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【エッセイ】「役に立つ読書をしなければならない」という強迫観念から逃れたい

本を探すときに、「この本は自分の仕事の役に立つか」という観点で見てしまうようになった。あてはまらなさそうな本は切り捨てるようになった。「役に立つ」的価値観が内面化され、染みついてしまった。その結果、視野狭窄になり、教養が広がらなくなっていった。

ビジネス書や実務のHow to(スライド作成術や作文技術など)の本を読んでいると、「仕事に活かさなければ」「何か次のアクションを起こさなければ」「そうしなかったらこの本を読んだ意味がない」との強迫観念に駆られる。

「役に立つ」読書をすると、目的に対する手段はたくさん手に入る。しかし、目的が広がっていかない。目的の解像度は高まらない。

だからこそ、新書・学術書・小説などの読書に回帰したい。これらの本は、読んでもすぐに活かさなくていい。世界に対する視点の変化を、まずは楽しめばいい。

弱いつながりこそが真の価値を生み出すとの立場に立てば、「自分の仕事とつながっていなさそうなところ」からインプットを得ておくのは重要である。

さらに言えば、そもそも「自分の仕事で価値を生み出す」という名誉欲的視点を捨てて、「人類の得た知と真摯に向き合う神聖な時間」としての読書を取り戻していくべきかもしれない。


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