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"空想日記“⚡️no.31

〜時は少し遡る。

祭りの準備会場である竜滝の祠にて

『なんだぁ!?』

雷藏家現当主である
雷藏誠剛(らくらせいごう)は

一本道の辺りの
騒がしさに気がついた。

『んー、あれは十造さんのところの童達と初くん達ですかねー。…喧嘩みたいですね』

飛雪家次期当主である
飛雪爽一(ひせつそういち)が

目を細め、
一本道の方を見据え答えた。


誠剛『爽一、適当をぬかすな!
   あんな遠い所
   見えるわけがないだろう。』

爽一『いえいえ誠剛さん
   僕はこれでも飛雪家ですよ。
   これくらい見えて当然じゃないですか。』

誠剛『どうだかな〜お前の言う事だ!
   あてにならん。』

爽一『そんなこと
   言わないでくださいよ〜』

爽一の声など
耳にも入っていないかのように
華麗にあしらった誠剛は、
近くに居た
時雨家現当主である
時雨十造(しぐれじゅうぞう)
に呼びかけた。

誠剛『おい聞いたか、十造!
   お前んとこの坊主が、
   利根子の坊主と揉めてるみたいだぞ。』

爽一 (…………ぇ、
   あてにしてるじゃないっすか…)

十造『そんなはずがないだろう!
           いいから黙って縄をひけ
           祭りの支度がいつまでも終わらん』

誠剛『…そういうとこだぞ!
           時雨家のもんは頭が固すぎる。
   嫌だね〜これだから職人カタギは…』

十造『なんだと、誠剛!
   頭をカチ割られたいのか?』

ただでさえ祭りの準備に追われ
忙殺されているというのに、
現当主ともあろう立派な方々が
くだらない言い合いを始めてしまった…。

爽一『…はぁぁ…僕、
   利根子さんを呼んできますね!』

爽一は半ば呆れ気味にそう言い残し

颯爽と走り去っていった。

誠剛『あっこら、爽一!手を離すなーーーーっ。

   …ったく…行っちまいやがった』

  (爽一のやつまた一段と速くなったな…速さだけならそのうち、わしに追いつくやもしれんな…)








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