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「BAZZ市長」石丸伸二の早すぎた出馬ーー考察2

5月27日に立憲民主党の蓮舫氏が都知事選出馬を明らかにしました。これで小池氏VS蓮舫氏という構図にメディアが引っ張られるのは確実で、石丸氏ら第三の候補者は劣勢を強いられることになるかもしれません

都知事選では「後出しじゃんけん」が有利と言われています。都市部は風が吹くと投票が伸びる傾向にあるといわれるので、「後出しじゃんけん」ーーつかり出馬宣言が遅いほどーー追風にのり都知事選に突入できると言われているのです。石丸氏がいのいちばんに出馬宣言した心意気は良いと思いますが、いま出馬宣言のときの追風が弱まりつつあります。早く出馬する弊害としては、都知事選前に候補者の粗やマイナスがメディアなどで検証されてしまい、失速につながるという部分があります。そういう意味では石丸氏の早すぎた出馬宣言は、彼の政治キャリアの乏しさを示すものだったといえるかもしれません。


そこで今回は石丸氏については、都知事選前noteでラスト考察をしたいと思います。
 
まず褒めターンとして、石丸氏を新しいリーダーとして持ち上げているかたから紹介し、その背景を見て行きましょう。
 
①   まず「ひろゆき」氏ですね。
 ひろゆき氏は石丸氏の都知事選出馬意向の記事を引用しこうポストしているんですね。
「安芸高田市長の石丸さんが都知事選に出馬。若い人が首長や議員になる流れを作るべきだと思うので、応援しますー」
 
 ただ論破という意味では政治家版ひろゆき氏ともいえる石丸氏ですが、ひろゆき氏はしっかり予防線も張っていて。乙武さんを支持した経験からか、「落ちると思います」とも言ってます。論破王というよりは無責任な風見鶏的ではありますが、若者の絶大なる支持を得るひろゆき氏の応援は心強いものとなるでしょう。
 
②   堀江貴文氏ことホリエモンも、石丸氏の表明ポストを引用して《すばら!》と一言ポストしました。
 
じつは意外と思う方もいるかもしれませんが、ホリエモン東京都政に関心が高い。前回知事選でもホリエモン氏の出馬が取り沙汰され、『東京改造計画』という本まで出しています。

これがなかなか面白い政策集で、「満員電車は高くする」、「大麻解禁」「低用量ピルで女性の働き方改革」などの政策が並び、中身はアレと言う人もいますが「経済」「教育・社会保障」「新型コロナウイルス対策」「都政」「未来の生き方」と5つのテーマについて、東京都への緊急提言37項目が挙げるという気合の入った内容。はたしていま突貫工事で政策を作っているであろう石丸氏が、かつてホリエモンが提唱した政策を取り入れるか否かは注目されるところです。
 
③   古館伊知郎
石丸市長と古館伊知郎氏は、三か月前に古館氏のYouTubeで対談しています。古館氏は石丸市長にメ
ロメロで、孫を褒めるがごとく持ち上げていました。石丸氏も元報ステアンカーの古館氏と対談できて舞い上がっていたのか、『古舘伊知郎さんと対談させて頂きました!これほど「話す」「聞く」に集中した会話は人生で初めてです。会話をしながら、古舘さんの話し方、言葉の選び方に感動しきっています笑。ものすごく緊張した楽しい時間でした😊』とポストしていました。
 
 古館氏との対談での見どころは、古館氏が「アントニオ猪木は死ぬ間際までアントニオ猪木を演じていた」という話をしたときです。強気で知られる石丸氏が涙を流し始めたのです。石丸氏の論破はおそらく演出なんだ、とそのとき僕は思いました。

僕はプロレスファンだったので猪木寛治とアントニオ猪木が別人格であるということは知っていました。それはともかく、そもそも立場ある人間は責任があるので、リーダーである自分を演じる必要があるというのは、大人なら誰しもが理解していることです。それほど深くもない話に涙する石丸氏を見て、彼の人間としてのキャリア不足、もっといえばヒロイズムに酔う厨二病的思考を垣間見た気になりました。


 
その予感を確信に変えてくれたのが、今週の週刊新潮記事でした。大学の友人がこうコメントしているんですね。
 
「(京大時代の)彼はリア充でした。本当にいい人だったので、今の彼の動画を見ていると無理をして自分自身が辛いんじゃないかと心配になります」
 
 
 石丸氏は安芸高田市で財政黒字化、給食費無料などの実績を積み上げました。ひろゆき、ホリエモン、古館氏が応援者かれを改革者だと思っているのでしょう。
 
 
ファンがいればアンチがいる。やはり否定的な有名人もいます。
 
①   その筆頭格が渡瀬祐哉氏です。渡瀬氏は大学院在学時に東国原英夫の宮崎県知事選挙のマニフェスト作成を支援した秀才であり、早稲田大学公共政策研究所招聘研究員を務める政策通です。
 
石丸氏が「小中学校の給食無償かは都で実施したいと考えてます」とのポストをリツィートして、「東京のことを何も知らなさすぎて草。一部の自主的にやらない方針を取っている市以外は、23区を含む東京都内の自治体は既に給食費は税負担化またはその決定がされています。
 
自分の主要政策くらいは、最低限調べてから立候補しましょう。(中略)論外」と鋭い指摘をかましています。安芸高田市の財政黒字化も、レベルが低いとバッサリと切っており、石丸政策を次々と論評・論破している。ご興味あるかたは、ぜひ渡瀬氏のXを見てみてください。
 
②   二人目は大和大学政治経済学部准教授のイザンベール真美さんです。やはりXで石丸評をいくつもポストしています。
 
 
「ニ元代表制の首長が改革を目指すなら市長選挙「後」に行われた安芸高田市議会選挙で自分に賛同する会派に多数議席を獲得させて政策を実行するところまでやれなかったなら意味がない」と断じ、「国家の執政制度として二元代表制をとるフランスのマクロン大統領(着任時に39歳)も橋下徹氏も小池百合子現都知事も自身の新党で多数派を形成している。
議会での多数派形成に失敗したから、彼は市議会議員や新聞記者個人の揚げ足をとってネットで炎上させるポピュリズムに走っているのだと思う」とバッサリ行っています。つまり政治家として未熟である、ということなのだと思います。
 
③   最期の一人は元明石市長・泉房穂氏です。
 
同じくXで「東京都知事は、都民と東京のためにベストを尽くす立場であって、地方のための立候補は違うと思う。明石市長として3期12年間、明石市民と明石のために全身全霊を捧げてきた者としては、1期目の途中で投げ出すことも疑問だ」とコメント。「安芸高田市の市民は納得しているのだろうか」とつづってます
 
同じ市政に従事した立場から「明石市長の3期12年間のうち、最初の数年は“種まき”の時期。その後、“花”が咲き始め、“実”がなったのは最後の段階だ。そして『明石の街は、私がいなくても、もう大丈夫』との思いで、市長を退任した。私が尊敬する先輩市長らも10年は必要と口を揃えて言っていた。私も同感だ」とポストしました。橋本氏が盛んに嚙みついているので、そこのバトルも注目かなと思います。
 
 
批判者のポストと週刊新潮の記事と併せて読むと石丸氏の実像が立体的に感じられるようになります。

批判者の意見を並べてみると、石丸氏は政治家としてはキャリア不足であり、あくまでこれからの政治家であるということがわかります。給食費無料は彼だけの政策ではないし、地方分権は何十年も前から言われていた課題です。『新し顔』の政治家ではあるけれど、政策遂行という意味では『新しい政治家』にはなれていない、というのが現在地なのではないでしょうか。

別に小池氏や蓮舫氏がいいというわけではありません。石丸氏にはキャリアとブレーン、そして政治家としても仲間が必要です。このまま石丸氏が『新しい顔』だけを売りにし続けてしまうと、迷走の末に政治家としてのキャリアが途絶えてしまった東国原氏の二の舞になるのではないか、と危惧をするというだけです。
 
まだ、石丸氏が第二の風を起こす可能性はある。新しい仕掛けは何か、そして石丸旋風が巻き起こるのか、それとも失速するのか、賛否両論をチェックしながら注目してきたいと思います。
 

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