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人間ってのは馬鹿だ。【短編小説#15】

「人間ってのは根本的には馬鹿だね。本当に賢いなら、なぜそこまで馬車馬のように働いてるんだい。」

茶トラ猫はゴロンと体をひねった。相変わらず床で寝ている。

「俺ら猫は徹底して働きたくないから、人間の傘下に入ったんだ。全く良いもんだぜ。なんせ寝てるだけで飯は出る。狩りに出る必要なんかこれっぽっちもない。」

茶トラ猫は大きく欠伸をした。

「それに比べちゃあ、人間は自分で生きるために働かなくちゃいけない。全く賢くないね。最近だと、不労所得だなんて言葉が流行っているみたいだが、本当に望むなら俺らみたいに、可愛がってもらって、勝手に飯を出してくれる動物の傘下に入ったらいいんだよ。」

茶トラ猫は何かを見ているようで何も見ず、ぼーっとしている。

「それを俺たちが生物の中で1番賢いような雰囲気を醸し出しているが、正直、他の動物たちからしたら大ウケさ。そうですそうです。人間様が一番賢いですってね。そのほうが俺らにとっても好都合ですと。」

茶トラ猫は暖かい場所に移動してまた横になった。

「猫の手も借りたい?馬鹿はほどほどにしろ。死んでも貸さねーよい。おっそろそろ朝ごはんの時間だ。今日もかわいく鳴いとくか。にゃーおっと。」


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