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組織が「ユーザー」の解像度を上げる、ユーザーインタビューの実践

NewsPicksのデザイナーのよっしーです。
先日のUX JAM ONLINE 03でお伝えしきれなかった内容を加えてまとめました。ユーザー視点でのプロダクト開発とその文化づくりにNewsPicksの事例が参考になりましたら幸いです。

プロジェクトのはじまり

NewsPicksは「経済を、もっとおもしろく。」というメッセージを掲げて、経済ニュースのキュレーション、オリジナルの特集記事や動画を提供しています。NewsPicksがスタートした2013年9月時点ではニュースのキュレーションが中心でした。2014年オリジナルコンテンツをリリースし、2017年にアカデミアをリリースし、動画コンテンツにメイクマネーやWEEKLY OCHIAIが配信され、2019年にNewsPicksパブリッシングを創刊…。企画や事業が次々に立ち上がる一方、ユーザーのニーズ調査においてアンケート以上の具体的な分析が間に合っていませんでした。また議論の場において、ユーザーイメージが抽象的なまま会話が進められ、それがある意味共通認識になっているために疑問を持たない状態に危機感を感じていました。

2019年7月、メンバーは私とマックス、見守り役として当時CTOの杉浦さん。スタートに当たってインタビューの目的の再確認とプロセスを整理するところからはじまります。

ユーザーインタビューの目的
① NewsPicksの価値を明らかにすること
② ユーザーの行動変容のその背景を知ること
③ ユーザーイメージの具体化

ターゲットユーザーを明確にする

まず、ターゲットユーザーイメージの言語化を行います。NewsPicksで唯一言語化されていた「ビジネスパーソン」というキーワードを中心に具体的に要素を洗い出していきました。

次に、インタビュー対象者を抽出します。デモグラデータに行動データなどを組み合わせたマスターデータからターゲットユーザーの要素に当てはまるユーザーを絞り込んでいきます。そして、契約体系・利用頻度・NPSで分類し各カテゴリで数名ずつ選定。今回は利用ユーザーへのニーズ調査が目的なので「未認知」「認知・未使用」の方は必須ではありませんが紹介等で1~2名ずつヒアリングを行いました。

当時整理したメモ↓

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これらのユーザー選定における分類は、西口 一希さんの「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」を参考にしています。商品の違いなどで一部指標の軸を変え算出しています。最終的にNPSが満足度の指標として必ずしも参考になるものではないことがわかってきました。(低評価であっても満足していたなど)「〜に紹介したいか?」という質問が個人の関係の状況によって評価がブレやすいので利用する場合注意が必要です。そのため書籍でも、本人の次回購入意向となる指標を利用するとあります。詳しくはぜひご一読ください。

インタビューで注意したいこと

インタビューであればお仕事や私生活についても触れ、お話を聞くことになります。運営面やコミュニケーション面で注意を払わなければなりません。

不安なくお話ししていただくため、トラブルを防ぐために同意書を用意しておくのがよろしいかと思います。事前にメールにてインタビューの内容をお伝えした上で、当日は同意書を用意し署名いただいてからインタビューを行いました。

たいていの方は、ご自身の考えを言語化することに慣れているわけではありません。運営側の人間がいればなおさら本心で答えにくいものです。そもそも本人でさえ感じていること、考えていることを全て理解できているわけではありません。私たちは相槌や質問の仕方で意図せず先導してしまう可能性があります。インタビュアーは、必要な情報を引き出すサポートしていく役割だと認識した上で、事前にヒアリングシートを作成し(ユーザーごとに内容をカスタマイズ)、以下のことに注意しながらインタビューを行いました。

・「なぜ」を出来る限り使わない。「なぜ」と質問責めを繰り返すと相手はプレッシャーを感じてしまうため「〜について教えてください」と発言を促すように。
・意図せず抽象的な言葉は使わない。また抽象的な表現で返ってきた場合に具体的に掘り下げること。
・相槌の際に、要約しないこと。オウム返しはOK。
・論理的でない答えを引き出す。普段から感じていることや直感的な反応を探るため、論理的すぎる場合には質問の仕方を変えてみる。
・質問の流れは出来る限り自然に。内容が頻繁に変わるとインタビュイー側が考えてしまい、直感的な回答を引き出せない。などなど

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インタビューにマネジャーを巻き込む

ユーザーがリラックスできるような環境であれば、より自然な会話の中で引き出せますね。可能な限り広めの会議室を用意し、席をユーザーの斜めの位置に座る、アイスブレイク用のお菓子を用意する、空調、音楽を流す?など日々改善を重ねていきました。インタビュイーが社員の知り合いの場合には、隣に座ってもらい会話してもらいながら質問を挟み話を引き出す、といったことも試みました。

インタビューにはマネジメントメンバーを招待し、リアルなユーザーの反応を直接見ていただきました。気になったことは直接質問していただきます。そうやってユーザーの予想外の反応を知り、生の声を聞く必要性を感じていただきたかったのです。プロダクトのユーザー体験高めるために、インタビューは継続されなければ意味がありませんし、結果だけを見て良し悪しを判断するものではありません。マネジメントメンバーをプロジェクトのプロセスに巻き込んでいくのは大事だと考えています。

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オンラインでのインタビューは、モニター越しではあるものの、お互いにリラックスしやすい環境を選べる点や、移動の手間、時間の確保、特に学生のように遅くまで授業を行なっている場合にもインタビューを受け入れていただきやすい点でよいかもしれません。

ペルソナ化、そこで見えてきた課題

最終的に20名以上の方にインタビューを実施することができました。インタビュー動画を編集し、コメントを集約。感情マップとジャーニーを作成し、ニーズや契約形態別にペルソナ化。それらを最終成果物として社内に展開、共有を行いました。

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「プロダクトの改善にどう活かせばいいか分からない」

ユーザーリサーチプロジェクトは終えたものの、分析結果やペルソナの活用方法を伝える必要があることがわかり、ワークショップを行いながらユーザーの解像度を上げる文化づくりを行っていくことになります。

文化づくりのためのワークショップ

1.  個人ワーク:ユーザーの特徴を提示しイメージするユーザー像を書き出す
2. チームワーク:お互いのイメージを共有する
3. 実際のユーザーの動画を見る
4. ペルソナを見る
5. ブレスト:HMVを考え、アイデア出しを行う

1. 個人ワーク:ユーザーの特徴を提示しイメージするユーザー像を書き出す
ペルソナシートから一部のユーザーの属性情報だけを提示します。数値分析をしていた時にはここまでの情報しか見えていなかったはず。

2. チームワーク:お互いのイメージを共有する
ご自身の認識がどんなものなのか、他の人が想像するものとのギャップを認識していただき、視点が異なれば見え方が違うことを知っていただくためのものです。

3. 実際のユーザーの動画を見る
インタビュー動画を見ていただきます。「NewsPicksを毎日開くユーザーであればパリッとしたスーツを着たビジネスマンなのでは?」というイメージを持っていた方がいたら驚くでしょう。実際にはそのイメージとギャップのある、様々なキャリアやライフスタイルを送られている方がたくさんいらっしゃいます。

4. ペルソナ(感情マップ・ジャーニー)を見る
最初のワークで提示していない、感情面や利用してからの行動変容についての情報がまとまったペルソナシートをお見せします。一部の属性情報だけでは見えなかったユーザーイメージがより鮮明になり、届ける相手を想像して考えることができます。

5. ブレスト:HMVを考え、アイデア出しを行う
HMVは「How might we~?」は「どうすれば私たちは~できそうか?」という日本語に訳される短い質問文であり、それぞれのペルソナにあるユーザーゴールをどうすれば満たすことができるだろう?という問いを立て、ブレストを行います。ユーザーの解像度が上がるとどのようにアイデアの出し方が変わるか感じていただきながらペルソナの活用方法を体感していただきます。

プロジェクトを終えて

インタビューからワークショップまで充実したプロジェクトを終え、社内でいくつか動きがありました。NewsPicksをより多くの人に使っていただくアイデアとしてSNS向け動画制作がスタートし、他チームから声を受けて個別のワークショップを行うなど、デザインの力が必要だと関心や期待値が高まっているのを感じました。文化はすぐには変わりませんが、このような動きが直後に起き、重要性を感じたメンバーが周囲を巻き込む空気や、Slackの#np-user-researchチャンネルに90名もの社員が参加していることなど嬉しい限りの反応です。

ユーザーインタビューを行うということは「ユーザーを見る」意思の表明だと考えています。ロイヤルユーザーの体験を改善することが最も売上に直結します。ユーザーを知る、すると精度の高い施策を出しやすくなり、聞くべき声を判別し改善を早め、チームが同じ方向を向いてコミュニケーションができるようになります。UZABASEグループの7つのルールの一つ「ユーザーの理想から始める」を実践していくには、一度のインタビューではまだまだ足りません。継続的なインタビューと改善、行っていく体制が重要です。

そして、インタビュー後制作された動画はこちら

インタビューに応じてくださったユーザーさんにもご協力いただき制作されました。NewsPicksの様々な使い方をご紹介、素敵な動画に仕上がりました!ご協力いただき、ありがとうございました!


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yoshikawa akane

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CS出身のUI/UXデザイナー。トーマツ子会社や株式会社LIGのCSを経て、2017年一念発起でデザイナーへ転身。業務委託先や個人でwebやアプリデザインをひたすら作り続け、2018年9月よりNewsPicks。Portfolio: https://akanyoshi.com