見出し画像

麒麟がくるレビュー・2軍       その03「美濃の国」らしい。

私の単なる思いつきで、今年82歳になるじーちゃんと12歳になる息子・エルにNHK大河ドラマ『麒麟がくる』のレビューをお願いすることにした。2回のレビューを終えてすでに息切れしてきたじーちゃんに、なんとか続けてもらおうとすることに気を使っています。

じーちゃん、寝ても覚めても使えねぇ。

今回のじーちゃんは、前回の反省もあってか土曜日にある第2回の再放送を観たそうだ。それから日曜日の夜にある第3回のエピソードに臨んだ。
「全て眠らずに観ましたよ」
電話口で胸を張っているのがわかるが、やはりじーちゃんは、じーちゃん。こちらから誘導しなくてはほとんど何があったのかは自分から言ってくれない。かなりなヒントがないと、一体なにがドラマ内で起きたのかが思い出せないらしい。

今回のエピソード「美濃の国」のレビューをする難しさは、派手な合戦も強烈な場面もなかったところだ。いや、それはそれで興味深い内容だったが、じーちゃんの反応は薄い。私的には、斎藤道三と土岐頼芸との応酬の際に、道三が言った「操り人形には毒は盛りません」なんてセリフにドキリとさせられたが、そういった話もじーちゃんの脳内からは欠落しているらしい。以下、彼のドラマ視聴後の印象に残ったシーンについて。

光秀は帰蝶と一緒に野山を馬で駆け巡っていた(そんな事実はない)
鷹の絵を描くのは難しいものだ、と言った人(土岐頼芸)もいたが、全くその通り。あれは難しい。
・鷹の絵を描く人(頼芸)と道三の息子(斎藤高政)との内緒話は道三が障子の陰で全部聞いていたぞ
・鉄砲の威力は陶器(実際は飲み水を入れていた瓢箪)を試し撃ちしてみてかなりの破壊力だった

この内容から何かの脈略を引き出すのは難しい。鷹の絵を描くのと同じくらいに。

じーちゃん曰く「麒麟というのは光秀のことだ」

いい加減私もじーちゃんの世迷い言に苦しみ、諦めて電話を切り上げようとしたとき、何かがじーちゃんに降臨した。
彼はおもむろに、
「しかし、ドラマの題名の麒麟についてわしが一つ言えることはな、あの女の子(駒のこと)にとって、麒麟というのは光秀のことだと思う
そう言ったのだ。
おお。じーちゃん!! なんかわかったようなことを。
そうですか、そう思いますか。
「まあ、わしは何でかそう思う」
根拠は甚だ希薄ではあるが、じーちゃんは自分でもいいことを言ったと思ったのか、満足げに電話を切った。

確かに、明智光秀という人は、麒麟がくるような国作りをめざすあまり、周囲の人々に光秀こそが麒麟だ、などと思わせることになるのかもしれない。

深芳野と頼芸について、エル曰く「何。あのCreepyな人たち」

エルにとっても今回のエピソードはおとなしめだったけれど、一生懸命コメントしてくれた。エルは登場人物の重要性や性格をかぎ分けるのは上手い。
以下、新しく登場した人々に対するエルの第一印象。

・土岐頼芸・・・Creepyな人(Creepy/クリーピーとは、気色悪いみたいな意味)。あんなにわかりやすく内緒話したらダメ。全部道三にバレてるよ
・深芳野・・・Creepy。僕はこんなお母さん、やだ。
・平手政秀・・・頭良さそうなんだから、ちゃんと織田信秀がすぐに戦争したがるのを止めないとだめ
・今川義元・・・カッコイイ。この人は強い

ドラマの演出や役者たちの演技も上手かったのだろう、背後関係などわからないエルにも、新しい登場人物たちがどんな種類の人々なのかをかぎ分けることはできたようだ。
今川義元など、部屋の中から廊下に向かって数歩歩いただけの登場である。それでエルは「この人は強い人」と判断したのだ。義元を演じた片岡愛之助、恐るべし。

また、平手政秀が主君に忠告する判断力のある人物、とジャッジしたエル、あなたはお目が高い。
のちのち彼は、自分が切腹してまで織田信長を諫めるんだからね。
エルは、前回の織田信秀が井ノ口の戦いで、斎藤道三に敗戦し「城に帰って寝るか」などと情けなく語っていた彼を覚えているので、「簡単に戦争したら失敗する」と言いたいらしい。
戦国知識には乏しいエルだが、信秀が織田信長の父親であることは知っている。それだけに「こんなお父さんで大丈夫なの?」と心配なのだ。

エルが好きな男性登場人物ベスト3

今回のエピソードにおけるエルの好きな人々を挙げてもらった。

1位 藤田伝吾(カッコイイから)
2位 明智光秀(いい人。カッコイイ)
3位 菊丸(かわいい)

現在エルはなぜか藤田伝吾のファンである。第三回では、ほとんど活躍しなかったけれど、彼は初回から伝吾に目を付けている。その点は私と同じだ。明智光秀が好きなのは当然として、エルは菊丸のこともいたく気に入っている。医者の助手をしている女の子・駒に手を握られている菊丸を見て、
「嬉しそう・・・」
と呟くエル。
キミだって十分嬉しそう。

おわりに

エルは順調に育ってきている。この大河ドラマを最後まで観ることができたら、立派な戦国ファンとなっていることだろう。
ただ、ナレーションだけで人物の名前を覚えるのが大変。画面に人物の名前が表示されることもあるが、エルは漢字が読めないし。もうちょっと勉強させよう・・・。
じーちゃんは、最近態度が開き直ってきている。全てを老化のせいにして、まじめに番組のレビューをしようという態度が見られない。大好きなラグビー観戦のような態度で、大河ドラマにも臨んでもらうことを強く希望する。