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歩き方を変えて痛み解消へ!?~Xさんの腰痛・膝痛治療~【後編】

今回は、
慢性的な腰痛と歩くときの膝の痛みを抱えて苦しんでおられたXさん
の治療経験を元にしたお話の後編です。

  • 慢性的な腰痛に苦しんでいる。

  • 歩くときに膝が痛い。

というあなたに向けて、治療家(整体師・理学療法士・物理学修士)の立場でお話をしようと思います。
よろしくお願いいたします。


今回の記事は後編となります。
前編をお読みでない方は、お手数ですが先に読んでいただけるとご理解しやすいと思います。

お話しの流れとしましては、

  • 治療をしても、なかなか腰痛と、歩くときの膝の痛みが解消されなかったXさん。

  • 原因は「歩き方」が一番怪しいと判断した私(明初庵)は、Xさんの歩き方の治療にとりかかろうとしますが・・・

というところからでございます。
よろしくお願いいたします。

すんなりとはいかなかったXさんの歩行改善

Xさんにお願いしたウォーキングフォームとは?


歩行することは、健康に多くのメリットがあります。
例えば、

  • カロリーを燃焼

  • 心臓の健康(週5日、1日30分以上歩くことで、冠状動脈心臓病のリスクを約19%減少させることができる。)

  • 血糖値を下げる

  • 関節痛を和らげる

  • 免疫機能を強化

  • エネルギーを高める(疲れているときに散歩をすることで、元気になれる。)

詳しくは以下のようなサイトを。他にもたくさんのサイトがあります。

ですので、
「痛みの原因ですから、ジムで歩くことはやめてください!」
とXさんにお願いする、
という選択は当然ありません。

Xさんには、ジムでの歩行を楽しんでいただきたい。

そこで私はXさんに歩き方について、
以下のようなアドバイスを行いました。

  • 足を後ろへ引くことで前進しましょう。小股な歩行になっても良いのです

  • 踵から接地すること、足で蹴りだすことはお休みしましょう。

  • 膝から下は意識しなくて大丈夫です。

  • 腕を振ることは頑張らなくても良いです。それよりも、頭を良い位置に置くことを意識してください。パネル・スマホは見ないでくださいね!

まずはここから行ってもらおうとしましたが・・・

どうですか?
我ながら見事に
「正しくない」フォーム
ですね~(笑)

ですが、今のXさんにとっては
「正しい」
「必要な」
歩き方だと判断しました。

この内容は、
ひょっとしたら、あなたのこれまでの常識を刺激してしまって、
いろいろ気になる・疑問に思われる部分があるかもしれませんね。

今回の記事では、
足を後ろに引くこと
に絞って解説しますね。

実はXさんも同じ思いだったようです。

「歩くとは足を前に出すこと」

常識というこの大きな壁に、
少しだけ立ち向かってみました。

これがなかなか大変でした(笑)


なぜ足を引くことを重視するのか?

これを行うことによるメリットは、

・前進する推進力として、大殿筋を使える。
・硬くなった腸腰筋のストレッチ効果が期待できる。

「大殿筋」とは簡単にいうと
「お尻の筋肉」ですね。

こうやってみると、やっぱり大きな筋肉ですね。

人間の持つ大きな筋肉の代表です。

慢性腰痛を持つ方は、
ほとんどの方がこの大殿筋が(特にその下部繊維が)
弱くなっています。

別の言い方をすれば、
慢性腰痛を持つ方のほとんどは、
この大殿筋がうまく使えていません。

リハビリや整体ででマンツーマン指導できれば、少し改善できますが、
ご本人が歩く習慣があるなら、その時に
足を引くことを意識してもらうだけで、
それが、大殿筋(下部繊維)を活性化させる効果があります。


そして、さらに良い効果として、
腸腰筋が自然にストレッチされる
ことです。

腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)が伸ばされます

腸腰筋とは、
股関節を曲げる(屈曲させる)筋肉でした。

ですので逆に、股関節を伸ばしてあげる(伸展させる)ことで、
腸腰筋は伸ばされます。

これが、左右のそれぞれの筋肉に交互に行われます。

その後足を前に出すことで、
ストレッチされた腸腰筋は縮みます。
ただし、「足を前に出そう!」としたときよりも、
優しく、
自然に、
縮むことができます。

そうです、硬くなったXさんの腸腰筋を、
リズムよく、
伸び縮みさせてあげる。

ポンプ作用で血行が改善し、
Xさんの腸腰筋へは新鮮な血液が送られ、
不要物がどんどん流される。

乱暴な例えですが、
ストレッチとマッサージの繰り返しのような効果

そんな効果が、
このような歩き方をすることで期待できるのです。

さらにメリットがあります。

「腸腰筋よりも大殿筋の方がサイズが大きい」
ことを利用します。

ヒトを左側から見ています。
大腰筋と大殿筋を比べると、厚さが全然違いますね。

太くて大きい筋肉に、たくさん力を出してもらった方が
理にかなっていると思いませんか?



以上が、この歩き方を勧める根拠です。

さっそく、これらのことをXさんにご説明し、
ジムで歩くときだけで結構なので、
取り組んでいただくようにお願いしてみました。

ですが、Xさんはすぐに納得されません。

次は、Xさんがお持ちになった疑問についてです。


Xさんが持たれた疑問と、その後のXさん

Xさんが疑問に思われるのは当然です。

以下のような「正しいフォーム」が、
「正しい」とこれまでずっと
信じてこられたからです。

前回の記事より再掲


Xさんより以下のような質問をいただきました。

「足裏の重心移動や、蹴りだしをしなくていいの?」

これは、実際に筋肉を見てもらうことが大事だと思いました。
スマホの画面に以下のような画像を表示して見ていただきました。

左:左足を前から見ています。
右:左足を後ろから見ています。

膝から下の筋肉です。

前の部分の筋肉は、
歩くときには

  • 足がダランと下を向かないように

  • つま先を上げるように

働きます。
ですが、その筋肉は細く・決して強力とはいえません。

「弁慶の泣き所」にいたっては筋肉がありません。


では、後ろ、つまりふくらはぎの筋肉はどうでしょうか?
こちらはさすがに、
蹴りだす筋肉
ですから、強力そうですよね。

ただ、Xさんの場合、
このふくらはぎの筋肉の、膝関節の裏の部分が、
大変硬くなっています。
中には「位置が少しずれている」筋肉もありました。

「このふくらはぎの筋肉達に、必要以上に働いてもらいたくないのです」
と伝えました。

その代わりにぜひ働いてほしい筋肉は、

大殿筋の圧勝(笑)

ここまでくると、Xさんも
「あはは、わかりやすい」
と笑われていました。

実は、筋肉はその大きさで役割分担があります。
人間の体は大小さまざまな筋肉で構成されています。
大きな筋肉群は主に体の動きを支え、力を発揮する役割を果たします。
一方、小さな筋肉は主に体のバランスを保つためや、より精密な動きを制御する役割を果たします。

以下のサイトはわかりやすいと思います。


「歩幅が小さくなると健康効果が小さくならないか?」

おそらく、
「このような歩き方をすることに健康上の意味はあるのか?」
という気持ちが働いたのだと思います。

「消費カロリーには影響あると思います。
少し消費カロリーは小さくなるかもしれませんね。」
とははっきりお伝えしました。

「ですが、それ以上の効果が期待できると思うのです。それは、歩くこと自体が自己メンテナンスになるということです。」

ということで、Xさんの腸腰筋と大殿筋の状態を、
もう一度確認してもらうこととしました。
腸腰筋を私が押すと、ず~んと重い痛みを感じられます。
大殿筋の下の部分(下部繊維)を自分で触れてもらいました。
「全然ハリ感がないね~」
とのこと。

つまり、それらの筋肉のバランスが崩れた状態である。
このことを確認していただき、
この新しい歩き方の意義を、もう一度説明させていただきました。

「そうか、じゃぁ明初庵さん信じてやってみようか」
と最後におっしゃっていただいたXさん。

「もちろん、筋肉のバランスが整えば、痛みも今以上に生じづらくなるはずです。
いわゆる「元気なウォーキングフォーム」は、それから行っていただいてもいいと思いますよ。
痛みが出なければ、またランニングもできるかもしれませんしね!」

とお伝えしました。

その後のXさん

ジムで新しい歩き方を実践していただいたそうです。

「正直、最初は少し恥ずかしかった」

とのこと。
まじめな方なので、他者の眼も気になったのでしょうね。

「だけど、誰も え? という目では見なかったです。
意外と傍から見ると、そんなに変じゃないのかもしれないですね。
自分の中では、180°歩き方を変えているのに」

ということで、徐々に他者の眼も気にならなくなったとのこと。

実勢していただいて、最初の効果は
「全然歩いていても疲れないから
『これ意味あるのかな?』
って思っていましたが、
次の日の痛みが全然違うんですよ!」

だそうです。
ジム後の痛みの軽減が得られたようです。

まずは良かったです。

実はXさんには、他にも様々な健康上の問題があるため、
継続的に治療を行ってきています。

そのため、この歩くことによるメリットがどの程度かを証明することは少し難しいです。

ですが、少なくとも、

  • ジムで歩くときの膝の痛みが無くなった。

  • ジムの次の日の朝の、腰痛がほぼ無くなった。

  • 日中、コルセットをしないで生活することができるようになった。

という状態になっています。

さらに、
「膝痛くないから、新しい靴は買わなくて良かった。
お小遣いにも貢献してくれてありがとう(笑)」
だそうです(笑)

私の感覚では、もう少ししたらジョギングも痛みなく再開できそうです。
ガンバリ屋のXさんのために、私もガンバリたいと思います。


最後に

最後にまとめをさせていただきます。

  • 治療を行っても消えない痛みは、生活習慣や生活動作に原因がある可能性があります。

  • Xさんの場合は、ジムでの歩き方に原因があり、歩き方を変化させたことで痛みが小さく~消失しました。

  • 筋肉の位置や大きさを比較することで、自己メンテナンス効果のある歩き方の例を提示しました。


お話は以上です
最後までお読みいただきありがとうございます

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