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「あれ結局何だったんだろう大賞」を肴に一杯やりたい

誰しも持っているだろう「あれ結局何だったんだろう?」エピソードをダラダラと話し合いたい。

上京したばかりの2018年、突然話しかけてきたおじさんに誘われて、豊洲のタワマンで開かれたカレーパーティーに参加したことがある。
誘いを受けたのは、代々木公園で開かれた「タイフェス」会場。当時、仕事の関係で出店しており、仕事終わりに一人でシンハービールを飲んでいた。

すると40歳くらいの一人のおじさんに話しかけられてしばらく雑談した。

「今度スパイスカレーを振る舞う会をやるから来てよ」

なんと!東京感!


聞けば、彼は頻繁に仲間やその仲間を集めてパーティーを開いているらしく、奥さんがスパイスカレー作りにはまっているので振る舞いたいそうだ。

怪し…と思いつつも承諾。
それまで大学の卒業謝恩会くらいしかパーティーなるものに参加したことがない田舎者にとって、実に興味深いお誘いだった。

土曜の夜、豊洲のタワマンの一室で開かれた「カレーパーティー」には30人ほどが参加していた。2018年だから普通に過ごしたけれど、今の世界線では考えられないほどの密。学生時代の宅飲みのようだった。

初めまして同士が多くて、初めましてのくすぐったい会話が飛び交っていた。

その会は一切怪しいものではなく、ビジネスや宗教の話もなかった。
ただただ、紙皿に盛られた主催者夫人が作ったカレーを食べて、紙コップに入ったぬるいビールを飲んで、周囲と雑談をしてお開きとなった。連絡先や名刺交換もなく、居合わせた人の顔や名前は一人も覚えていない。

「目的は何だ!?」

それまでパーティーには目的があるものだと思っていた自分には衝撃的な体験だった。例えば誕生日や入学・卒業、受賞や優勝のお祝いなど。
けれどその「カレーパーティー」の目的はよくわからなかった。一般的な主婦の、美味しい手作りカレーを食べる、というだけじゃ、30人集まるのには薄いように思う。

拍子抜けしたような、とても不思議な感覚だった。
「また今度!」と言って笑顔で別れたが、二次会があるわけでもなく、バラバラに帰宅して再び会うことはなかった。

「東京って、よく知らない人たちが「ただのパーティー」を頻繁にするところなんだ!」

驚きと不思議が混じった「???」の感情、これが私の東京への第一印象だった。
そして、「目的のないパーティーもある」という学びも得た。

その後も1〜2度、同じようなパーティーに参加した。70人くらいいたこともあったが、どれも怪しいビジネスやマルチのお誘いは一切なく、連絡先を交換することもない健全な「ただのパーティー」だった。

私には騒がしすぎて、適当なことを言ってすぐに退出してしまったけれど。
誘ってくれたのは、街コン終わりに偶然家が近くて仲良くなった女の子だったけれど、その後は連絡をとっていない。

あの時誘ってくれたおじさんも、街コンの女の子も、どう過ごしているんだろうか。

飲み会を最小限におさえようとする風潮があるいま、集会にも意味や目的が強く求められるのかもしれない。
意味や目的の強い集会が残って、「ただ美味しいものを食べる」みたいな薄めなパーティーは絶滅危惧種なのかなあと想像した。


と、これが私の「結局あれ何だったんだろう」エピソード。

オチもなく、低カロリーな話だけれど、色々大変ないま、これくらいのトークを肴にゆっくりとお酒を飲むのがちょうどいいなあ。

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