音楽に人生全振りするな
現時点で既に食っていけるレベルの収入がある人は一旦いいとして、収入どころか技術レベルすら全然お仕事レベルじゃない段階で音楽に人生全振りしない方が良いです。
私は高校卒業後、音楽の専門学校(厳密にいうと殆ど全ての音楽学校は私塾みたいなカテゴライズで専門学校ではありません。つまり私の最終学歴は高卒です。)に行って、勿論、在学中から卒業後しばらくするまではプロの音楽家を志していました。
進路を考えていた高校生だった私は、「まぁ最悪食えなかったら講師でもして生きていこう」なんて思っていました。
今、私みたいに考えてるミュージシャン志望の方はいませんか?
悪いことは言わないからガチでやめた方がいいです。
でも、夢見る少年少女は外野から止められるほど燃えるんですよね。
私がそうだったから分かります(笑)
特に私は9割以上の人が進学する普通科高校にいた為、進路希望出した週にまず学校の進路指導部の先生に呼び出されました。
そこで私が全く折れなかったので翌週親も呼び出し(笑)
そんなことがありつつ晴れて音楽学校生になれたのでした。
音楽学校の性質上、名前書ければまぁまず入学出来ます。
とんでもなくアホでも、楽器が下手でも全然入れます。
(余談ですが、ポピュラー系の学科がある音楽大学の方が実技、筆記、聴音の試験がある分、若干敷居高いですが、資料請求すると分かる通りポピュラー系学科はどこも定員割れを起こしてるので、論外なレベルじゃなきゃ通ります。大学卒業のお免状は貰えますが授業料は年間200万超です。因みに大卒と言っても教員免許とって教員になる以外の就職先はほぼありません。)
常識的な感覚を持ち合わせてたら絶対に選ばない選択肢なので、音楽学校に来るような人って基本的にどこか抜けてます。(お前が言うな
ただ、学校によって程度の違いはありますが、ある程度弾けないと授業についていけません。
特にうちの学校は譜面が読めずにリタイアする人が結構多かった印象です。
学校側は正しいデータなんて公表してないと思いますが、卒業式に参加する生徒は入学式に集まっていた生徒の1/3以下です。
なんなら入学後半年で半分くらい居なくなってます。
授業料勿体ねえ〜
結果的に、学校生活はめちゃくちゃ楽しかったです。
上手な人もいますし、何より音楽の話が出来る友達なんて高校には殆どいなかったので、気の合う仲間たちと朝まで騒いだり、本当に幸せでした。
あと、関係ないですが、圧倒的に男性比率が高いので、女性であるだけで結構モテます(笑)
冗談じゃなく入学式直後に自分の周りに人だかりができますマジで。
私は学内の人とは付き合いませんでしたが、同期の子は彼氏が途切れた瞬間に同期から先輩まで何人ものアプローチを受けてました。
たまに痴情のもつれで大戦争が起こってたりもします(笑)
そんなこんなで楽しい学校生活でしたが、卒業後から急に地獄が始まります。
まず、仕事なんかねえです。
学校側が斡旋してくれるようなことなんかまずありません。
学校のパンフレット見ると9割くらいの人がミュージシャンになってるって書いてあるでしょ?笑
あれ、バンド活動してるフリーターのことです。
卒業面談なるものがありまして、そこで
「卒業後なにすんの?音楽はずっとやってくんでしょ?」
て聞かれて、YESと答えると漏れなくミュージシャンとしてカウントされる仕掛けになってます。
(あれ、コレどっかから怒られるかな…)
つまり2年間遊び倒した高卒キリギリスが社会にいきなり放り出されるわけです。
まだ高卒でストレートに就職する方が仕事ありますよ。
で、上にも書きましたね。
多くの人は音楽教室の講師なんかしようとするわけですが、まず、供給過多です。
特にギタリストなんて、習いに来る人間より教えたい奴のが多いんじゃないかってほどいます。
そして、教室側もそんなことは分かっています。
なので、超絶ブラック労働です。
多くの教室は、講師陣を雇用してる訳ではなく、業務委託契約をしています。
詳しくは調べて頂きたいのですが、簡単に言うと自営の先生に対して教室側が単発で仕事を依頼しているという契約形態です。
そう聞くと「流行りのフリーランスか!なんか良さそう!」て思うかもですが、中身は完全歩合制の奴隷契約です。
本来、業務委託契約というのは依頼主と対等な関係であることが大前提なのですが、圧倒的教室の言いなりです。
雇用されている訳じゃないので労働基準法は適用されません。
不満を漏らそうものなら切られるだけです。
次の奴隷が順番待ちしてるので。
もう言っちゃいますけど、全然畑の違うアルバイトした方が楽で稼げますよ。
音楽に拘ると使い潰されます。
それこそ、音楽学校の先生とかになれれば単価高いですが、めちゃくちゃ狭き門です。
大体は一般公募している訳ではなく、その界隈で活動しているミュージシャンのコミュニティ内で知り合い伝手に話が回ってくる超クローズドな世界です。
まぁ最近音楽学校もバッサバッサなくなってるので、なれたとてそんなに安泰でもないですけどねえ。
因みに私が卒業した学校も既にありません。
まぁ色々書きましたが、音楽学校や音楽大学は無難に譜面が読めて楽器が弾ければ、それなりに楽しいスクールライフが送れると思います。
一般的な進学先よりも、目指すところが局所的に同じ仲間が多くいる特殊な環境は本当に面白いです。
が、卒業した後ガチで潰しが効きません。
私は別要因も重なり人生詰みかけたことがありますが、今普通に生活出来ているのは、ただただ運が良かっただけです。
高校生の時、普通に進学の道を選んでいればこんなことにはならなかったのにと何度も思いました。
音楽学校で教えてるような先生って直談判すれば結構個人レッスンやってくれるので、一般的なレールは踏み外さないようにしながら習いたい先生に習いに行き、それで音楽活動が上手く回るようならそこで初めて一般コースを切っても良いんじゃないかなと思います。
というか、もし高校生の自分に会えるならぶん殴ってでもそうさせます。
音楽学校、音楽大学に進学を考えている方って、きっと光り輝く成功している未来の自分をビジョンに持っていると思うのですが、実は進学に限らず人生の重要な決断をする時に大事なのは“失敗した時の最悪なケースを受け入れられるか”だと思います。
夢見る若者になんてこと言うんだと思うかもしれませんが、現実的に考えておかないと冗談抜きに取り返しのつかないことになります。
そして、音楽業界で生きるというのは、失敗する確率が一般的な仕事に比べて比にならないレベルで高いです。
平たく言えば私も失敗した側の人間です。
何度も言っている通り、音楽学校に入らなければ得られなかった幸せも沢山あります。
もし、あなたが今進路に悩んでいるのであれば、多大なるリスクにそれが見合うかどうか今一度よく考えてみて頂きたいと思っています。
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