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フシギナパラダイス 1話 不思議な道 3/5

目次

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「やったー!私の勝ちね!」

そういって、人だかりの中で大喜びするなるちゃんの姿と、
まさかの敗北で頭を抱える男子二人の姿があった。

一体何があったのか、少し時間を遡って説明しようと思う。

あれから結局、なんの問題もなく学校にたどり着いた。
学校にはすでに大勢の生徒たちが校庭に集まっていて、一箇所に人だかりができていた
そこには手を取り合って喜んでいる人や、落ち込んでいる人、真剣に食い入るように何かを見る人などであふれていた
どうやらすでにクラス替えが発表されているらしい。

自分たちも見に行こうとすると、心矢はぽつりと呟いた

「ねえ、やっぱ賭けやめない?」

「賭け?」

私がなんの話かという視線を送ると「そういえばルイちゃん賭け混ざってなかったわね」
と言ってなるちゃんが説明してくれた

「クラス替えよ、4人一緒のクラスになるか全員バラバラかで賭けしてたの
負けたら勝った方の言う事を聞くって取り決めで」

あぁ、そういえばなるちゃんと洋太でなんかクラス替えの話で喧嘩してたっけ…
てっきり終わった話だと思ってたら、いつの間にか賭け事にまで発展してたんだ…
それに心矢が巻き込まれたわけねかわいそうに
心矢はイヤイヤと首を振ってかけの離脱を宣言するも、なるちゃんがそれを認めない。

「何言ってるのよ、ここで怖気付くなんて男として情けないわよ
…賭けに負けたって死ぬわけじゃないじゃない。」

「その可能性が否定できないのは事実じゃないか!」

「けど、心矢がかけたの誰かとは同じクラスだろ?全員一緒と全員バラバラの間、
一番有利だと思うけどな」

「あのね洋太くん、世の中確率じゃないのよ、奇跡は起きるのよ!」

「だから、その話の決着は二人でつけなよ…
ルイも黙ってないで止めてよ!こんな事で賭けなんて良くないと思わない!?」

「そう言われてもねぇ…」

まぁ確かにかけをするほどのことでもないとは思うけど
おそらくかけを持ちかけたであろうなるちゃんがやる気満々だし…
多分私が何を言ったところでやめないだろう。
それどころか

「あ、そうだ、ルイちゃんも混ざらない?」

火の粉が私にまで回ってきた。
こうなるともう止めるどころの話ではない。
結果的に、私も賭けに混ざることとなり、
「全員同じクラス」がなるちゃん(とほぼ強制的に私)
「全員バラバラ」が洋太「全員は無理だけど何人かは同じクラス」が心矢で
話がまとまった。

こうして各々がクラス分けの掲示物を見に行き、自分の名前を探すこととなった。
私は1組から順番に名前を探しているけれど、なかなか見つからない

「えーっと…き…き…ないなぁ…」

ちなみに私のフルネームは「きのした るい」で、漢字は「木下 涙」と書く。
漢字で名前を書くと「なみだちゃん」と呼ばれてしまうことが多いので、
テストを含めた正式な場以外ではカタカナで「ルイ」って書いてる
だから、他の人と比べると、自分の名前の漢字に見慣れていないので少し探すのに手こずっていたのかもしれない

4組まできて探すのに疲れてきた頃

「あ、あった!」

ようやく自分の名前を見つけた。
近くにいたなるちゃんと洋太が、それを聞いて私のところまでやってきた。

「本当に?あったの?」

「うん、4組。
あ、洋太も4組だったよ」

「え?まじ?」

「うん、ほら」

私は自分の名前の上に「北義 洋太」と表記されている場所を指差す
あいうえお順で、名字が私と同じ「き」から始まるので、洋太の名前を探すのはそんなに苦労しなかった。
それを見るなり、なるちゃんは嬉しそうに

「これで洋太くんは脱落ね」

と肩に手を置きながらそう言った。
その時の洋太はなんとも言えない複雑そうな顔を浮かべていた。


「そう言えば、心矢どこいったの?」

なるちゃんはキョロキョロと辺りを見回した。

「そう言えば…この辺にまだきてないね、どこ行ったんだろう」

心矢のフルネームは「有山 心矢」で「あ」だから、一番最初に見つけられそうなもんなんだけど…
すると「ちょっとどいて〜」という声が少し遠くから聞こえてきた。
人混みをかき分けてようやく出てきたのは、ちょうど今探していた心矢だった。

「遅かったじゃない、何してたの?」

「あっちの方人多くて、こっちまで来るのに時間かかった。
それよりどう?みんなあった?」

「私と洋太は見つけたよ、二人とも4組」

「あ、お前もあったぞ」

洋太にそう言われてみてみると、
確かに四組の一番上に心矢の名前が書かれていた。
これで3人が同じクラスとなった。
あとはなるちゃんが同じクラスかどうかで運命が決まる。

全員なるちゃんのフルネーム「杉野成子」という表記を探した。
男子二人はなるちゃんの名前がないことを願った。
しかし、運命とは非情なり

「あ、あった!私も4組みたい!」

結果的に6クラスもある中、4人全員が同じクラスになるという奇跡を起こした。
かくして、喜ぶなるちゃんと今後の身を案じる男子二人の構図がで出来上がり
今に至る。

「もー、洋太がクラス替えのことで喧嘩するから…どうするのさ」

「仕方ないだろ、4人全員同じクラスの確率なんてかなり低いから、一番ないと思ったし
お前こそ一番ありえそうなこと言っときながら外すなよ」

「それは僕の責任じゃないでしょ!喧嘩始めたそっちが悪い!」

なぜか責任の押し付け合いを始める二人。
負けてからそんなことしても現実は何も変わらないのに…醜い争いだ。
まぁそんなこと言ってられるのは、私が買った側だからなんだけど。

「さて…約束だからいうこと聞いてもらわないとね〜
何してもらおうかしら〜」

ほくほくと、満足げな笑みを浮かべるなるちゃんに危機感を覚えた二人は、

「そういえば、ルイ保健室行ったほうがいいんじゃない?」

「そうだ、頭打ってんだろ?行ったほうがいいって!」

あからさまに話題の方向転換を行った。
けが人を使って…しかもなるちゃんが無視できない話を使うのは少々卑怯な気はする。
とはいえ、心配してくれてるのは事実だろうから私も返事をしないわけにはいかないか。

「うーん…でも私、特になんともないんだよね…痛みも吐き気もないし…
記憶が半日ないくらいだからなぁ…」

「だから、それがまずいって言ってんの」

「確かにそうよねぇ…ルイちゃん、付き添ってあげるから保健室行きましょ」

「え、いいよ付き添いなんて…行くなら一人で行くし」

「そう?」

不安そうに私の顔を見つめるなるちゃん。
普通にしてはいたけど、やっぱり怪我させてしまった責任を感じているらしい。
そもそも実感がないのでそこまで罪悪感を与えてしまうのは逆に申し訳ない
本当に大丈夫なんだけど…安心させるために保健室行ったほうがいいかな

「わかったよ、じゃあ保健室行ってくるから、みんなは先に教室行ってて」

「わかった、無理しないでね」

そう呼びかけられて送り出された私は
こうして私は一人で保健室にへ向かった

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「じゃあ先生、入学式の準備で職員室行くけど…何かあったら呼んでね」

「はい、ありがとうございます。」

そういうと先生は保健室を出て行った。
出血コブなし、でも体調不良ってわけじゃないし大丈夫そうだけど…
保健室じゃ精密な検査できないから、少し寝てなさいという指示があったので
お言葉に甘えてベットで横になることにした。

はぁ、まだ1日始まったばっかりなのに…どっと疲れた…
体感時間はなんかもっと長かったような気がする。
…まぁ、昨日の夕方から記憶が繋がってるんだから当然か

私は他にやることもないので、今朝の出来事を振り返る。

…やっぱ私の考えすぎだったのかな
冷静に考えたらそうだよね、道も神社も突然現れない。
私の記憶がおかしかっただけなんだよね…
これ以上変なこと言って、みんな困らせても行けないし…忘れよ。
あ、でもその前に…

私はポケットの中を弄る。
そこには透明の勾玉があった、さっき神社で会った少年の忘れ物。
あそこの神社が元からあったものなら、あそこに行けば会えるかな…
その時に返せばいいか。

…今頃みんな何してるのかな…クラスに入って、席の確認終わったくらいかな…
まぁ、それは後でいけばわかることだからいいけど…

あ、いけない…なんかだんだん眠たくなってきた。

そういえば、私自分の記憶では丸一日寝てないことになるんだよね。
寝たんだろうけど、寝た記憶がないって意味で。
…先生も、式の時間には呼びに来てくれるって言ってたし、
寝てもいいって言ってたし…入学式でどうせ校長先生の話で眠たくなるし…

少しだけ仮眠取ろうかな。

私はふわぁ…とあくびをすると、1分も経たないうちにスヤスヤと眠りに落ちた。

辺りは真っ暗になった。
当然だ、目を閉じているのだから。
体がなんだかとてもふわふわして…浮いている気分。
当然だ、ふかふかのベッドの上で気持ちよく眠っているんだから。

でも…このチリーンという音はなんだろう。
学校のチャイムではないような…
あぁ、でもこれも当然か…だって寝てるってことは夢なんだもん。

しばらくすると、どこからともなく声が聞こえてきた。
男性の声だ。

「ー、ーこ!」

必死に誰かの名前を呼んでいる…
知らない名前だけど…どうやら私のことらしい。

その声に、私はうっすら目を開ける。
誰だろうと必死に目を凝らすけど、視界がぼやけてよく見えない。
よくわからないけど…多分この声は…男の人。
成人前って感じかな…わかんないけど。

「ーで………ーーーたのに、ーーー、かってーーーー」

必死に何か言ってる、それだけはわかる。
でも、うまく聞き取ることはできなかった。
気がつくと、さっきまではふわふわと心地よかった体が、
ドーンと重くなり、指一本動かすのにすごく苦労した。

なんでだろうと、ゆっくりなんとか指を動かして、自分の体に触れた時
濡れていることに気がついた。

水?

…違う

…これは多分血だ。

なるほど…状況はわかった…
多分、今私は死にそうなんだろう。
だからこんなに体が重くていうこと聞かないんだ。

「ーーー」

相変わらず、相手は何かを言ってる。
でも、もう声を発する力もなくて…
次第にまた辺りは暗くなり、男性の声は聞こえなくなった。

それと同時に、さっきまでの重さはなくなり、
体が軽くなって自由も聞くようになった
どうやら、私は死んだらしい。

こんな夢を見るなんて…よっぽど疲れが溜まってるのか…
頭を打ったことで、体にストレスがかかっていたのか…
どっちにしろ、こんな夢を見るほど疲れてる自分の体をいたわったほうがよさそうだ。

しばらくそうしていると、
またチリーンという音が聞こえてきた。

ふと、音のする方向を見ると、そこには人影があった。
顔どころか姿も見えないけど…
彼女に対して懐かしさというか…親近感というか…既視感というか…
会うのは初めてなのに…とても不思議な感覚だった。

私はあなたは誰かと聞こうとした。
でも私は自分が声をかける前に、向こうから話しかけてきた。

「…もうすぐ」

「え?」

「…時は…きた。」

「…時って…なんの?」

「すぐに…わかるわ…」

そういうと、辺りはだんだん明るくなってその光とともにその人影は消えていく

「待って!」

その声も虚しく、相手には届かない…
そして…目が覚めた。

「…」

私は保健室の天井を見つめた。
夢?なんて聞かなくても、今のが夢であることは自覚できていた。
夢以外の何物でもあるはずがないのだから。

「変な夢だった。」

私は上半身を起こして時計を見ると、結構いい時間になっていることに気がついた。
もうあと少ししないうちに入学式が始まる。
先生まだきてないけど、そろそろ教室に行こうかな…
一応職員室に行って先生に声をかけて…

そんなことを頭で考えていると、突然ポケットが緑色に光り始めた。

「うわっ!な、なにこれ!?」

携帯?懐中電灯?そんな光るもの、私ポケットの中に入れてたっけ?
私は慌ててその光をなんとかしようとした。

ポケットから取り出した光っているそれは、
携帯でも懐中電灯でもなく、まさかの勾玉だった。

「え、これ、あの男の子のやつ…もしかして、これ光るおもちゃとかだったのかな?
どうしよう…もしかして壊しちゃった?大変!」

どのみちこのままにしておけないし、光を止めないと
そう思ってスイッチを探す、でもそんなものはどこにもない。
あたふたして数秒後…その勾玉から、すうっと光が消えた。

「…なんだったんだろう…」

とりあえずホッとしたのもつかの間。
今度は突然、ドーンという大きな音とともに学校が揺れた。
保健室内にある機材や棚、薬品などが賑やかにカタカタと音を鳴らして揺れている。
私はベッドからちょうど降りようとしていたところだったので、
体制を崩さないようベッドの手すりにつかまっていた。

「な、なに今の…地震?」

保健室内は幸いタンスが倒れることはなかったけど、
薬品や小物は倒れて散らばっていた。
結構大きな地震だった…震度いくつくらいだろう。
…余震もあるかもしれないし、ここにとどまっていても仕方ない。
避難指示は出るだろうけど、逃げる準備を…

バーン。

地震の後の行動について必死に考えていると、また大きな音が聞こえた。
でも、今度は揺れがない。
しかも音がさっきと違う…地震…というより、なんか爆発音みたいな…

でも…なんで爆発音なんか聞こえるんだろう、こんな平和な日本で…爆弾なんか…
私は保健室の窓から校庭のの様子を見た

砂埃だろうか、、、それとも霧だろうか、、、、
さっきまであんなに晴れていたはずなのに、あたりは薄暗くなっている上に
曇っていて何も見えない

いや、よく見ると中央あたりに人影が見える
なんか聞こえ続ける爆発音と連動しているようにみえる、
もしかして、あの人が、、、?

「あなた、大丈夫!?今の地震で怪我してない?」

いろいろ考えを巡らせていると、保健室の先生は慌てた様子で私を心配してくれた
とてもありがたいことだけど、今はそれどころではない

「せ、先生、警察を呼んでください!」

「ど、どうしたの急に」

「さっきのは地震じゃありません、校庭にいる人が爆だっんか何かdれ攻撃を!」

私は必死だった、なんとか先生に緊急事態を伝えないとと、、、
でも、先生はポカンとした表情を浮かべた

「、、、どうしたの?、、、もしかして、夢の話?」

「違います!校庭見てください!人がいるんです!」

先生はピンとこない顔だったので、私は窓まで引っ張って人影が見える方を指差して伝えた、でも先生はそれを見ても困惑を浮かべるだけだった

「うーん、、、酷い砂埃だから、私には見えないけど、、、なんかの影じゃない?」

「本当なんです!この爆発音の原因はぜったい、、、」

「爆発音?そんなの聞こえないけど」

「、、、え?」

そのセリフを聞いて今度は私が固まった
聞こえない?聞こえないってどう言うこと?

そんなに小さな爆発音じゃない、普通に聞こえる、耳を塞いでも振動でわかるくらいには、、、

なのに、、、なんで、、、

「、、、頭打ったのよね?、、、やっぱ念のためお医者様に、あ、ちょっと!?」

気づけば私は、保健室を飛び出していた

聞こえないなんて、、、ありえない

でも、じゃあなんで?

先生には聞こえないの?
それとも、、、

「あれ?ルイ、どこいくのさ!」

廊下を走っていると、心矢に呼び止められる
私は勢いを止められず、彼の目の前を通り過ぎてから体に急ブレーキをかけて顔を向ける

「心矢?どうしてここに?」

「様子どうかなと思って、保健室行こうとしてたんだよ、その様子なら大丈夫そうだね」

「うん、おかげさまで、、、心矢だけ?」

「そう、二人ともさっきから見当たらなくてさ、僕でごめんね」

「別にそれはいいけど、、、」

あ、そうだ、心矢に聞いてみれば解決じゃん
この爆発音が心矢にきこえるなら、先生が聞こえないだけ、、、
他の人に訴えれば、誰かが、、、大人が対応してくれるはず

「ねえ心矢!その地震の後から爆発音聞こえるよね?」

半ば同調圧力をあたえて聞く

これで心矢にも聞こえてれば、一緒に説得を、、、

「なに言ってるの?そんなの聞こえないよ?」

残念な事に、やっぱり聞こえるのは私だけ、、、
じゃあ、これは幻聴?
だったら気にすることはない、、、放っておけばいつか止まる。
少なくとも現実に何かおこおることはない、おかしいのは頭をぶつけた影響

でも、、、なんでだろう
すごい胸騒ぎがする、、、なんでかはわかんないけど、、、
放って置いてはいけない、、、そんな気が

「心矢、ありがとう、先戻ってて」

「どこいくのさ」

「ちょっと」

私はもう一度校庭に向かって走り出した、ちゃんと自分の目でなにが起きているのか確かめるために

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