仕事が趣味なのが美徳。定年を迎えたら特にやりたい趣味はない。職場に私服を着てきてと言われると困る・・・

まだまだありますが、この種の話は挙げたらキリがありません。もちろん、同じ男性とはいっても人によって温度差はあるでしょうし、さすがに若い世代ではかなり価値観は変わってきています。気の利いた私服がないなんていう人は少ないかもしれません。でも、これらのあまりにも不思議とも思われる傾向は、今なお日本の男性社会を色濃く覆っています。



真っ白なキャンバスに絵を描くように、心を無にして自分の頭で冷静に考えたらおかしいと思うことでも、旧来からの惰性でみんなが疑うことなく従ってきている慣行や多数意見には、疑問を持ったり個人の意見をぶつけたりするのは難しいものです。これは組織が均質化しているときには特にそうです。同じような経歴で、同じ背格好で、同じスーツを着て、同じようなキャリアを歩んできたら、ある日突然、根本的な疑問を呈するというのは難しいのです。

もちろん、これは戦後の日本のビジネス社会=男性社会の強みでもありました。みんなが同じ目標を掲げて、力を合わせて結果に向けて結束していくには、均質的な組織はこの上ない力を発揮したのです。キャリア開発の上でも、労務管理の上でも、このような組織は高いパフォーマンスを持ちました。ともすれば「金太郎飴」とも揶揄される日本の均質的な組織は、ある時期までは欧米人がうらやむ輝かしい特性だったのです。

でも、時代は変わりました。今は、年齢や性別はもちろん、雇用形態の違いも乗り越えて、さまざまな属性の人たちが、時間や場所に拘束されることなく、自由な働き方をするのが当たり前の時代が近づきつつあります。男性は仕事、女性は家事と育児といった「昭和モデル」が、これからの日本で通用すると考える人はほぼいないでしょう。



日本で初めての女性総理。男性ではなく女性が総理大臣になることの意味は、女性にとっては「ガラスの天井」が破られる象徴になることは間違いありませんが、男性にとっても男性社会特有の矛盾や軋轢に光が照らされることになるのだと思います。男性にとっては、リーダーが同じ男性であることは、ある種の安心感とうらはらに、長い歴史の中で当たり前とされてきた先例やしきたりを疑う眼差しを奪われることを意味するのかもしれません。

ある組織において、従来の構成員とは異なる属性の人がおおむね20パーセントを超えると、その組織が変革に向かうと言われています。これは組織変革のスタート段階だと思いますが、その歩みをさらに確実にしていくためには、やはりたまには従来とは異なる属性の人がリーダーに立つことが求められると思います。総理大臣はもちろん、上場企業の社長や自治体の首長、大学の学長や自治会の会長にいたるまで、もっともっと女性リーダーが増えてもいいですね。

最後に私が言いたいこと。それは、必ずしもすべての男性が男性の利益を代弁し、女性が女性の利益を代弁するとは限らないということです。いうまでもないことですが、人間には知性があり、経験知があります。それらは人間を人間たらしめている崇高で偉大な力ですから、たまたま自分が属している集団の利益のみを代弁するということはありません。さらに言えば、男性のことを一番知っているのは女性、女性のことを誰より知っているのは男性です。

女性リーダーの力によって、女性の活躍がもっともっと促進される時代を引き寄せることはもちろん、男性社会にも組織変革と活性化が促されるような時代を期待したいものです。3年後くらいの日本を念頭に、期待を膨らませていきたいですね。

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学生時代に初めて時事についてコラムを書き、現在のジェンダー、男らしさ・女らしさ、ファッションなどのテーマについて、キャリア、法律、社会、文化、歴史などの視点から、週一ペースで気軽に執筆しています。キャリコンやライターとしても活動中。よろしければサポートをお願いします。