移住先に「何もない」と不安なあなたへ
大樹町に引っ越してきて、もうすぐ3ヶ月になる。
最初の2週間は、新型コロナウイルスのことが心配だったので家に引きこもっていたが、徐々に近くの飲食店に行ったり、町の温泉に行ったり、海を見に行ったり、少しずつ行動範囲が増えてきた。
大樹町は、山も海もある、横に長い町だ。だから多分、海霧が発生しやすくて、よくあたりが真っ白になっている。霧に包まれているときは、お隣の家もぼやけていて、家の前の遠くに立っている防風林の影が浮き出ていて、静かで、少し不気味だ。なんとなく、霧が出ているときは家にいる、というのがルールになっている。「ガスっている」と言うらしい、ご近所さんがその言葉を使っていたので、今度機会があったら使ってみようと思う。
車で20〜30分走ると海が見える場所に行ける。海水浴場ではないと思う。漁港の端っこの、少し小高い場所にある、高い草木とテトラポットが積まれた間を通り抜けると、目の前に海が広がるのだ。手で拾えるくらい小さい流木と、不揃いな砂利を歩けば、プライベートビーチに来たようだった。家で思いっきり仕事をした日の夕方に海まで行けば、疲れは波と一緒に流されていくようだった。
よく晴れた日の夕方は、広いデントコーン畑の奥にある山々に真っ赤な夕日が沈んでいく。カラスたちのお気に入りの電線があって、ここらへんで活動しているカラス全員が集まって、今日の報告をしあっているみたい。カラスに近づこうと私の背よりも高いデントコーンに挟まれた道を歩くと、急にあたりが静になる。道の先には、小ぎつねの兄弟が私を警戒し、デントコーンの中に隠れてしまった。
6〜7月の長い雨で、鉢植えの植物はすっかり元気を失ってしまった。土には苔が生えてるし、ミントの鉢からキノコが生えてきたし。晴れ間を狙って、家の庭の隅っこに植え替えてみた。固い地面をスコップで掘って、大きな石を避けて、野菜用の土を入れて、肥料も入れて。死にかけのハスカップと、トウガラシと、グランドカバーになったらいいなと淡い期待を抱いてレタータイムを。猫に慣れている私達にとって、リアクションが小さい植物は少し苦手。元気に育ってくれるといいな。
私達の、大樹町の生活はこんな感じ。日常生活の買い物には困らないし、ご褒美に食べるケーキも美味しいお菓子屋さんがある。好きなパン屋さんは隣町だけど、わざわざ買いに行くのも良い。先日、ご近所さんと外焼き肉をしたのも楽しかった。
「何して遊ぶの?」と聞かれることもあるけれど、遊びのネタはたくさん転がっていて、毎日遊んで暮らしている気分だ(もちろん仕事もしているけれど)。
いろんなものが、ある。楽しみ方は人それぞれだけど、いろんな楽しみ方があって、面白い。十分、いろいろ、あるのだ。
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