高橋陽

インディーズの小説家。クズでも味わいのある作品の提供をめざしています。アマゾン・キンド…

高橋陽

インディーズの小説家。クズでも味わいのある作品の提供をめざしています。アマゾン・キンドルで販売中。ぜひ一読を。

マガジン

  • Naked/原作 ゴールデン・フェイク

    『note空想映画劇場ゴールデン・フェイク』からのスピンオフマガジン。主に『ゴールデン・フェイク』で紹介した〝映画〟の〝原作〟を公開します。各章、月1~2回ほど更新予定。こちらは物語の〝結末〟まで紹介します。

  • note空想映画劇場 ゴールデン・フェイク

    映画は〝人間〟を描かなければならない。映画は社会を〝批評〟をしなければならない。それが映画に与えられた義務であり、役割だからだ。それ以外の映画は見る価値はない。……フッ、笑わせるな。そんなもん本当に面白いのか? 映画は他人を見下す道具ではない。一人よがり上等! ゆるゆる設定、大歓迎! 全力ご都合主義宣言! オモシロが全てを優先する。note空想映画劇場 ゴールデン・フェイク ただいま開場いたします。 ※このコンテンツはフィクションであり、実在の人物・組織とは一切関係ありません。数字なども同様です。すべてはフェイク。

最近の記事

  • 固定された記事

内閣総理大臣、ゾンビ君……。

〇重大事故発生  一週間前、M県F市に立地する工場で重大な事故が起きた。日本国および国民生活に重大な影響を及ぼしかねない事故である。国とU社が共同出資して出来たその工場は、特殊な医療器具を日々製造していた。  ナノマシン。細菌や細胞などよりもさらに小さい極小機械群。主にガン細胞の駆除や遺伝子治療の目的で人体に注入される。ガン細胞を分解し、人体に無害な物質に変える。欠損した遺伝子を修復、場合によって正しい配列に組み変える。従来型の治療法よりもはるかに高い効果を上げ、医療常識

    • 【原作】#4 置かれた場所で咲く花は 第四章 監獄ロック

      「で、おじさんなの? おじいちゃんなの?」  K警察署、取調室。目の前の男はその軽薄な口調とは裏腹に、舐めまわすように日下部を品定めしている。日下部の容姿を揶揄しながら、こちらの反応を観察しているのだ。現行犯逮捕された日下部は、一市民に暴行を加えた凶悪犯。しかも動機が不明だ。精神疾患の可能性もある。慎重にかつ早急に事を進めるため仕掛けているのだろう。 「まだおじさんでいいんじゃないかな。来年になったら年金もらえるから……」 「その時は公明正大に〝おじいちゃん〟になるわけか

      • 第四章 予告

        #私の作品紹介 厄災から逃れるべく飛び込んだ〝箱〟はパンドラのそれではなかった。 そこは新たなる地獄への門扉。楽園とはほど遠い。 こんなはずではなかった。己の人生を見誤った者たちがこう嘆く。一体どうすれば良かったんだ? そんな泣き言に日下部は冷たくこう言い放つ。知るか。てめえで処理しろ。 次章 置かれた場所で咲く花は 「監獄ロック」 人生に意味があるなんて、まだ信じているのか。 ※次章は2024年5月下旬ごろ公開予定です。

        • 【原作】#3 置かれた場所で咲く花は 第三章 ヘイ・ユウ・ブルース

          #私の作品紹介  早く眠りたかった。身体がだるくてしようがない。  夜の時計は十一時。歳を喰った身にはキツイ時間だ。  それでも日下部は歩く。目的地にたどり着くまで。  繁華街を外れた裏通りに屋台を模したキッチンカーが並ぶ。屋台通り。北陸地方の観光都市Kの裏メニュー。地元の食材を使用した料理がメインの小料理屋が多い。観光地価格ではなく、良心的な値段で提供するため、いわゆる〝隠れた名所〟となっている。酒も提供しているせいか、居酒屋チェーンの様に利用している者も多い。店備え付け

        • 固定された記事

        内閣総理大臣、ゾンビ君……。

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        • Naked/原作 ゴールデン・フェイク
          7本
        • note空想映画劇場 ゴールデン・フェイク
          56本

        記事

          第三章 予告

          #私の作品紹介 頑張ってきたから何だというのだ。 積み上げてきたものが何だというのだ。 甘えるな。所詮、この世は結果が全て。 負け犬に居場所などあるわけがないのだ。 日下部は、己の人生の負け戦の殿を務めるべくある一手を打つ。 次章 置かれた場所で咲く花は 「ヘイ・ユウ・ブルース」 結局、ありもので何とか凌ぐしかない。 ※2024年4月下旬公開予定です。

          第三章 予告

          【原作】#2 置かれた場所で咲く花は 第二章 堕ちた笑み

           乗客のみなさん、機長のアルフレッド・ケンダーです。当機ロンドン行PL四五〇便は正体不明機の攻撃を受け、両エンジンの推力が停止し、このまま不時着することを余儀なくされました。皆様におかれましてはキャビンアテンダントの指示に従い、自身の身を守る行動を取るようお願いします。 衝撃に備えて。頭を下げて、姿勢を低く。 衝撃に備えて。頭を下げて、姿勢を低く。 衝撃に備えて。頭を下げて、姿勢を低く。  緊迫のリフレイン。乗客の祈りやパニックをかき消すようにがなりたてる。しかし。その効

          【原作】#2 置かれた場所で咲く花は 第二章 堕ちた笑み

          第二章 予告

          ただみんなと一緒にいたかった。ただみんなと楽しい時間を過ごしたかった。ただこの場所を、仲間たちとのキズナを守りたかった。 そのためなら何でもする。それは何よりも優先すべきことだからだ。法律とか、こちらに指さす他人は無視するか排除すればいい。 わたしたち、おれたちなら、それができる。自分が自分であるために、戦わなければならない時があるのだ。 ホールディングスはそんな彼らに回答を求める。お前がお前である必要はあるのか? 次回 置かれた場所で咲く花は 第二章「堕ちた笑み」。

          第二章 予告

          【原作】#1 置かれた場所で咲く花は 第一章 来るべき世界

           とうとうこの日が来てしまったか。日下部啓一はため息をついた。  緑茶のペットボトルが棚から取り出せない。何度もつかもうとしても、手のひらはその冷感を捉えられないのだ。こぶしがボトルの中で握られている——。  立体映像。台座のようなものからホログラフが浮き出ている。カゴに入れるためには、下部の台座を掴まなくてはならない。それをシンクのようなセルフレジにセットして、購入手続きを終えると、台座と交換する形で本物の商品が出てくる仕組みだ。万引きなどの盗難被害を防ぐためと、人員削減

          【原作】#1 置かれた場所で咲く花は 第一章 来るべき世界

          始末、処分、処理。すなわち殺人をはじめとするウエットワーク。 なぜこんなことを?  目の前の、自分にできることをただひたすら懸命に。 しかし、それがいつのまにか単なる作業になってしまった。 置かれた場所で咲く花は 第一章 来るべき世界 近日公開 錆びた歯車は惰性で回る

          始末、処分、処理。すなわち殺人をはじめとするウエットワーク。 なぜこんなことを?  目の前の、自分にできることをただひたすら懸命に。 しかし、それがいつのまにか単なる作業になってしまった。 置かれた場所で咲く花は 第一章 来るべき世界 近日公開 錆びた歯車は惰性で回る

          『note空想映画劇場ゴールデン・フェイク』からのスピンオフマガジン『Naked/原作 ゴールデン・フェイク』近日公開。 第一回は「置かれた場所で咲く花は 第一章 来るべき世界」の予定。

          『note空想映画劇場ゴールデン・フェイク』からのスピンオフマガジン『Naked/原作 ゴールデン・フェイク』近日公開。 第一回は「置かれた場所で咲く花は 第一章 来るべき世界」の予定。

          【シーズン1終了のお知らせ】

          note空想映画劇場ゴールデン・フェイクは諸般の事情(ネタ切れ)につき, しばらくお休みさせていただきます。現在、シーズン2、ならびにスピンオフ企画の準備中です。ご縁がありましたら、またお会いしましょう。では、シーズン2に向けてのラインアップです(すべて仮タイトル)。 〇サイコパスはヒャッハーとは笑わない 〇おじさん脂に火をつけろ 〇ヒステリック・サスペンス 〇カブキ・ザ・ブシドー ジェラルド・ゴッチ 〇天国を憐れむ歌~album ver. 〇めんどくさいのは好き

          【シーズン1終了のお知らせ】

          終わりの季節

          〇職場は宇宙ステーション  かん高い警告音と同時に、目の前のモニターが赤く染まる。血の色に似た鮮やかな色だ。 『カプセル内残量パーティクルをチェックしていません。このままだと次のステップに進めません。カプセル内残量パーティクルをチェックしていません。このままだと……』  礼儀正しい女の声が続く。同じフレーズを何度も繰り返す、人工的で無機質な声。何か対処しない限りずっとこのままだ。慇懃だが、こうも執拗だと拷問に等しい。  男は舌打ちをしながらも忠告に従う事にした。結局は自

          終わりの季節

          留守録

          〇A氏、その日常 『今時、連絡手段がメールと電話しかないなんて……。まあいい、連絡をくれ』 『今日は助かった。話を聞いてくれて。一緒に泣いてくれて……』 『おい、べつに読んでいない記事に👍する必要はないだろう。気を使うな。かえって悲しくなる』 提案されたアイデアは実に興味深いのですが、一部確認を取りたい所があります。プラモデルの制作者鑑定人とは? ご連絡を』 『なるほど、とあるプラモデルを組み立てた人物を特定する、という意味ですか。上手い下手に関わらず作った人

          亡命電子国家 V ~【後編】

          〇再び、敷島邸へ  あなたに頼みがあります。もう一度、敷島と接触してほしいのです。我々は何としてでも彼らの秘密を探り、それを手に入れなればならない。何故か? 我々がその技術を持っていないからです。それは許される事ではない。これを見てください、U地区のセンターの様子です。リアルタイムですよ。  主席に噛まれた男たちは主席になった。  増殖。主席たちはさらなる獲物を求めて徘徊する。 発砲。生き残りの男たちは、とりあえず身を守るための反射運動を取る。弾は主席の頭部に命中す

          亡命電子国家 V ~【後編】

          亡命電子国家 V ~【中編】

          〇三年前の出来事 「三年前の日本の議会での出来事です」と李。タブレット見せて言う。「時の内閣総理大臣菅沼健二が、ナノマシン工場の事故の影響によりゾンビになった」  男の黄ばんだ乱杭歯が、脂がのった中年男の肩口に食い込んだ。噛みつき、食らうようにくい込んだ歯は、周囲の者が必死に引きはがそうとするがなかなか離れない。ようやく外れた口腔には赤黒い肉片を含んだままだった。行儀悪く音を立てながら咀嚼する様子に唖然とする周囲の者に、先程噛まれた被害者が襲い掛かる。目の光は失せ、歯を

          亡命電子国家 V ~【中編】

          亡命電子国家 V ~【前編】

          〇大使の抗議  中華連邦の劉日本大使は、日本政府の重鎮、敷島の邸宅へと向かう。日本政府は党指定のテロリスト、ラビー・ガードを匿っているとの情報を得たからだ。引退したとはいえ、いまだ政府に影響力のある敷島に抗議をし、日本政府に圧力を与えるためだ。党、中華連邦は怒っている、と。 「テロリスト、ラビー・カードをこちらに引き渡していただきたい。彼女は、我が国の過剰に誤った情報を流布し、大衆を扇動している。あまつさえ、国会体制の転覆まで企てている」 〇大使の困惑  だが、敷島

          亡命電子国家 V ~【前編】