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セルフマネジメント#2ー意思決定を管理する具体的方法  赤井塾10

振り返り 「士業の理想の姿」を実現するために必要な4つの条件

①顧客と他士業から「選ばれる士業」になること

②仕事を効率化すること

③セルフマネジメントを行うこと

④チームを作ること

前回から、3つ目の条件である「セルフマネジメントを行うこと」に入りました。

今回は、その中の「意思決定を管理する具体的方法」について解説をします。

セルフマネジメントとは?

「自らの生き方やライフスタイルを決定し、これを実現するために自分自身を管理すること」です。

自分の思うように人生を過ごし、人生全般を楽しむためには、このセルフマネジメント能力を身につける必要があります

戦略、戦術

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意思決定(決断)する際には、戦略と戦術を立てることが重要です。

まずは、戦略と戦術の2つの違いを理解する必要があります。

これらを区別したうえで、意思決定することのできていない人が多いように思います。

戦略とは、特定の目標を達成するために、総合的な調整を通じて力と資源を効果的に運用する技術・理論のことを意味します。

これに対し、戦術とは、この戦略を実行するための、個々の場面での戦い方を意味します。

要は、ある目標を達成するためには、総合的な計画を立てて決断し、その計画を実現するための個々の場面でのやり方を決定する必要があるということです。

戦略を考えて決定するには、たいへんな労力を要するため、これを決めずに場当たり的な成り行き任せにしてしまったり、戦術を戦略だと勘違いして行動している人が多く見られます。

しかし、これでは、何事も運任せとなってしまい、目標を達成できる確率が低くなります。また、運良く目標が達成できた場合でも、非常に効率が悪くなります。

戦略は、いったん決めれば、簡単に変更はできません。

いったん決めた戦略を変更することは、失敗を意味します。

したがって、戦略を決める際には、熟考に熟考を重ねる必要があります。

なお、熟考に熟考を重ねるとはいっても、ただ単に時間をかけて考えれば良いということではありません。

ここで問題となるのは、量より質であり、限られた時間内で、どこまで深く、真剣に考えられるかが重要です。

戦略決定の方法

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それでは、どのようにして戦略を決定すればよいのでしょうか。

そのポイントは、仮説を立てて考えることです。

特定の目標を達成するための総合的な計画を立てるにあたり、決断をするのに必要となる全ての要素について不確定なものが一つもないということはまれです。

通常は、明らかになっていない事情が少なからずあり、いくつもの不確定な要素がある中で、決断を迫られます。

そのような場合に、不確定な要素に応じて場合分けを始めてしまうと、ものすごい数の選択肢が発生し、その中から一つを選ばなければならなくなります。

しかし、これは至難の業であり、また、あまりにも時間がかかって非効率的です。

そこで、明らかになっていない事情があり、不確定な要素がある中で、自分なりに仮説を立てて考える必要があります。

私の仕事である紛争の解決を例にすると、次のようになります。

まずは、依頼者等からのヒアリング、資料等の精査をして情報を整理します。

そして、断片的かつ少ない情報(ピース)から紛争となっている事件の全体像を想像・推理します。

さらに、その事件の全体像に基づいて、最良の解決策は何なのかという仮説を立てます。

例えば、当事者間で紛争の前提となる事実に争いがあって、互いの言い分も異なっており、その事実を証明する証拠等もまだ不十分な状況下において、現在有している情報のみから、おそらく「こういった」事実であったのであろうとの推論によって事件の全体像を仮定し、そういった事実関係であれば最良の解決策は「これ」である、という仮説を立てるといった感じで考えます。

そのうえで、この仮説による解決策に到達するための最良の方法を選択し、事件の処理計画(戦略)を決めていきます。

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このようにして、戦略が決まれば、次は実行に移していくことになります。

実行に移してからは、最も戦略に即した戦術(やり方)を決めて、行動していくことになります。

ここでは、戦術(やり方)を決定するわけですが、戦術(やり方)については、いったん決めても、個々の場面での状況に応じて臨機応変にこれを変更することが求められます。

行動してみて上手くいかなければ、戦術(やり方)を変えて再度やってみることになりますし、そうするしかありません。

戦術は、個々の場面でのやり方の問題ですから、多くの経験を積むことで、スキルアップしていきます。

経験を積めば、戦術を決定するにあたっての選択肢が徐々に増えていくということです。

例えば、それは交渉のやり方であったり、プレゼンのやり方であったりします。

これらについては、いろいろな場面で、いろいろなやり方を経験することによって、スキルアップしていくということはご理解いただけると思います。

このようにして選択肢が増えると、より戦略に即した戦術を決めることができるようになっていきます。

最善の判断

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行動するためには、その前提として、何をすべきかを考え、決断しなければなりません。

その際、何をすべきかを考えて最善の判断(決断)がしたければ、まずは問題点を整理して、最善の質問を自らの脳に問いかけてください。

脳は、コンピューターなどでは太刀打ちできないほど優秀な装置であり、適切な問いかけさえすれば、きちんと最善の答えを導き出してくれます。

有名な物理学者であるアインシュタインは、「もし、わたしが、ある問題を解決するのに1時間を与えられ、それが人生が変わるような大問題だとすると、そのうち55分は自分が正しい問いに答えているかどうかを確認することに費やすだろう。」との名言を残しています。

これは、アインシュタインが、正しい問いを立てさえすれば正しい答えを導き出すことができると考えていたからにほかなりません。

私も、仕事で難しい問題に直面したときには、問題点を整理して、最も適切な問いを考えるようにしています。すると、お風呂に入っているときなどリラックスしているときに、ふいに解決のためのアイデアを思いつくことがよくあります。

自分なりの判断基準を持つ

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それでも決断するにあたっては、最終的に、複数の選択肢が残り、そのいずれを採用すべきかで迷うことが多いのではないかと思います。

そこで、最終判断で迷ったときの自分なりの判断基準を持つようにしましょう。

これを持っていないと、いつもまでも最終判断で迷ってしまい、結局は行動に出られなくなってしまいます。

周りを見ていると、この最終判断ができないがために、行動をできていない人が少なくありません。

合理的な時間をかけて考えたのであれば、それ以上に迷うのは時間の無駄です。

時間が無駄なだけでなく、下手をすると迷ったがゆえに、タイミングを逃して行動すること自体をあきらめることにもなりかねません。

また、迷わずにすぐ行動をしていれば、いくつかの選択肢を試すことができたのに、迷ったがゆえに、たった1つの選択肢しか試せなくなる可能性もあります。

かく言う私も、実は、かなりの心配性で、優柔不断です。

そこで、私は、自分なりの判断基準を持つようにしました。

それは、最終的に、2つの選択肢が残り、どちらを採用するのかについて、五分五分ないしは四分六分で迷っているのであれば、すぐに困難と思われる方から取りかかるというものです。

この場合、どちらを選んでも大差はなく、もし最初に選ばなかった方が結果的に良かったとしても、先に難しい方から着手していれば、それがダメでも、もう一つの方にシフトしてリカバリーをする時間的余裕のあることが多く、最終的に何とかなるからです。

ただし、そのためには、早く困難な方をやると決めて、すぐに行動に移す必要があります。

要は、早く決めて行動すれば、迷った2つの選択肢の両方を試している時間的余裕を作り出すこともできるということです。

私は、この判断基準を持っただけで、自分の意思決定を管理する力がかなりアップしました。

以上のように、セルフマネジメント能力の中でも、行動の前提となる意思決定過程を自ら管理し、より良い意思決定をすめるための具体的な方法は、

①戦略と戦術の2つの違いを理解し、区別したうえで、意思決定すること

②問題点を整理して、最善の質問を自らの脳に問いかけること

③最終判断で迷ったときの自分なりの判断基準を持つことです。

まとめ

今回は、「士業の理想の姿」を実現するために必要な4つの条件の3つ目、「セルフマネジメントを行うこと」のうち、「意思決定を管理する具体的方法」についてお話しました。

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