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ゴースト・クアンタム ゴートゥヘル


〇世紀の発見!

 ドクター・ザップガンが提唱した霊量子の発見は、霊界、すなわち〝死後の世界〟の存在を証明することになった。そしてその理論の応用、霊量子変換で、人類は霊界を探索することが可能となる。人は生きたまま〝死後の世界〟を訪問できるのだ。こうして人類の世界は拡張された——。
 

〇商機、到来!

〝新世界〟〝新大陸〟に似た世界。いわゆる〝活動範囲〟が広がった人類は、新たな可能性の存在に気付き、手を伸ばすことになる。そして、3年間の調査を経て、政府は〝死後の世界(ゴースト・クアンタム・ワールド。略称:GQワールドもしくはGQ)〟での活動を許可した。その中には経済活動を含まれていた。現在のゴールドラッシュを夢見て、死後の世界に飛び込んで行く山師が多数現れる事態になった。探偵、烏丸とわ子もその中の一人である。

〇烏丸探偵事務所があなたの代わりに三途の川を渡ります

 烏丸探偵事務所は生前お世話になった〝故人〟様への感謝のメッセージを、直接、〝ご本人様〟へお届けします。また〝ご本人様〟のメッセージをお預かり、依頼主様へお伝えします。訪問の証拠としてビデオ撮影、場合によっては当人との間でしかわからないエピソードも添えさせていただきます。弊社は政府認定業者で、霊量子変換に使用する装備も最新のものを利用しています。ご安心してお任せください。またプランによってはともに訪問すること可能でございます(別途料金、人数制限あり)。着手金・プランに関しては要相談。下記の連絡先までご一報ください……。
 

〇依頼そして……。


 それは奇妙な依頼だった。ゲルマン系らしき白人の中年男性。世話になった〝故人〟にとあるメッセージを送ってほしい。その言葉は『バルバロッサへ帰還せよ』。訪問証拠のビデオ撮影も必要ない、ただ届けてくれればいい。君の評判は聞いている。君は不正などしない女性だ。もし君が実際に訪問しなくても、それは私どもに見る目がなかっただけだ。君の責任ではない……。奇妙に思ったが、報酬は良かった。そして、何よりこの仕事へのプライドがある。烏丸はいつものように実行し、結果報告の一報を送ろうとする。だが直前に警官隊が事務所に突入。彼女は拘束されてしまう。

 
〇世界の破滅?
 

 彼女の監禁場所は警察ではなかった。政府の情報部のセーフティハウス。そこで彼女は衝撃の事実を知る。彼女はネオナチのメンバーから依頼を受けたのだ、と。メッセージを運んだ相手はアドルフ・ヒトラー。狂信者によって、霊界の牢獄である地獄から救出、霊界に移動していたのだ。彼の目的は霊界の侵略。そして、幽体と化した己の身体を、肉体化して再びこの世界に帰還すること。このままでは地上に再び悲劇が……。情報部は拘束を解く条件として、烏丸に霊界マップの提供とその道先案内を要求する。霊界はまだまだ未知な部分が多く、政府の持つ情報も満足とは言えない、少しでも現場の、生の情報が欲しいのだ。彼女はその依頼を受ける。ヒトラーを捕まえ、地獄へ監禁するのだ。まずは再び霊界に侵入し、〝現地〟の協力者と合流すること……。地上と霊界の平穏を守るため、人間と幽霊との合同捜査が始まる……。
 

〇オモシロ理論だが…


 劇中、霊量子なる理論の説明はほとんどされない。まあそういう世界なんでご了承を、という訳だ。しかし美術まわりは美しく、霊界や地獄のパステルじみた極彩色の色味は見ていて心が安らぐ。企画の段階で、続編の制作が決定。霊界(特に地獄)と親密になった人間界に苦慮した天界が、人類の侵略を恐れて、ハルマゲドンを起こし人類の勢力を削ぐ内容になるとのこと。

 2041年3月 日米共同制作。




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