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選ばれる士業になるためのセルフブランディング 赤井塾17

今回のテーマ

「士業の理想の姿」を実現するために必要な4つの条件として、既にお伝えしたテーマの中からいくつかの話をセレクトして少し深掘りをしています。

今回は、選ばれる士業になるためのセルフブランディングについてです。

付加価値を高める必要性

士業は、提供するサービスの内容はもちろんですが、その提供者である士業自身も自分の価値を高めて、顧客や顧客を紹介してくれる他士業から選んでもらわなくてはなりません。

そのためには、自分自身の付加価値をどのようにして高めていくのかということも考えなければなりません。

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同じような性能の商品が二つ並んでいるときに、私たちは、どちらが信頼のできるメーカー製のものなのかなどといった付加価値を考慮して、商品を選ぶことが多いのではないでしょうか。

私たち士業は、そもそも提供しているサービスが専門的な内容であるがゆえに、悲しいかな、専門的知識の無いクライアントに、その提供しているサービスの善し悪しなどを的確に判断してもらうことが難しいところがあります。

そして、専門家に頼むのだから、誰に頼んでも提供されるサービスの内容にはそれほど差異がないだろうと思われていることが多いと考えられます。

これは、紹介者となる他士業の先生方でもあまり変わりません。
それぞれが自分の守備範囲については専門家であっても、隣接する他士業の専門分野についてのことは案外分かっていません。ですから、他士業を紹介する際に、紹介する士業の先生が提供するサービスの善し悪しなどを判断することは困難なのです。

この点、本当のところは、同業者であっても、人によって提供するサービスにはかなり差があるというのが実情でしょう。
ですが、その差を実際に分かってもらうことは非常に困難なのです。

付加価値を高めるとは?

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このように本来のサービス内容の差で選んでもらうことが難しいのであれば、サービス提供者の付加価値を高めることによって、「その人の提供するサービスであれば間違いないであろう」という信頼に基づいて選んでもらえるようにすることを考える必要があります。

このように考えるならば、ここでの付加価値は、「その人の提供するサービスであれば間違いないであろう」と信頼してもらえるような、分かり易いものの方が良いということになります。

なので、前にも述べたように、付加価値の中でも、経歴、肩書きなどは非常に分かり易いものとなります。

大学の非常勤講師として~を教えている、教えていた(現・元~大学非常勤講師)と聞けば、誰もが当然にその分野についてのプロフェッショナルだと考えるでしょう。

~に関する書籍を出版しているという場合(著書~)も、同様です。

また、その方の所属している士業の業界で、~の専門家として有名であるとかいうのも、非常に分かり易いところです。

付加価値を高める具体的な方法

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そして、実は以上のようなものは、自分自身の努力で何とかなるものです。

大学の非常勤講師の口なら、普段から自分は~について教えられるということを、自らが所属する士業組織や周りの同業者に話しておいたり、あるいは自分の卒業した大学との繋がり(OB士業の集まりなど)を作っておくことなどが考えられます。

私は、同じ大学出身の先輩弁護士との個人的な繋がりから、まず、出身大学の学部での非常勤講師をさせていただき、その縁で後にロースクールができたときに、ロースクールでも非常勤講師をさせていただきました。


また、書籍の出版については、一時期、周囲の人達にとにかく商業出版をしたいと言い回っていました。そうしたところ、知り合いを介して執筆者を探していた方に声が届き、出版をすることができました。

現在なら、商業出版が難しければ、自らKindle出版をすることもでき、それはそれほど難しくはありません。


そのほか、私は独立した当初に、中小企業法務の仕事をしたいと思い、自ら同業者10名程度に声を掛けて中小企業法務の勉強会を立ち上げ、これを主催しました。
これにより、その同業者のメンバー等から、私が中小企業法務を扱うということが口コミで広がり、徐々に中小企業法務の案件を紹介してもらえるようになっていきました。
ちなみに、このときの勉強会のメンバーのほとんどが、おそらく同様な経過をたどって、現在では中小企業法務を主要業務にしています。

また、各種士業の参加する相続の勉強会も主催していました。
これにより、少なくとも、参加していたメンバーには、私が相続を専門的に扱っているということが伝わったはずです。

このように、付加価値をつける方法として、自ら積極的に勉強会を主催することなどは、自分さえやる気になればできることなので、まだしておられない方には、是非一度挑戦していただきたいと思います。


さらには、専門性からは外れますが、クライアントの話を丁寧にしっかりと聞く人であるというようなことでも付加価値となり得ます。
これは付随的サービスの良さとも言えますが、そういうことが当たり前にできる人、普段から当たり前にしている人という側面からすれば、付加価値とも言えます。

日頃から、他人の話を丁寧にしっかりと聞くということを実践しておくとともに、いわゆるセカンドオピニオンとしての相談であっても聞くということをアピールしておくと良いかもしれません。

私は、損保の代理店さんから交通事故のクライアントを紹介されることがよくありますが、これは主に、この付加価値のおかげです(クライアントにも、「きちんと話しを聞いてくれる弁護士だから」と紹介をしておられるようです)。

損保の代理店さんは、まずはその損保の顧問弁護士のところに事件を回されます。
しかし、その顧問弁護士が、(おそらく忙しくされているからだとは思いますが)きちんと話しを聞いてくれなかったとか、その顧問弁護士からぞんざいな扱いを受けたなどといった不満を持たれるクライアントが一定数おられます。そして、そういったクライアントを紹介していただいているのです。


繰り返しになりますが、以上のように、サービス提供者の付加価値を高める、言い換えればセルフブランディングをすることによって、その人の提供するサービスであれば間違いないであろうという信頼に基き、クライアントや紹介者から選んでもらえるようになるのです。

まとめ

今回は、選ばれる士業になるためのセルフブランディングについてお話しました。

士業は、提供するサービスの内容はもちろんですが、その提供者である士業自身も自分の価値を高めて、顧客や顧客を紹介してくれる他士業から選んでもらわなくてはなりません。

そのためには、自分自身の付加価値をどのようにして高めていくのかということも考えてみて下さい。

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