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「これぞ真のカブライダーだ!」  町で見かけるアノ赤いバイクが冬だろうと走り続けられる秘密を聞いた!

こんにちは。崎です。
北海道に来て初めての冬を過ごしています。
北の冬は大阪と比べ物にならないほどとにかく寒い。寒いを超えてもはや痛い。想像を超えてくる冬のアレコレ(水を落とすとか)に慣れるだけでも精一杯です笑

ドカ雪が降った阿寒町

さてさて。冬を過ごす中でびっくりすることがありました。
ある日、「ピンポーン」と家のインターホンが鳴りまして。「はいー」と出るわけです。
郵「郵便でーす、サインお願いしますー」」
崎「どーもー、寒いですねぇ」
郵「今日は冷え込んだね、路面もひどいや。あ、サインありがとね!それでは〜!」
崎「お疲れ様です〜」

郵「(ブロロロロロ….)」

……

ええええ!!
ブロロロロ!?この音はまさか!

バイクで配達してんの!!??

颯爽と駆け抜けていった郵便局の方

さっきあの人は自分で言っていた…
「路面もひどいや〜」と…
そんな中まさかバイクで配達をされているなんて!

てっきり「冬になればヒグマとライダーは冬眠する」と思っていた私は驚きを隠せないのでした。
そしてなんでこの路面でも走れるのかが気になった私は、その秘密を知るべく郵便局へと早速取材へ行くことにしました。



■秘密だらけの郵便バイク

今回、取材を受けてくださったのは阿寒町をバイクで駆け抜けて3年以上の越野 暁さん。
郵便バイクを知り尽くし、そして実際にバイクで走っている方に色々と秘密を聞いてみることに!

いつも郵便を届けてくれる越野さん


●郵便バイクは専用設計車だった!

ー今回はよろしくお願いします!こうやって郵便バイクをじっくり見るのは初めてです。笑 

そうですよね。笑
今では「HONDA」製のバイクがほとんどですけど、昔は「ヤマハ」とか「スズキ」とかたくさんの種類のバイクがありました。懐かしいなぁ笑

多分一番身近な「はたらくバイク」こと郵便バイク

ーそうなんですか!これはホンダのいわゆる「スーパーカブ」ですよね。

スーパーカブがベースだと思います。でもこれ「MD110」と言って、郵便局向けに専用で売られてるって知ってました?

ーえ!改造じゃないんですか!?

そう。この形と色で最初からホンダで売られているんですよ。MDっていうのが確か「Mail Delibery(メールデリバリー)」の略称なはず。

スーパーカブのロゴもこのバイクには入っていないでしょ。

HONDA(株)に確認してみたところ、現在もMDという名称で郵便局向けに販売しているとのこと。現在のMDシリーズは「スーパーカブ110プロ」がベースとなっている。
詳しく教えていただきありがとうございました!

https://www.honda.co.jp/SUPERCUB/PRO/

本来のスーパーカブなら座席下の側面に「Super cub」のプレートがあるが
MDシリーズにはついていない


●冬でも走れる秘密は「タイヤ」にあり!

ー全然知らなかったです…。面白いですね!冬に走ることができる秘密ってなんなのでしょうか?

それはタイヤを見ればわかりますよ!

よーくみてみると…

ースパイクタイヤ履いてるんですか!

そう。阿寒郵便局のバイクはスパイクタイヤを冬の間は履いています。大体路面が凍り始める11月終盤〜4月ごろまでかな。

雪の多い地域、例えば道央とかではチェーンタイヤを装着しているバイクもいます。ただ阿寒町は雪よりも凍結路面対策の方が重要なので、チェーンではなくスパイクタイヤを採用しているんです。

スパイクタイヤの装着は法律、条例で規制されています。詳しくは各地域の条例や国の法令をご確認ください。
《北海道におけるスパイクタイヤの使用制限について》
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/jss/khz/contents/taiki/jyourei.html

もちろん後輪にもスパイクタイヤを採用

ーなるほど!その地域の気候によっても使い分けがされてるんですね。
ちなみに普通のスタッドレスタイヤと比べても走りが違うもんですか?

特に走り出しが全然違うかなぁ。氷をしっかりとスパイクが噛んでくれるのでグリップ力がかなり違う。おかげであの凍結路面でも滑らずに走れていますね。もちろんめちゃくちゃ気をつけて走るけど!


■住宅街配達に欠かせない存在

ー冬でもバイク配達にこだわる理由って何なのでしょうか。

阿寒町自体はとても広いんだけど、バイクで配達をしているのは阿寒町の中でも住宅街エリアだけなんです。それ以外の場所へは基本的に自動車での配達をしています。

やっぱり住宅街の道は細かったり、とても入り組んだ道も多いので、小回りの効くバイクでの配達の方が効率良く早くお届けすることができる。冬でもこのスタイルを崩さないのはその効率の良さと使いやすさなのかもしれないね。

■命を預けて乗るもの。手入れは絶対に手を抜かない。

ーこのバイクを見たときにとても綺麗だなと感じていたのですが、結構新しいバイクなんですか?

いやこのバイクは自分が阿寒郵便局配属になった前からあったので、もう5年以上走っているはず。

綺麗に見えるのは洗車を基本毎日やってるからですかね。
あまりに気温が低い日はバイクが凍ってしまうのでしませんが、それ以外の日は欠かさず洗車しています。

ーええ、毎日!

やっぱりお客さまの目に見えるものですし、命を預けて乗る仕事道具。手入れは欠かしてはいけないものと思っています。

ー特にメッキの部分なんて見事ですね。まるで新車みたいな輝き!

これは「メッキがピカピカじゃないと洗車しても綺麗に見えないぞ!」という自分の師匠(先輩)からの言葉があって笑
確かにその通りだと思って、メッキ周りは特に意識して念入りに手入れを行っています。

マフラー部もまるで新品かのような輝き
ホイールを見ればその見事な手入れぶりがわかる

ーなるほど、師匠のお言葉が根底にあったんですね。モノを大切にする精神は自分も意識しないとと感じました。
今日はお忙しいのにありがとうございました!


■最後に

「バイクの秘密を探る」というテーマを超えて、越野さんの仕事に対する向き合い方のようなお話も聞けた取材になりました。

それにしても面白かったな…
郵便専用バイクとして販売されてることに一番驚いた。てっきりベース車両をどこかの会社が改造して販売してるものかと思ってた。

こういう普段見かけるモノやコトにめっちゃフォーカスする取材は今後も増やしていきたい!そして、阿寒町の仕事密着シリーズもやってみたいなと強く感じました。

今回、ご協力いただいた越野さんはじめ、阿寒郵便局さん、本当にありがとうございました!


(協力)阿寒郵便局


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