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Sh制作日記(執筆はじまる)
二十九日
取材で広度寺。副住職、実業家風の俗物也。形式を重んじ表向きは気が利く人間がままこのような俗物に堕する。先祖に対する興味関心をみせる素振りすらみせず、冷笑をするばかり。私も文章を書くのですよ、とPR誌に載せた小学生の作文のごとき文章を披瀝する、無神経な屈託のなさ。要は芸術などというものに興味がないのであろう。寺院では落語会なども開いているようだが、どうでもいい一門の二つ目の落語に優越感
日記(授賞式の日に母脳梗塞で倒れる)
十一月三日
おおむね無感情に授賞式をおえる。感情面からいっても、論理的に考えてみても、私個人のうちではいたって当然のことなのであるが、自らが喜んでいない、ということを不思議に強調せねばおさまりがつかないまで、無感情である。行きがかり上獲った賞である。ただいい文章を書きたいだけだ。夜、帰ると母が寝たきりになっていることを、気配にて知る。
四日
小説の資料集めて帰ると母、寝たきりのままである
日記(「鬼生田貞雄の文学」朱筆期間)
十一月
九分の音楽のなかにあらすじをそらんじている。音楽にプロットを覚えさせて、再生させるとただちに、パラパラ漫画のように展開が流れ、どうじに新しい細部を着想したりすることができる。十月十七日、書き出しを着想してメモをとってあるが、実際に一太郎に向けて書いたのは十一月にはいってからのことだと思う。母が脳梗塞で倒れてからまもなくのことだ。五日に母が入院をし、六日か七日である。なぜだか思い出せない
「T」制作日記(五)三月三日から四月三日
三月三日
黄色い付箋紙が貼られたページめがけてワープロ画面を飛ばし、修正しては、ここも駄目だと頭の中にある駄目なシークエンスをめぐってさらに黄色い付箋紙を貼る。いつもやっていることなのだがなぜか身体が動かない。読書も進んでいない。片をつけねばならない。一気にではなく、一日一日、丹念に取り組むことによって。夜食にキャベツとネギ入れたサッポロ一番塩。