『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』を観て

アニメをあまり観ない私であるが、スパイファミリーだけは本当に好きで観ている。映画をやっと観に行けたので、感想を書いてみる。

タイトルにもあるようにバチバチに家族の話である。映画では楽しい家族旅行が途中で一変し、家族が危機的な状況に追い込まれるところが描かれる。子のアーニャが機密情報の入ったチップを隠したチョコレートを食べてしまったせいで、彼女は敵に捕まってしまう。それを追って父と母が迎えに行くわけであるが、そこで母のヨルさんが「夫と娘を迎えに来ました」と言う。緊迫した状況下でやや呑気に響くそのセリフには彼女らしさがあって好きである。そして、「主人」ではなく「夫」と言っているのが嬉しかった。

スパイファミリーが描く家族は一風変わっているけれど、理想一直線である。血はつながっていないけれど、常に互いが互いのことを想い合っている。利害関係が一致しているから「家族」でいるのだという前提があっても、それを超えた思いやりや愛があるところに心を洗われるのだ。映画では楽しい家族旅行での互いへのささやかな思いやりが前半で描かれる。その後家族が離れ離れになるが、そこでは各自がそれぞれの能力を最大限に活かし、それぞれの場所で家族のために自分ができる闘いをする。最後には3人が揃って同じ舵を握って力を合わせることになる。これらの奮闘にすごく力をもらえた。この家族、ちぐはぐなようで均衡がとれていて対等なところも素晴らしい。アニメでも、父が任務の都合でアーニャに勉強とかを強制しようとするが、結局はアーニャの本心や彼女なりの頑張りを悟ってハッとして、結局は相手を尊重するという場面が度々あって、そういうシーンが特に人間の腹の底にあるいちばんあたたかい部分を教えてくれているようで好きである。

映画らしいダイナミックな場面から家族の団結する姿までたっぷりじっくり味わわせてくれたこの作品に感謝。

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