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台湾政治 ”イメージ”のねじれのモヤモヤ

台湾総統選挙が終わった。

選挙は、どこの選挙でも、勝者が出るまでが一番盛り上がり、注目を集める。
台湾政治がどうなっていくのかについても、外国では、次に中国が何か圧力をかけるなどの動きがある時まで、関心は低いかもしれない。なぜなら、台湾の人々のことを知って注目していた人よりも、「対中国」など、国際政治の戦略的な意味合いから注目していた人が多いと思うからだ。

ところで、今日は深い分析などでは全くなく、むしろ少し軽率で恥ずかしいのだが、台湾の二大政党についての「イメージ」の話をメモしておきたい。

これは、台湾を初めて取材した十数年前からずっと私の中でモヤモヤしていたことだ。気持ち悪くてしかたがないので、備忘録として、少しだけ書いておこうと思った。(そのレベルの話のメモなので、ここであまり政治的な話を展開するつもりはありません。ご理解願います。)

人のイメージ。保守っぽい人、リベラルっぽい人、体育会系っぽい人、文化系っぽい人。一人一人は違っても集団になるとなぜか一つのイメージを形成したりする。確かにそうしたイメージは、当たっていることもあるが、誤解や冤罪や差別のもとであり、イメージで人もしくは組織、それこそ国家にしても語ることは、実に浅はかで、ろくでもないものだと思っている。でも、それにしても、なんかモヤモヤしていたのだ。

ちょっと話が遠回りしすぎた。
単刀直入に。そのモヤモヤとは・・・

「民進党の人たちは、日本ならば野党”っぽい”イメージ。対する国民党は自民党”っぽい”イメージの人が多い」

・・・という、勝手で私的なイメージだ。

で、なぜ、モヤモヤかというと、日本で保守的な人は、台湾の民進党政権を支援し、”台湾有事は〜”などと言って精神的な支持さえ示す人も多いが、その民進党は、私が知る限り、人のタイプとしては、日本では野党”っぽい”イメージの人が多く、国民党こそ自民党”っぽい”イメージが強いと、ずっと感じていたからだ。

知り合いの民進党支持の台湾人は、リベラルで、画廊に集まって語ったりしていた。服装もカジュアルで自然体の雰囲気で、上下関係をあまり感じさせない”イメージ”だ。

それに対して、国民党支持者に取材に行った際には、「これどこかで感じた雰囲気だ・・あっ自民党と似てる」と思ったのをはっきり覚えている。うまく言葉にできないが、上下関係や組織の肩書き、秩序に重きが大切にされている”イメージ”を抱いた。

もちろん、台湾は複雑な状況があり、台北と地方で違うことも、地方もそれぞれ特色があることも知っている。でも、ざくっと言うと、そういう”イメージ”を抱いていた。なので、日本などで有事の観点から台湾が語られるたびに、「今彼らが応援している政権より国民党の方が、”人間のタイプ”としては話が合いそうなのにな」と、感じていた。

国民党がなぜ自民党”っぽい”イメージだと私は思ったのか。地方にめぐらされた各組織を通した集票方式が似ていたりするのかもしれない。なお、政権についているかいないか、で人も党も変わることもあるかもしれないし、今回の総統選挙は現地に行っていないので、私には分析する材料や感覚はなく、よくわからない。

しかし、これだけは言えそうだ。

冒頭に書いたように、やはり台湾の外にいるほとんどの人たちは、「対中国」という戦略的な観点から台湾政治を見ている。だから、人のタイプの”イメージ”と、政治的な結びつきは”ねじれ”ることがあるのだろうと。

また、実際は利害関係での結びつきがきっかけだったにしても、人はそこに美しい”物語”を作り、イメージを作ろうとしがちなのかもしれない、と。それは古今東西共通のことだと思う。

そう考えると、やっぱり、人や組織や国を、”イメージ”先行で語るのは、浅はかなことだ。でも、私も含め、私たちはこの”イメージ”という名の怪物にがんじがらめにされている気がする。なかなかやっかいなヤツだ。

その後の台湾はどうなっているだろう。
若者たちが良い”イメージ”を抱いたという、第三の党はどうしているだろう。
これからも、色々な台湾の人に話を聞きながら、ウオッチしていきたいと思う。


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きょうも最後までお読みいただき、ありがとうございました。
AJ😀


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