先進国の教育水準はもうピークに達した?これ以上の発展は子供を苦しめるだけなのか?(ポール・モーランド氏)

成果主義のプレッシャー
教育が持つ、達成しなければならない、順応しなければならないという側面は精神的プレッシャーの一因になり、誰もが耐えられるわけではない。韓国を見るとそれがよくわかる。韓国は教育を大きなバネとして、以前には考えられなかったほどの繁栄を遂げたが、成果主義の教育制度はこの国の若者たちを大きな不安に陥れた。
誰もが一流大学を目指すことを求められ、競争率の高い入学試験を突破しようと必死になるからだ。ストレスを感じている生徒は86パーセントに上り、休みを取ると罪悪感を覚えるという生徒が75パーセント近くいて、夜は11時まで勉強するのが普通だという。

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最近ではもっと興味深い指摘も出ている。ジャーナリストのデイヴィッド・グッドハートと経済学者のディートリック・ヴォルラスがそれぞれ別に指摘したもので、最先進諸国はすでに「教育のピーク」に達したかもしれないというのである。経済学的に言えば、人口の半分が大学に進学するようになった時点で、人的資本への投資利益率は低くなっているという。
実際、ほとんどの先進国で学位取得者の収入の優位性が低下してきている。これについてグッドハートは、職場で何を評価し、何に報酬を与えるかを再検討するべきだと述べ、ヴォルラスのほうは、教育のこの状況こそが近年の経済成長鈍化の一因だと述べている。

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モーランド氏の指摘は非常に興味深い。文部科学省の官僚も、政治家も、そして日本国民も、この指摘を真剣に受け止めるべきだろう。もちろん、教育に意味がないとは言わない。だが、あまりに競争的な環境を作り出すことは、子供たちを苦しめるし、「中学受験」という参入障壁によって一流大学の特等席は上流階級に独占されてしまうだろう。

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