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見た/映画「怪物」記憶を消してもう一度見たい

21時に川崎の109シネマズで見終わって、ラゾーナの外のエスカレーターで下りながら、胸の内には「ものすごいものを見てしまった……」という感情が渦巻いていた。もう外はすっかり夜で涼しい風が吹いている中、お店のきらきらの光を見ながら「これが、このコンテンツがたったの1900円?一万円くらい払ってもいい……」となった。

ぜひ、「なんの前情報も入れずに」見に行ってほしい。

動画配信サイトで出たら見るよ〜でもいいけど、仮にこのあと配信されてアマプラとかで見たら、絶対に「ああ、映画館で見ればよかった……」ってなると思う。

それは、映像とか音楽は大きい画面で味わった方がいい!!というのもあるけど、普段日常生活を送っている自分の部屋という空間でポテチぱりぱりしながら、なんならLINEの返信とかしながら適当に見ない方がいいって意味。映画館に行って、他のコンテンツの邪魔が入らないところでじっくり向き合って、自分の感情の変化を感じる「体験」をしてほしい。


以下、ネタバレ。





湊くんに対する不穏感や校長先生、瑛太に対する不快感で嫌な汗をかいた、前半。視点が変わって本当に少しずつ全体像が見えてきた、後半。そして、嵐のあとの生まれ変わった世界のようにきれいなラスト。

観終わったあとに、何を思ったらいいんだろうと自分の気持ちの置き場がなかった。

ああいう周りには理解されていないふたりだけの大事な時間って、わたしにも昔あったような気がする。(おともだちとの間にね)

種明かしがされるまでは、「一体何が起こってるんだ…」状態。監督の手のひらの上。

語弊かもだけど、結果的にみんな湊くんの言葉に翻弄されたことになるから、人は見たいようにこの世界を見ているよなって感じた。

湊くんがトンネルでお母さんに見つかったシーン、あれはよりくんを待ってたのねと思うと切ない。

お父さんは不倫して事故死したっておいおい…よりくんのパパと言い、この映画だめなパパしか出てこない。

伏線が回収されていくなかで湊くんが隠したかったこともわかって、それに対してあの清々しいラストは何か本人の中で折り合いがついたってことだろうか。

ちょっと横道だけど、瑛太はあのアナグラムだけですべてを察したの?察し良すぎない?とは思った。

高畑充希(昔から好き)画面映えするというか、やっぱり雰囲気持ってるな〜〜って感じがする。

凪良ゆうの「流浪の月」に似てるなと思った。周りから見た真実とは違う的な。ちょうどご本人もそういう文脈で語っておりましたわ。


ああいう子(湊くんのこと)は今も今までも、きっとたくさんいたんだろうな。わたしが気づかないだけで。

ふたりが幸せに生きられたらいいのになって思いました。


おしまい

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