サークル
広い窓から差し込む光。
青空と深い緑、そして懐かしい煉瓦色の建物。
あったかい。
私の周りの人達がこの空間で笑ってる。それだけであたたかい。
皆が真剣に、楽しそうに、時を過ごしている。
それに、どこか飾らない空気が漂っている。
頑張っている。でも誰も力を張っていない。
それらしく、当たり前のように過ぎていく時間。
忙しい人、暇な人、どれくらいの割合かは分からない。
日々合間をぬって、ここに集まるメンバー達。
仲間と一緒に何かを頑張り続ける姿は、純粋にキラキラして見える。
あの彼女はまだ慣れない楽器を前に、はにかむ。
あの彼は、初心者なのにすまし顔で堂々としている。
物静かだったあの人は、いつしかコミュニティの中心にいる。
おぼつかなかった後輩のあの子は、技術が磨かれ、風格が漂っている。
誰もが、個性と光をもっている。
ストロークを繰り出す右手の動き。柔らかい手つき。力強い手つき。
フレットを行き来する左手。スッとした指先。丸みのある指先。
笛に吹き込む息の強さ。口の形。顔つき。
楽器の音色も、歌声も、みんな違っている。それでいて調和している。
色んな人が色んな気持ちで音楽に向き合っている。
きっといつしか誰かがいなくなり、誰かが入ってくる。
そうしたらこの空間は、また少しちがった雰囲気を纏うだろう。
ただ今この空間があることは、かけがえのないことだと思う。
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