世界最強のアメリカ合衆国をつくったもの:領土拡大、ミシシッピ川の水運と五大湖、パナマ運河、英語

アメリカ合衆国ほど、地理的要因に恵まれた国はないと思う。ロシア連邦はアメリカ合衆国よりも広大だが、ほとんどは寒すぎて人が住めない場所だ。これはカナダにも当てはまる。オーストラリアの場合は、巨大な河川がなく、雨量も少ないことから、内陸部には人が住めない。人が住めるのは沿岸部のわずかな都市だけだ。

アメリカ合衆国は、当初、東海岸の13州で建国された。その後、西へと領土を拡大していった。フランスからの買収で中央部を獲得し、メキシコとの戦争に勝利して南西部も獲得した。ロシアからアラスカを買収し、ハワイも併合した。アメリカ合衆国は大陸国だが、両隣はそれほど強大な軍事力を持たないし、好戦的でもない国(カナダとメキシコ)なので、島国のように防衛に優れている(ドイツの場合は、西にフランス、東にロシアという超強大な国家がある)。

そして、決定的に重要なのは、河川(ミシシッピ川)と五大湖の水運だ。ミシシッピ川は水運に都合がよく、内陸部までの輸送が非常に効率的になっている。同じような川はライン川があるが、それよりも遥かに巨大な河川であり、支流も多い。いわば、血管がたくさん通っていて、中央部の内陸まですみずみ輸送できる状態だ。そして、五大湖だ。ここもカナダとの通商や、周辺の工業地帯の輸送として利用されている(最近は五大湖周辺の工業は衰退傾向であるが)。

そして、アメリカ合衆国が幸運だったのは、パナマ運河である。あそこだけ細くなっているので、運河を開通させることに成功した。これが、とてつもないメリットをアメリカ合衆国にもたらした。アメリカは大西洋と太平洋に面しているが、二つの海をつなげることに成功した。これがないと、南アメリカ大陸の南端まわりになってしまう。北極海は巨大な氷で通行不可能だ。

最後に地理的以外の要因を挙げるならば、英語だ。イギリスの植民地であったため、アメリカで使用される言語は英語だ。イギリスは世界中に植民地を保有していたので、アメリカでも使用される英語は、世界で通じる。

これだけの幸運に恵まれたからこそ、建国からの歴史が浅いのに、経済・軍事・国際政治の3つの点で、アメリカ合衆国は世界最強であり続けているのだ。

私は生きているか微妙だが、40年後にインドが台頭しても、アメリカ合衆国の優位は変わらないのかもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?