無自覚のうちに拷問に耐えうる肉体に。【元被虐待児のパートナー】
虐待サバイバーのパートナー氏に「消えたい」の本に書いてあった、被虐待者が受けていた暴力の話をわたしなりに伝えていると、「うちは暴力よりも言葉の方がひどかったからね」と言う。そこまでの暴力はなかった、と。
なるほど、言葉の暴力が強かったのね。でも彼はときどきこうも話していた。「親にとってなにか気に入らないことをすると、ろうそくのロウを手の甲にぽたぽた垂らされていた」と。
たとえば彼は幼いころ、ジブリの映画の映画に出てくるまっくろくろすけのようなものが見えていて、そのことを母親に話すと「そんなこと言うもんじゃない!」って言ってロウを手に垂らされた、と。
彼はいつものごとく感情を入れずに淡々と語るので「そうなのね!」くらいでわたしもあまり気にしてなかった(気にしろよw)けど、よくよく考えたら。溶けたロウって、そうとう熱いよね??
調べたら、60~70度くらいとのこと。普通にぎゃーー!って叫ぶよね? しかも、液体とちがってロウは皮膚に張りつく。やけどするよね? 相当痛いよね? しばらく痕のこるよね? そんなのを幼いころから受けていたって、暴力というか、拷問じゃ・・・・
「手首から先の神経を『切る』と、なにも感じなくなる。そのうち、親に手を差し出せるくらいになってた」
「・・・・」
足の指の爪が全部死んでも、10キロ走れる彼
彼の足の指の爪は、これまでもう何度も死んで黒くなって、はがれ落ちてきた、と言う。だから彼の爪はいま、紙のようにぺらっとくっついている感じになってる。
以前、ハーフマラソンを走っていたとき、靴が合わなくて気づいたら足の指の爪がすべて真っ黒になってたけど気にせず走り続けていた、というエピソードも聞いていた。足の爪が全部真っ黒になるって!
彼は痛さを意識的に「麻痺」させることができるのだ。それは、小さいうちから培われてきた技。
「それって、すごいことだよね? 拷問にあっても絶対『吐かない』ことできるよね? 指の爪、はがされても・・・」
「うん、大丈夫」
拷問にあっても痛みを我慢できるって、こういう人のことなのか・・・
「その特技、なにかに使えそうだよね?」
思わずまじめに聞いてしまった。
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