夏と

キラキラな楽しい学生最後の夏。

の予定だった。

じりじりと騒ぐ鋭い暑さにうんざりしながらも、好きなことしたり友達と遊んだりして、なんだかんだ笑って過ごす予定だった。

対する現実。もらえない内定。終わらない就活。延期でずれ込む面接。予定が狂った車校。卒論の資料集めさえままならない環境。友達とも会えない生活。息抜きのできないコロナ禍。


「疲れちゃったな、人生もういいや、全部終わりにしたい」

この2ヶ月、私はことあるごとに最悪の選択をしそうになった。

東京の、6畳の部屋で、毎日泣いた。

就活が人生の全てじゃないなんてわかってるけど、昨今のウイルス共存生活での就活は、本当に辛かった(今も)。いくらメンタル落ち込んでも、ずっと一人で耐えるしかなく、実家にも帰れないし友達にも会えない、悲しくても息抜きに出かけたりカラオケに行ったりできない、むしろ外に出ることが怖すぎる。



そんなこんなで悩んだ末に私は、東京就職志望から地元就職志望に方向転換した。7月は東京と地元を行ったり来たりする生活を送っていたが、さすがにウイルス移動が怖いからバイトもお休みして夏休みは完全に帰省することにした。そして夏に東京で通うはずだった自動車学校は地元で短期集中で通うことにした。もう全部が嫌になってきてどうしようもなく辛いけど、家族といるときはまだメンタル少し復活するから、今は大丈夫。一人の時よりずっといい。


しかし、まだ内定はない。

蝉の声と蒸されるような暑さが辛い中、長袖の黒い戦闘服を身にまとい、ヒールを履いて歩く。

バイトもできず収入もないのに、外はあまり歩き回れないから仕方なく卒論に使う値段の高い本をネットで買う。

数時間前に届いた不採用通知を思い出して何度も泣きそうになりながら車校の授業を受ける。

夏と就活、夏と卒論、夏と車校、夏とコロナ、夏と私、夏と生、夏と死。


2020年。学生最後の夏。

夏と、人生。

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