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高設栽培における培地について

  高設栽培では高設ベンチになんらかの培土を入れ、そこにイチゴを植えるわけですが、今回はその培土の話。
 朱りファームでは、ヤシガラ100%とピートモス主体の混合培土をハウスごとに使い分けています。

ヤシガラ(ココピート)

 ヤシガラはココピートとも呼ばれ、冬イチゴでも夏イチゴでも高設培土としてよく使われます。メーカーによっては粒の大きさ別に商品化されていたり、あえて粒の細かいものから粗いものを混ぜているものなどありますが、個人的にはどれも大差ないと感じています。確かに細かいものは保水性がよく、粗いものは透水性がよいわけですが、ヤシガラの場合は粒の大きい粗いものでもその粒自体に吸水性があるので、透水性が良すぎて困るということはありません。むしろ何年も連用することを考えると、粒が粗目の方が長持ちする印象はあります。
 ヤシガラ選びの注意点は、十分に水洗いされているものを選ぶことです。ECが高くいとイチゴの生育に影響がでます。ヤシガラ培土のECを計る明確は基準はないのですが、適当な容器に半分ぐらいのヤシガラを入れ、水を注ぎよくよく混ぜます。その後上澄みの水をEC計で測定して、EC0.5以下ならば問題ないと言えます。粗悪なものだとECが4.0以上を示すものがあったりして、これだとイチゴの苗を定植後に強い影響がでます。まともに育ちません。
  もっともそんなヤシガラでも、運用後一か月もすると、ECを高めている ”アク” がほぼ流れて、いい状態にはなります。とはいえ、その年の収益には大きく影響しますからやはり注意が必要です。
 phは弱酸性を示す場合がほとんどで問題ありません。

ピートモス

 ピートモスもよく使われる培土で、ヤシガラと違い、ピートモス単品では保水性が良すぎるため、軽石やパーライトなどと混合して使う場合が多いです。でも長野県のとある地区ではピートモス100%の培土を使う生産者さんも多かったです。使用一年目は透水性もそこそこあり、とても良いのですが、二年目以降は厳しい印象があります。やはり連用するならピートモス単体よりは混合培土の方がよいと思います。
 ピートモスの特徴として、元々はphがとても低い酸性の培土です。ですから多くの場合、石灰等でphを調整して使います。単体のピートモスを仕入れて使う場合は、無調整なのか、ph調整済みなのか、確認する必要はあります。
 またピートモスは一度乾燥させてしまうと、固く締まり、水弾きが強いという特徴もあります。これ結構やっかいです。
 一方ECは問題ない場合が多く、新品で計測すると高い数値を示す場合でも、運用し始めればすぐに低くなります。

 培土はコスト的にも大きいので、できれば何年かは連用したいところです。朱りファームでは最低5年は使います。ただし土壌病害は怖いので、毎年土壌殺菌は行います。


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