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房総半島砂岩隧道編。

房総半島の楽しみ方について、お話しします。


養老渓谷編

養老渓谷(千葉県市原市)
養老渓谷の川廻し遺跡

おはようございます。
ここは千葉県市原市・夷隅郡大多喜町を流れる養老渓谷。
養老川をはじめとする中小規模の河川が激しく蛇行しており、房総半島中部はなだらかな丘陵地帯が続きます。

20万分の1シームレス地質図V2より房総半島一帯

このように地質図を見ても分かるように、房総半島一帯は全国屈指の砂岩地域(緑色のところ)。
加工のしやすさと建材としての信頼性からか、どこをほっつき歩いていてもステキな砂岩隧道と巡り合える。
それが房総半島の凄味なのです!

たとえば、先ほどの渓谷付近にあるこちらの向山・共栄トンネル。
坑口は一般的なコンクリートトンネルの様相ですが…

素掘り隧道とライナープレート・コンクリート覆工が実に混沌とした姿で融合!
旧トンネルから掘り下げて新トンネルを整備したことから、新旧のトンネルがくんずほぐれつの奇妙な景観を創り出しています。
また坑口デカくなったな!


勝浦理想郷編

お次は海沿いです。千葉県勝浦市鵜原周辺。
この前日は和歌山県の那智勝浦にいたので、何だかシンパシー。
おそらくは悪田の「渇」が吉兆地名化した「勝」と、水沿いの「浦」。
ありがちといえばありがちですね!

それはともかく、「理想郷」とは一体・・・?
これは、夢なのか、現実なのか…。
暑い真夏の昼、過熱した隧道は、遂に危険な領域へと突入する―――

駐車場から右手に進んですぐ。
手前に屋根付きの、滑らかな手彫り隧道と接触だ!
ていうか、土被り浅くないですかね・・・?
これほどまでに砂岩が信頼されているとでもいうのでしょうか。

そして隧道エモ八景のひとつ、アーチインアーチ!?
次のトンネルは目と鼻の先だ!

こちらはやや武骨な雰囲気ながら、砂岩手掘り感は継続中。
前隧道もそうですが、路面がキレイで証明完備、石材やモルタルで補修アリ。
でも覆工はないという、違和感しかないアンバランスさ。
これはこれでバリバリ現役感を感じられる、ありがたみのある光景ですね!

この上旅館では?謎の駐車もあるし・・・と多少の不安を患いながら、歩みを進めます。
三連隧道の大トリはやや長め。
この暗がりを分けていく感じ、あぁ^~たまらねぇぜ。

隧道群のあとは海辺のお散歩コースが続きます。
さて市のウェブサイトによると、「理想郷」は別荘地計画のための命名。
確かにこのリアス海岸の美、そしてステキな隧道たちを見ると、その名も僭称ではないかもと頷けますね・・・。


月崎隧道無双編

別日です。市原市に戻り、同市月崎の集落付近。
県道から小さな丘を抜けるためのこちらの隧道は永昌寺トンネル。
路面を含め一部現代的な改修がなされているものの、明治31年竣工の素掘り隧道が残存しています。
道は使われてこそですからね。
地元の方々にとって便利な方がより良く、末永く残ってほしいと思うものですねぇ。

林道をさらに進むと、房総らしい隧道がさらにふたつ。
柿木台第一トンネルと第二トンネル。
ここでは地元民の方とのすれ違いがありました。
人里近いとはいえ、田舎の隧道巡りは孤独感との勝負でもあります。
やはり、挨拶ができると安心感がありますね!

帰り道。
この分岐は行き止まりだな、この跡は切通だなとガタイで分析。
しかし、隧道・切通を造り分ける基準とは一体・・・?
また調べなければならないことが増えましたね!


房総川廻し編

チバ二アンビジターセンターで撮影
チバ二アンビジターセンターで撮影

さて。
房総半島のもうひとつの特徴的な景観といえば、川廻し。
川廻し、簡潔に説明するとすれば、河川のバイパスのこと。
房総半島の緩やかな河川の蛇行、柔らかな砂岩地質の特性とが合わさり、市原市周辺に独特な景観を形成しています。

たとえば先に載せたこの養老渓谷の地点、ここも巨大な川廻し遺跡だったそう。
この古写真の様相、今の景色の規模感からは全く想像がつかない。
ここまで来たのなら・・・
現役の川廻しも探しに行かないとですよねぇ!!!

地理院地図より 隧道表記が確かにある

先ほどの市原市柿木台の二連トンネル付近。
「浦白川のドンドン」が、現役川廻し候補のひとつ。
地理院地図によると、確かにここに対象物件がありそうなのだが・・・。

めっちゃ藪で草生える
誰も来ねぇぜ?すっげぇ山奥だからさ。
ヤマビルに怯えながら、やや歩みを進めると・・・。

あ り ま し た
そしてデカい。マジかよってくらいデカい!
5m以上?10m以下?の高さと意外にも早い川の流れも相まって、なかなかの迫力です。
ホントなら中に入ってみたいけど、さすがに未知の危険がありそうなので断念。
もし行きたいならこういう場所は複数人で来なきゃダメだろ。
再 走 し ろ


おわりに

林道月崎1号線(千葉県市原市)

以上、房総半島の砂岩隧道の魅力をなんとなく味わってみました。
房総半島はこれに限らず、テキトーにほっつき歩いていても感動的な隧道と巡り合える隧道頻出地帯。
首都圏真横なのでアクセスも良好と、初心者にオススメの隧道は房総!なのでした。
また次回は・・・新たなエモ☆隧道に出会えるといいですね!     

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