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インプットの解像度を上げる「事前知識」の重要さ

私は悔しかった。

数多くの映画賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」がよく理解できなかったのだ。

ライターなのだから、息をするようにサラッと感想文を書きたいところだが、3時間近くの大作をがんばって観て、私から出てきた感想は、

「景色が綺麗だった」
「なんかよくわかんない」

この2つだけ。

Googleで「ドライブマイカー 考察」と検索して、映画好きたちのいろんな考察を読んだけれど、「ほお…」みたいな弱々しい声が漏れただけだった。

残念すぎる奴である。
「面白かった!」「よくわかんなかった!」だけで体験をまとめたくないと常々思っているので、薄っぺらい感想しか出てこない自分に嫌気がさした。

口コミによれば、劇中の戯曲や村上春樹氏の原作を読んでいれば、その素晴らしさや新しさを堪能できるだろう、とのことだった。

なるほど。確かに、作品や戯曲に関して何の知識もなく観てしまったなあ。

事前情報や知識をインプットした上で物事を体験すると、物語の細部や裏側にある状況までちゃんと「見える」ようになって、全くの初見よりも解像度が上がる。

展覧会や音楽鑑賞も同じ。作者や作品自体にどんな背景があって、どんな思いで、他の作品とどう違うのか、どう素晴らしいのか。今回はどんなところに挑戦しているのか、どんなことが新しいのか。そんな事前知識を入れておけばきっと、「面白かった」「よくわかんなかった」だけの感想にはならないだろう。

例えば、有名な画家の展覧会に行くとして。
私は絵画にちっとも詳しくないので、事前知識なしで展覧会に行けば「色が綺麗な絵だな」くらいしか感じないだろう。

けれど、「〇〇主義や△△思想が当たり前だった時代に、この画家は全く新しいタイプの作品を生み出して、当時は大いに批判されたけれど徐々に評価されるようになった」みたいな背景がわかれば、その功績の大きさや作者の思いが垣間見えて、より楽しめるはずだ。

せっかく時間をとるなら、解像度高く体験したい。
事前知識の入れすぎも、体験の鮮度低下につながるから良くないけれど、これからはちゃんと少し予習してから物事を楽しもう。と思ったのだった。

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