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片桐チハル
2016年7月9日 02:59
ごうん、ごうん、ごうん。からからに乾いた畳に寝そべりながら、洗濯機のたてる規則的なリズムに耳を傾ける。投げ出した脚にさす夏の日差しがぽかぽかと心地よく、熱に触れたバターのように、意識がすうっととろけてしまいそうになる。――いけない。いまにも畳に沈みこんでしまいそうな体をぐっと起こすと、少しだけめまいがした。けれど今日ばかりは、眠ってしまうわけにはいかない。イツキさんが、やってくるのだ。