アラサーOLが幸せのためにひとりで飲む夜。
お酒が好きな方なら頷いてくれるのではないかと思うのだが、「今日はお酒を飲みたい!」と思う瞬間が、わたしには結構な頻度で訪れる。
大きな仕事をやりきった夕方。
理不尽な圧力に疲弊した夜。
そして予定のない金曜日の18時。
だけど年齢を重ねるにつれて、急に誘えるような友人はかなり少なくなった。
旦那さんや子どもがいる友人なら、あらかじめ都合を聞いた上でなければ声をかけづらいし、同棲中の友人も同じ。
あの子は確か先月福岡に転勤になったし、あの先輩は出世して残業続きだと言ってたっけ…
そんなことを考えていると「誰か」を誘うことにも抵抗が生まれて、結局ひとりで飲むことになる。
そういう時、わたしが選ぶいくつかのお店には共通点がひとつある。
それは名前を覚えてくれているということ。
何度か通っていて、きっと認識されているのだろうなと対応や表情でなんとなく感じられるお店もあるけれど、名前を訊ねてくれるお店がわたしは好きだ。(これは人によると思うけれど、また来てくれてありがとう、の一言がすごく嬉しい。)
どうもわたしにとっての「飲みたい」は、正しくは「人に会ってお酒を飲みたい」らしい。
あかりちゃん、今日は何飲む?
その一言のあとに出てくるハイボールは、同じウイスキーを使っているはずのコンビニの缶より数倍美味しいし、カウンターでひとりグラスを傾けながらも、独りではない空間に安心する。
名前を覚えて、呼んでもらえる。
ほんの些細なことだけれど、人の感情なんてそんな些細なことで簡単に浮き沈みするものだ。
もしかしたら幸せと普通の境界だって、そのくらい些細で曖昧なものなのかもしれないなとぼんやり考えて、今日もわたしはグラスを傾ける。
寂しがり屋のわたしが大人になって手に入れた贅沢なこの時間は、なんとなく満たされなかった一日を幸せな一日に変えてくれる。
明日もいい日になりますように。
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