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岩石その1:未だに解らない見分け方と堆積岩編。

なんとかして見分けられるようになりたい岩石・鉱物について、お話しします。


秋葉原でキャンペーンやってたときの思い出
JAXA筑波宇宙センター(茨城県つくば市)

2020年1月放送のテレビアニメ『恋する小惑星』
少女たちの青春を鮮やかに描いた名作地学系アニメであり、2024年8月号をもって原作漫画も完結。
舞台である川越で聖地巡礼をしたし、つくばの研究施設にも勉強しに行ったし、石垣島で天体観測もした。
何より、地学という分野に興味を持ち始めてから3年半、旅行に赴く際には、常にその知識の実践を意識してきました。

A&W石垣店(沖縄県石垣市)
時の鐘(埼玉県川越市)

特に、岩石学地質学という分野。
簡潔に言うと、旅行先の散歩中に目に入るあらゆる岩石について、その学術的名称を諳んじられる程度にはなりたいと、緩やかに決意してきました。
そのためにもいくらかの本を読み、大学時代には他学部の授業に潜り、いまでも小さな図鑑を持ち歩いていますが…
ぜ~~~~んぜん、覚えられていません。

たしか道の駅親不知ピアパークの展示(新潟県糸魚川市)

というわけで、ブログに書いて文章化することで、更なる理解を図る時がやって来ました。
奥深い岩石の世界を、知でもって切り崩す良い機会です
そんな岩石、成り立ちから大別して①堆積岩②火成岩③変成岩があるのですが、今回は【①堆積岩】について、語ります。


岩石の三分類

これが固まって岩になるというのはあまり現実味がない。

改めて、堆積岩についてです。
堆積岩とは、粒子が降り積もって固まってできる岩石。
さらに細分化すると、

  • 砕屑岩:火山由来の成分以外が堆積
     ← 泥岩、砂岩、礫岩

  • 火山堆積岩:火山由来の成分が堆積
     ← 凝灰岩、角礫凝灰岩、緑色凝灰岩

  • 生物岩:珊瑚など生物由来の成分が堆積
     ← 石灰岩、チャート、石炭

今日覚えるべき知識はたったこれだけです。少ない!
しかし念のため、それぞれについて注釈していきましょう。

砂岩層と礫岩層の不整合(埼玉県秩父郡皆野町)

まず砕屑岩。砂岩系統ですね。
砂粒の大きさの違いによる分類で、1/16mm以下ならば泥岩(それ以下にシルト粘土岩もあり)、1/16~2mならば砂岩、2mm以上ならば礫岩。
全体的に滑らかな質感で泥岩はやや黒みがかり、礫岩に近づくにつれて白みがかる印象。
堆積年としては様々な時代のものがある印象だが、特に海沿い平地の第三紀~第四紀層には砂岩層が卓越する印象を受けるので、この時代が多い気がします。

思い返すと、このブログシリーズでも千葉砂岩編は取り扱っていましたね…

寒霞渓(香川県小豆郡小豆島町)
角礫凝灰岩製宝篋印塔と卵塔(香川県小豆郡土庄町)

次に火山堆積岩。凝灰岩の系統ですね。
表面はガサガサして、破片上の細かい粒子があるようで、穴が開いているようにみえる。
火山礫凝灰岩なんかは多孔質な軽石やスコリアを含み、より目視しやすい穴あき具合である。
黒色の岩石を見ると、個人的に砂岩or安山岩で判断しにかかってしまうので、正直言うと、判別が苦手な分類たち。

山形県立博物館(山形県山形市)
沖縄県立博物館・美術館(沖縄県那覇市)

ちなみに、輝石や角閃石などの鉱石が熱水により緑色になると緑色凝灰岩。すなわちグリーン・タフ!
タフって言葉は堆積岩のためにある!

秩父・武甲山登山中に見かけたチャート

そして生物岩。特徴的なので、これは流石に全て覚えています!
まずはチャート。リザリアの放散虫、その二酸化ケイ素殻から成る、めちゃくちゃ硬い岩石。
火打石の原料であり、擦るとなんとなく焦げ臭い。
河原の赤い岩石といえば大体これ。
ただし、堆積年代の酸素含有量で色は黒くなったりならなかったりします。

沖縄県立博物館・美術館(沖縄県那覇市)
玉泉洞(沖縄県南城市)

石灰岩。刺胞動物であるサンゴの遺骸が固まった岩石。
白くてスベスベなので、フィールドワーク中でも基本は容易に区別できる。
沖縄回でも取り上げましたが、産業利用・観光できる石灰岩は石炭紀・ペルム紀くらいのものが多いが、琉球石灰岩は更新世の比較的新しいものです。

山形県立博物館(山形県山形市)

石炭。黒いダイヤ、産業革命の象徴。
地中に埋もれた植物の遺骸が固まった岩石。もはや語るまでもないですね。まァ、亜炭も石炭も天然のものは見たことないですが…


岩石観察実践編

ここからは実践編。
いつもの地質図を参照しつつ、実例で確認していきましょう。
まずは想い出の千葉から、その中でもイチオシの砂岩・ジオスポットは銚子
関東平野の東端、その中でも隆起を続けている古第三紀以前の地層が突き出しているという、めちゃくちゃ面白い土地です。
上の写真は犬吠埼付近の海岸にて撮影。
砂岩層の積み重なりやタフォニが、じっくりねっとりと観察し理解できる場です。

こちらは同じく銚子の屛風ヶ浦
下総台地が海の波によって削られた崖で、約10㎞にわたり砂岩層が高く連なっている姿は圧巻です。
上部は関東ローム層、続いて浅海で堆積した約10万年前頃の地層(香取層)、下層が比較的深い海で堆積した約300万~100万年頃の地層(犬吠層)です。
学問とか深いことは考えずとも、その風景を見るだけでもとても楽しい場所であります。

寒霞渓(香川県小豆郡小豆島町)
耶馬渓(大分県中津市)

あまり自身の無い凝灰岩ですが、これは奇勝と謳われるような激しい崖地に多い印象。
屹立する岩肌は、遠目からでも凝灰岩であるとわかるのでよい。
寒霞渓耶馬渓も、実際に近づいてみると、ザラザラした凝灰岩の印象は確認できました。

波切不動(石川県白山市)
門前の灯篭(山形県南陽市)

歴史ある石碑や道端の石像は、感覚として角礫凝灰岩がそれなりに多い気がします。
(凝灰岩が何故未だに苦手かというと、安山岩系との区別が個人的に難しいと感じているからなんですね…)
色だけでなく、粒子のサイズや孔のようすまで含めて、落ち着いて、判断できるようにしていきたいですね!

こちらは静岡県浜松市舘山寺の湖岸にあるチャート。
浜名湖を望む湖岸が一面の赤色であるという、なんとも衝撃的な光景。
ここまで一様にチャートチャートチャートであるというのは、実際スゴイ。一見の価値アリです!

石灰岩を見るなら、やはり鍾乳洞付近がよいです。
鍾乳洞内に行ってしまうと、暗い&水でヌルヌル&ワクワク感で冷静な判断ができなくなってしまうので、鍾乳洞「付近」というわけですね。
写真は岡山県新見市の阿哲台、観光鍾乳洞の井倉洞付近。
自然に形成された洞窟を活かした祠、高梁川を深く切り込む白い絶壁、そして駅前から一面に広がる石灰産業施設の山。
これもまた、自然の豪快さと人間の営みとの関わりが窺い知れる大変興味深い土地です。


逢島隧道(千葉県南房総市)やわらか隧道と砂岩の地山は千葉県の特権
砂岩層を切り抜いた川廻し(千葉県君津市)

以上、堆積岩覚え書きでございました。
身近な岩石であるし、覚えるべき用語も少ないので…
まずはこれくらいから、じっくり覚えていきたいですね!

そして、写真フォルダにまだまだ眠る岩石写真たち。
これもいつか開放して、復習に使っていきたいですね!!


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