企業カルチャー醸成は“本質的価値”を問い続ける哲学だ
こんにちは!
アカツキのCultureチームの伴走パートナーとしてカルチャーを育むサポートを行っている株式会社スペサンの“かおりん”です。
昨年からこの企画にちゃっかり参加させていただき、半分社外-半分社内という絶妙な立場からアカツキを客観的に見てみる記事を執筆させていただきました。
▼ちょこっと自己紹介
なぜ、こんな小難しそうな記事を書くのかを先に伝えたい
「企業カルチャー醸成」と聞いて、具体的に思い浮かべるのは何でしょう?
“理念浸透”とか“心理的安全性向上(社内コミュニケーション活性含む)”でしょうか?
もちろん、これらがベースになっていることは確かです。
理念の浸透度や心理的安全性の高さはある程度数値化できるので、成果指標として扱いやすく、これらがKPIになることも多いでしょう。
しかし、理念浸透がなされていても、心理的安全性が担保されていても、これらの数値だけではカルチャーを測定・評価することはできないと思っています。
同時に、カルチャーを推進しているチームや個人の存在価値も数値だけでは測れません。
それでも、カルチャーを推進する専任者がそこに存在する意味と、担うべき役割は大きいです。本記事では、このあたりについて思うがままにお伝えしようと思います。
企業理念は哲学
企業カルチャーを育む上で、ベースとなるのが理念です。
理念は、社員を縛り付ける規則やルールではありません。
結論からお伝えすると、私は「企業理念は哲学だ」と思っています。
「自分たちはどうありたいのか?」「自分たちがつくりたい未来は何か?」「自分たちが大切にしている価値観は何か?」このような自らへの問いに対する答えこそが理念です。
そして、この理念を実現(体現)するために人を集め、事業を推進することで、組織活動がなされるわけです。
組織活動を続けていく過程において社内外で様々な変化が起こり、そのひとつひとつに向きあい、思考した結果、ある時点で理念をアップデートすることもあります。
創業時に策定したり、アップデート時に想いを込めて言語化した理念はとても大事ですが、ここで重要なのは、理念そのものは具体的なアウトプットやインパクトを伴わない“あくまで哲学”でしかないということです。(思いついた!とか、辿り着いた!とか、信じている!ということ)
言語化されただけで、それらが正しいという証拠は何もないのです。
理念という哲学を目に見える価値にする
だからこそ、理念をスタンスや行動や結果で示し、「僕らが掲げた理念は正しそうだ!」と証明する必要があります。
そのためには、理念に対する思考をさらに深め、目に見える価値にする方法を模索しなければなりません。
・どのような人を集めるか?
・どのような事業をするか?
・どのように働くか?
上記のようなこと全てに関わってきます。
カルチャー醸成というと、組織づくりのひとつのファンクションのような感じがしますが、本来あるべき姿は、組織活動の全意思決定において理念に基づき一貫性を持たせ、理念という哲学を目に見える価値にすることだと思います。
そして、カルチャー醸成を担う担当者は、理念に基づく一貫した判断や行動をメンバーが当たり前に実行できるようにするためのHOWを考え、施策として推進するのです。
シンプルに「理念を覚えましょう!」とかそういうことではなく、理念(哲学)に共感して集まってきた人たちが、ワクワクしながら理念を体現できるような土壌をつくるのです。
それが、コミュニケーションの活性だったり、心理的安全性の向上だったり、理念浸透だったり、経営メッセージの調整だったりするわけです。もっと言えば、事業設計においてもカルチャーづくりの視点があっていいと思っています。理念とズレている事業をロジックなく推進するということは、土壌を荒らすことになるかもしれないので。
カルチャー醸成は、奥深く、味わい深く、非常に重要なことなのです!!!
そして、その価値をどう測るのか?
こんなにも重要な役割を担っていても、「何をやっているかわからない」「事業成長や売り上げには貢献していない」と言われてしまうこともあります。(アカツキでは絶対にないと思いますが。)
それは、哲学そのものを数値化したり可視化することが難しいのと同じです。
カルチャー醸成も何かしらの数値で結果を計測することはできるかもしれませんが、表面上のことであって本質ではありません。
離職率、エンゲージメント、ロイヤリティ、幸福度、心理的安全性スコア・・・
これらは「カルチャーを作る土壌ができているか?」を測定したり、カルチャー醸成か間接的に寄与した部分の結果です。とても大事な観点ですが、ここだけに振り回されないようにしたいところです。
結局のところ、企業カルチャーの価値や効果をクリティカルに数値化するのは非常に難しく、数値化したからといってすごく意味のあるものになるかもわかりません。
企業カルチャー醸成は“本質的価値”を問い続けること
それでも、カルチャーを大事にすることや、この領域に投資することの価値は十分にあります。
企業における「我々が存在する理由は?」という問いに対する答えを深め続けることはもちろん、先に述べた通りその哲学の解らしきものをみんなで証明していくためのハンドルを握っているからです。
そして、評価にあたって注視すべきは数値化できる簡単な指標ではなく、ひとつひとつの施策に対して本質的な価値をどれだけ深く問い続け、理念の確からしさの証明ができるか?だと思うのです。
「この施策を実行することで、どの様なインパクトがあるのか?」・・・
数値で見ると、売り上げアップや離職率の低減、エンゲージメント向上などに落ち着くかもしれませんが、より本質的な価値を突き詰めた先にもっと大事なことがあると思います。
「この施策を実行することで、何が起こるのか?」
「その効果は企業にとって何をもたらすのか?」
「その結果、理念を実現(体現)できるのか?」・・・などなど
このように施策の本質的な価値を問い続けることが何より重要であり、これこそがカルチャー醸成の起点です。そして、そこに結果がついてくれば自らが掲げる理念(哲学)の証明になるでしょう。
本質的価値への向き合い(アカツキCultureチームの場合)
つらつらと好き勝手に書き綴ってきましたが、“本質的価値に向き合う”という哲学をし続ける上でポイントとなるのが“価値の言語化”と“振り返り”です。
アカツキCultureチームでは、それぞれの施策において四半期ごとに本質的価値を言語化するプロセスが必ずはさまります。もはやここに一番時間をかけているかもしれないと思うほどです。
マンダラを使いながら施策の成功状態をあらゆる側面から言語化し、最終的に施策の本質的価値がどこにあるのか? を検討します。その後、「その施策が実行された先に組織にどの様な変化が起こるのか?」「市場や世の中にどの様なインパクトが生まれるのか?」まで言語化します。
もはや「理念浸透度が・・・」とか、「心理的安全性スコアが・・・」とかいう視野/視座ではないのです。
そして、四半期が終わると同じくらいの時間をかけて振り返りを行います。
自分たちの実施した施策が組織や世の中にどの様に作用したのかを全員で議論します。
まさに、本質的価値を問い続け、理念の確からしさを証明できているかを確認する行為です。
KPIを設定し、達成したかどうかを確認し、未達成の場合は原因を追求して次に生かすという細やかな振り返りも大切ですし、しないわけではないですが、この部分が振り返りの大きなポイントになることはありません。
様々な企業でカルチャー醸成のサポートをさせていただいている私から見ても、ここまで徹底して自分たちの存在意義を言語化し、そこに対する細やかで上質な振り返りをしているチームは少ないと思います。
これこそが、アカツキカルチャーの強さなのです。
おわりに
これからは(いや、もうすでに)唯一の絶対解が存在し、そこに早くたどり着けば勝ち!!という時代ではありません。自分たちなりの正解を社会と調和しながら証明していかなければなりません。
だからこそ、思考を深め、自らが掲げる理念の確からしさを証明するために旗を振り続けるチームが必要です。今後も“カルチャー”という目に見えない柔らかくて強いものを扱うプロフェッショナルチームに力強く寄り添いたいと思います!