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小説『明鏡の惑い』第十六章「遠い遠い昔」紹介文

 悠太郎は中学校の階段をまだ昇っている。
 3階にある音楽室からは、たどたどしいピアノの音が聞こえる。
 それは悠太郎が9歳の誕生日に、観光ホテル明鏡閣の大食堂で弾いていた〈ロング・ロング・アゴー〉であった。
 あれから長い歳月が過ぎた。しかし誰が弾いているのか?
 ペトラこと麻衣の仲立ちで対面する悠太郎と留夏子は、互いを奇妙に意識する。
 ペトラに促された留夏子は、指揮をすることになった合唱曲について、悠太郎に相談を持ちかける。
 この過疎の町は、1学年が1クラスのみ。秋の合唱コンクールは学年対抗戦となる。
 よほどのことがない限り、3年生が勝つに決まっている。
 音楽に秀でた悠太郎は、留夏子たちの学年に「よほどのこと」を起こさせようと勇む。
 留夏子は成長した悠太郎を頼もしく思いながらも、時の移ろいを悲しむのであった。

https://www.alphapolis.co.jp/novel/703314535/113741973

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