朱りファーム

山梨県北杜市の八ヶ岳南麓標高1000mの高原にて夏秋イチゴを生産。

朱りファーム

山梨県北杜市の八ヶ岳南麓標高1000mの高原にて夏秋イチゴを生産。

最近の記事

夏イチゴの害虫と天敵利用

イチゴ栽培における二大害虫といえば、ハダニとスリップス(アザミウマ)です。 夏イチゴの場合、栽培期間が温暖な時期のため、冬イチゴに比べて害虫の増殖スピードが速いため、被害も大きくなりがちです。 近年、化学農薬による抵抗性・耐性の問題や、人体への健康被害回避などの観点から、生物農薬(天敵農薬)がかなり普及してきています。イチゴにおいても積極的に利用している生産者も多くなってきてはいますが、夏秋イチゴの生産現場では、現状は上手に活用するのはかなり難しい印象です。 前述

    • 夏秋イチゴのマルチについて

      夏秋イチゴでも多くの場合マルチをかけますが、冬イチゴとはちょっと違った目的というか考え方が必要になります。 マルチングの主な目的は 保温 雑草抑え 水分遮断 夏秋イチゴの場合、表面が白く裏面が黒い、いわゆる白黒マルチを使うことが多いです。よく勘違いされるのが、白黒マルチの地温抑制効果ですが、これは黒や透明マルチに比べれば抑制されるというだけで、基本的には保温されます。マルチなしよりは温度は上昇します。 それでも夏秋イチゴには白黒マルチ一択か、というとそうとも

      • 夏秋イチゴに土壌殺菌は必要か

        高設栽培でも土壌病害は発生します。 土壌殺菌については、有用な細菌も殺してしまうなど反対意見もありますが、一度酷い被害にあうと、やはり確実な効果をみこんで、土壌くん蒸剤を使用することになります。 萎黄病 夏秋イチゴでは、すずあかね でよく発生します。特定のフザリウム菌が原因で、土壌内の菌の密度が濃くなると発病しやすくなります。 発病後はランナーを通して苗にも感染するので、基本的には発病した株はすぐ除去します。 発病株が出始めてから効果のある農薬はありません。 セ

        • 夏秋イチゴのための栽培槽

          イチゴの高設ベンチの多くは、直管パイプを使用して組まれます。 専門メーカー製のもの、農業資材の販売業者に作ってもらうもの、自分で手作りするものでもよいですが、どんな栽培槽にするかも悩みどころです。 関東圏だと、夏秋イチゴの産地として有名な長野県は、発泡槽にピートモスというところが多い印象です。 夏季高温の環境下での栽培期間の長い夏イチゴ栽培では、少しでも培地温を下げたいので、ユニチカ製のラブシート等、透水シートを使ったハンモック式は有利です。透水シートの表面は

        夏イチゴの害虫と天敵利用

          イチゴメセンチュウ

          一般的にセンチュウというと、植物の根に害を及ぼすものをイメージしますが、イチゴメセンチュウは土からはほとんど検出されず、イチゴの株の生長点付近に生息します。 品種によって多少症状は違うのですが、それまで普通に展開していた葉や花房が、いきなり小型化・委縮します。分けつしている株の場合、全ての芽に同時に症状が現れるわけではなく、最初はたいてい一つの芽のみに現れます。 生育・収穫期間中に有効な農薬はありません。登録のある農薬はランネート45DFですが、これは育苗期間にしか使え

          イチゴメセンチュウ

          必須計測器

          イチゴの高設ベンチでの養液栽培は、少ない培土量で多くのイチゴを収穫するために、土耕栽培に比べると、細かい管理が必要となります。基本となる水と培土の測定に必要な計測機器があります。 phメータ ph計(ペーハー計と言ってますが、近年学校ではphのことを「ピーエイチ」と読ませるそうですね)は水の酸度・アルカリ度を測る計測器です。 夏秋イチゴは特に夏の期間に多くの水を必要とします。原水のphは重要で、phの高い=アルカリ度の高い水は基本的に栽培に適しません。ただ酸性にするこ

          夏秋イチゴは儲かるのか

          一般的な冬イチゴといろいろ比較してみます。 収穫量 冬イチゴの場合、農林水産省によると2021年の全国平均は10aあたり3,440kgだそうです。いちご大国栃木県だと平均4,790kgだそうです。 一方、夏イチゴは品種によりかなり差がありますが、10aあたり平均2.5tぐらいではないでしょうか。調べてもあまりデータがありません。6t 超えなんて神様みたいな方もいらっしゃいますが。 つまりだいたい冬イチゴの半分強といったところと思っています。 価格 次に価格。

          夏秋イチゴは儲かるのか

          高設栽培における培地について

          高設栽培では高設ベンチになんらかの培土を入れ、そこにイチゴを植えるわけですが、今回はその培土の話。 朱りファームでは、ヤシガラ100%とピートモス主体の混合培土をハウスごとに使い分けています。 ヤシガラ(ココピート) ヤシガラはココピートとも呼ばれ、冬イチゴでも夏イチゴでも高設培土としてよく使われます。メーカーによっては粒の大きさ別に商品化されていたり、あえて粒の細かいものから粗いものを混ぜているものなどありますが、個人的にはどれも大差ないと感じています。確かに細

          高設栽培における培地について

          ビニールハウスについて

          単棟ハウスか連棟ハウスか 単棟ハウスの良いところは、換気を良くすることができることです。 夏秋イチゴ栽培においては、これが最大のメリットと感じます。一般的な低コストの丸形パイプハウスでは、いわゆる「肩換気」ができるようにすることで、ハウス内の温度をほぼ外気温度と等しくすることができます。同様な仕組みなら連棟ハウスでは「谷換気」となりますが、やはり単棟ハウスの方が温度は下がります。 屋根型の連棟ハウスにはよく「天窓」からの換気ができるものがありますが、真夏の夏秋イチゴ栽培に

          ビニールハウスについて

          夏イチゴ栽培に適した場所

          「夏イチゴ」と言ってますが、夏秋イチゴ もしくは夏秋採りイチゴが正式に近い?言い方です。ネットで検索する時はこれらのキーワードを検索した方が様々な情報が見つかります。 朱りファームは山梨県北杜市にあります。現在、北杜市には夏イチゴ農家は3,4件しかありませんが、以前はもう少しありました。辞めてしまった農家さんの理由はいろいろ聞いていますが、ぶっちゃけ「採れない、儲からない」から辞めてしまったんだと思います。当時の1反あたり収穫量は1.5t程度であったそうで、仮にキロあた

          夏イチゴ栽培に適した場所

          自己紹介的なー

          はじめまして。 朱りファームと申します。 当園は山梨県北杜市は山梨県の左上部分、東京23区よりも広いそうですが、有名なモノだと八ヶ岳の南麓に位置します。標高はちょうど1000mですが、南斜面なので、日照は抜群ですが、夏はかなり暑くなります。 ここで夏イチゴをはじめて約10年になります。 認定就農者をとり、夏イチゴをやりたいと言った時には、まわりには反対されたものです。「トマトやれば?」とか「冬イチゴの方がいいじゃん」と。でも自分の人と違うことをやりたがる性格と、職業

          自己紹介的なー