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うつ×ADHD×東大受験 54 息子のマイペース受験記 東大合格発表

高3の夏休みにうつ・ADHDと診断された息子。センター試験直前に親子で向き合って話をしたことで症状が改善したが、間に合わず宅浪することに。そして共通テストは目標達成。理科大に合格するも東大は落ちたとの感触。失敗した慶應には合格しており、横国と悩み慶應に決断。東大の発表で東大生になる可能性がなくなることに寂しさを覚えながら発表の日を迎えた。

3月10日(水)東大合格発表

発表の朝、息子は私が5時半に起きたとき、まだ寝ずに、NETFLIXを
見ていた。周りにはお年玉袋からのお礼が出ていて、落ち着かないので数えていたという。

わたしが「目をつぶって横になっているだけでも80%の休息が得られるって書いてあったじゃない」と声をかけると、
「そんなことできる訳ないでしょ、これももうあと数時間だから」

夫と次男を送り出してからわたしも緊張。とにかく、慶應の手続きはすぐできるように入力情報を確定して印刷。表書きを印刷して貼った封筒、振込に持って行く分のお金を用意した。

もし東大がダメだった時、息子は大丈夫かな。もしかしてうつが再発したりするのだろうか。ダメだった時、なんと声をかけたらいいものだか・・・

ここまでよくなった息子のうつが、また去年のように悪化するかもという考えがよぎり、怖くて仕方なかった。怖いから発表が来ないで欲しいという思いとつらくて早くこの状態から脱したいという相反する思いが交錯して気が狂いそう。
息が苦しい。
1秒1秒が長くてたまらない。

とにかく何があっても息子を支えていこうと覚悟を決めた。

慶應はとてもよい環境だから楽しく充実した学生生活を過して欲しい。
まずは2日後に友だちと会う約束をしたというので、それを楽しんで欲しい。

息子は11時15分に自分の部屋から出てきた。11時から1秒に2回鼓動しているという。「ふー」と落ち着かない。

しばらくしてヒゲを剃って動画を撮り始めた。

発表

「さあ見るよ!」とサイトを開こうとするが、アクセスが集中していて開かない。深呼吸しながら何度も仕切り直す。

ようやくつながり息が荒くなった。
合格者の番号一覧が出てきてタローは
「とうとうこの光景きた!・・・待って・・・やばいやばいやばい・・・

あったー!あったー!あったー!東大生だ!!あったー!あったー!」とガッツポーズ。
「よっしゃー!」とこぶしでテーブルを叩いて窓を開け、外に向かって「ヤッター!ヤッター!」とガッツポーズをさらに高く挙げて叫ぶ。

わたしも息子が見終わったスマホで受験番号を確認。喜びと安堵がこみ上げる。

息子は「東大受かったー!なんで受かったんだ!どうしてだよー 受かったー!」と喜びを爆発させる。そして「すごいねー。すごいねー。よくがんばったねー」と涙でぐじゃぐじゃのわたしを抱き寄せ、「ありがとう!お母さん、受かったよ!よかったね!親孝行できたね。うれしいでしょ。そんな泣かないで。見たことないよ」

ふと心配になり「待って、本当に受かったよね?」と番号があることを再度確認すると
「信じられないよ!受かるなんて思っていなかったから。よかったー!受かったー!こんなうれしいの人生で初めてかもしれない。僕涙流してるよ。うれし涙なんて流したことないよ。やったー!」

確かに息子の頬には涙が光っていた。
一時は表情が消えた息子。その息子が喜びに涙している。

その涙はうつからの卒業証書に思えた。

合格おめでとう。
そして
卒業おめでとう。


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