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彼氏(夫)から発達障害を打ち明けられた日、私は自分が振られるかもとおびえていました

発達障害のカミングアウト。

とても勇気のいる事です。

当然、私は彼氏(現在は夫)の話をとても神妙な面持ちで聞いていました。

でもね!

ぶっちゃけますと、私の頭の中は全然神妙ではありませんでした!

今回は夫から発達障害をカミングアウトされた時に(診断確定されたのはこの随分後になりますが)、私が考えていた事のぶっちゃけ話です。彼は私がこんな事を考えていたなんて思いもしなかったでしょう。なにせ彼は「彼女にふられるかもしれない」と真剣に思い悩んでいたのですから。

これ以上私の記憶が薄れる前に覚書として、発達障害をカミングアウトされた側の私が当時何を考えていたのか、こっそりばらしておきます。

私はカミングアウトされる前から彼の発達障害に気づいていました。

当時の事がもう何年も前の話なのでうろ覚えになりつつあるのですが、たぶんこの時はまだお互いの親には会った事がなかったと思います。(もしかしたら、彼のお母さんには会った事があったかも??)ただ遠距離恋愛なので、会う為には結構な距離を旅する事になります。二人とも成人しているとはいえ、旅行先で何かあった時に親が事情を知らないと困るので、それぞれ自分の親に交際している事は伝えてありました。

他のnoteにも書いたと思いますが、私は彼本人が障害に気づくよりずっと前に、付き合いはじめてから3ヶ月ほどで彼に発達障害がある事に気がついていました。気づいたところで彼に対する気持ちに特に変化はなかったので、付き合いは続きました。もし付き合いが続いて結婚する事になった時に、万が一親に反対されるような事になるのは嫌だったので、自分の母親にも彼の障害の事は話してありました。母は元々障害全般について理解のある人だったので「あなたが良いなら良いんじゃない? 覚悟は必要だと思うけれど」という感じで私の考えを受け入れてくれていました。

その日、遠距離恋愛だった私達は、数ヶ月ぶりに私の地元=東京で会いました。

夜行バスでやってきた彼と早朝に合流すると、私が当時まだ実家暮らしだった事もあり、二人で泊まるために予約してあったホテルに荷物を預けてから、デートに出かけました。

彼と二人で1日楽しく過ごし遊び疲れた頃、夕暮れも近づいてきたので、一度ホテルに戻り休憩する事にしました。

ホテルの大きな窓からは、綺麗なオレンジ色の夕焼けが見えていました。お夕飯はどこで食べようか?そんな事をベッドの上に座って夕日を浴びながらぼんやり考えていた時、

彼「あのね、実は君に話さないといけない事があるんだ」

同じくベッドの上に座っていた彼は神妙な顔で言いました。

あ、これは、ふざけちゃいけないやつだ。

ピンときた私も神妙な顔で、

私「どうしたの?」

と聞き返しました。嫌な予感がします。

プロポーズかな?と一瞬考えましたが、こんな暗い顔でプロポーズする人がどこの世界にいるのでしょうか? すぐに自分のお馬鹿な考えを否定して、なんの話をされるのか身構えました。

彼「……」
私「……?」

彼は暗い顔をしたままで、話の続きをしません。

なんだろう? 別れ話かな……?

そんな暗い顔をする原因なんて、それくらいしかないかな、と思いました。でも、その割には楽しく今日1日を過ごしたな、とも思いました。

彼「……」

まさか浮気した?

浮気をするようなタイプではないと思っていましたが、人間は弱い生き物です。遠距離恋愛でしたし、何があってもおかしくありません。

浮気、浮気だったらどうしよう? 許す? 許さない? 事情を聞いてみない事にはその判断はつかないなぁ。とりあえず浮気だったらビンタの一発くらいはする? でも、暴力って良くないよなぁ。というか、結構まめに連絡を取っていたはずだけれど、そもそも浮気しているような時間の隙があったっけ?

私「なんの話?」
彼「……」

いや待てよ。浮気じゃなくて本気? 他に好きな人が出来たから別れたい? そういや、昔、別れ話をメールや電話だけで済ます奴の気持ちがわからない、別れ話をするなら直接会って話すのが誠意だろ、みたいな事を言っていたな。

別れ話をしにわざわざ夜行バスに乗って会いに来たの?? まぁ、生真面目な彼ならやりかねないか。でも、別れ話ならさっさと言って欲しいな、日が暮れてから一人で家に帰るのは辛いし…。

私「……?」

いやいや! なんで別れ話だと私は思い込んでいるんだ!? もうちょっと自分に自信を持て! 別れ話以外に真剣な話だとしたら、なんの話の可能性があるだろう? 考えろ……。

彼「……」

あ! もしや仕事をクビになったとか? 確かにそれなら言いづらいかもしれない。でも、こんなに言い出しづらいものかな? そもそも私としては今の彼の仕事はちょっと稼ぎが少ないから転職して欲しいとひそかに思っていたし、真面目な彼なら雇ってくれるところは他にもあるだろうし、良い機会だからまた新しい仕事を探せば良いだけだと思うけれど……?

私「何か仕事であった? 嫌な事でもあったの?」
彼「いや、仕事の事じゃないんだ」

そうだよね。良く考えたら今の仕事は向いているみたいで順調にやってきていたよね。じゃあ他に? なんだろう。家族が病気とか? 誰かが不治の病とか?

私「どうしたの? そんな暗い顔をして……。家族に何かあったの?」

まさか借金とか? 彼自身は倹約家だし、金銭問題を起こしそうもないけれど、家族が、とか、騙されて連帯保証人になっていた、とかならありそう。連帯保証人にはなっちゃ駄目だよ!とか、彼に言った事はあったっけ? 話しておくべきだったかな? 『連帯保証人には絶対になるな』が私のおばあちゃんの教えなんだよね、って。

彼「違うよ。あのね……」
私「……」
彼「……」

まだ言わないの!?

まどろっこしいなぁ。もう思いつく限り当てずっぽうに聞いちゃおうかな? せっかちなのはあまり良くないかなぁ。

私「どうしたの? 私の事嫌いになった?」
彼「違う」
私「他に好きな人が出来た?」
彼「違うよ」
私「別れたいとか?」
彼「違うよ!」
私「じゃあ何? どんな悪い事でも、言ってみない事には話が進まないよ? とにかく言ってみたら?」
彼「言わなきゃいけないってわかっているんだけれど、でも……」

彼は泣きそうな顔で急に私を抱きしめてきました。

私「どうしたの? 何かあったの??」

私は訳もわからず、とりあえず彼を抱きしめ返しながら、彼が何を言おうとしているのかを一生懸命考えました。そして、ここでようやく思い至りました。

いや、不治の病ではなくて…、そもそもとっくに受け入れていたから忘れていたけれど、もしかして、彼も自分に発達障害があるかもしれない事に気がついたのかな…?

私と別れたいんじゃなくて、発達障害だと打ち明けたらふられるかもしれないと思っているから、こんなに言うのをためらっているのか!

いや、その事なら私もう知っているし! それなら早くカミングアウトして、一緒に夕飯を食べに行こう! 正直私はお腹が空いてきました!

彼「あのね……」
私「うん?」
彼「……」

まだ言わない! まだ言えないのね!?

いや、そりゃそうか…。障害だってわかったらふられちゃうかも、って思っていたら言いにくいよね。

私「……」

もういっそ、私から「気づいていたよ。発達障害の事でしょ?」って言っちゃおうか? でも、違う話だったら困るしなぁ。それに、こういうのって、本人が自分から勇気を持ってカミングアウトしないと意味がないような気がする……。どうなんだろう? 私から知っているよと伝えてしまって、彼が自分自身で勇気を出す機会を奪うのは、彼の為にならないんじゃないかな?

彼「……(泣きそうな顔で私を抱きしめ続けている)」

早く「別れる気はないから大丈夫だよ」と言って、こんなに悩んでいる彼を楽にしてあげたいな。しかし一方で、彼が大事な話を正直に話せる人なのかどうか、私も冷静に彼の人間性を見定めないといけないな。これから先の結婚も考えていく気なら、こういう大事な話はちゃんと打ち明けて欲しい。頑張れ。勇気を出して話すんだ。私は大切な人にちゃんと話そうと考えている貴方の誠実な人間性が好きだぞ。

私「……(わかっているから早くカミングアウトしたら良いんだぞ。私は受け入れているぞ。伝われ。と思いながら彼の背中を撫でている)」

それにもしかしたら、障害をカミングアウトして人に受け入れてもらえるというのは、彼に取って貴重な成功体験の様なものになるんじゃないかな? 出来たら、私との成功体験をきっかけに、自分の障害に負い目や引け目を感じないようになって欲しいなぁ。これだけ言うのに時間がかかるって事は、障害って事をかなり本人が気にしている証拠だよなぁ。

彼「……」

しかし、もう結構時間がたっているんだけれど、これだけ時間がかかると、また別の話な気もしてきたな…。というか、もしかしたら彼は思いつめるあまり、やっぱり別れ話をしようと思っているんじゃないか?

障害がある僕では貴女を幸せに出来ません、別れましょう。みたいな? いや、勝手に結論出すなよ! こちとらずっと気づいていて付き合っていたんだから、そんな事を考えているなら、はよ言え。ソッコー否定してやるから。私の事を障害のあるなし程度で愛が揺らぐような女だと見くびるなよ!

私「……!(彼を抱きしめる手に力が入る)」

いや、待てよ。

発達障害をカミングアウトされたとして、「気づいていたよ」は、どうなんだ?

それこそ「なんで気づいていたならもっと早く教えてくれなかったの?」ってならないか? それが原因で私がふられる、とかあるかな……?

「発達障害だったなんて全然気づかなかったよ! でも、障害なんて関係ないから別れないよ!」

みたいな事を言って笑顔でしらを切りましょうか…?

いや、嘘臭いわ。実際嘘だし。嘘つくのも良くないし、そんなあっさり障害を受け入れたら、向こうも「事の重大さが伝わっていない」とか思うだけで、いずれふられるかも、とか、結局びくびくされる事になるような気がするな。

私「……(自分がふられる可能性を考えてちょっと脱力している)」

あー、でも、発達障害の可能性を気づいていながら指摘しなかった事でふられるのは嫌だなぁー。

でも、仕方ないよなぁ。デリケートな問題過ぎて言いづらかったし、障害があっても今は人生を楽しめている彼にわざわざ「あなた、発達障害じゃない?」と言うのもおかしな気がしたし。彼がいよいよ障害のせいで生きるのに困るような事にならない限りは、障害の事は話さないと判断をしたのは私自身だから、私自身の判断ミスが原因でふられるなら甘んじて受け入れるしかないか……。

発達障害をカミングアウトするのも大変だろうけれど、発達障害じゃない?って指摘するのも難しい問題だよね。下手に指摘して本人の自信を失わせたりするより、周りの私の様な気づいた人間が学んで、良きように工夫やら誘導やらする事の方がよっぽど意味があると思うけれど、しかし、彼自身にも知る権利があるわけだし……。私が考えていた事を説明したら彼は納得してくれるかなぁ。

共に彼と生きていく覚悟のない人間がイタズラに障害を指摘するのは良くないだろうけれど、私は恋人で、将来の事も考えているのだから、勇気を持って指摘するのが愛情だったのかなぁ……。改めて考えても良くわからないなぁ。

……というか、これだけカミングアウトに時間がかかるって事は、彼も『彼女と別れたくない』と、かなり強く思ってくれているって事だよね?

私に「気づいていたよ」と言われたところで、「別れないよ」と私に言われたら、障害を受け入れてもらえた事に安心する気持ちの方が強くて、障害の可能性を指摘してくれなかった事をどうのこうのとか、彼は思わないんじゃないかな? そもそもがあまり他人を非難する性格の人でもないし。

それよりなにより「俺、発達障害なんだ」みたいな事をカミングアウトした時に、なんて返されたら彼は一番嬉しくて、安心出来るんだろうね? ネットで『発達障害 カミングアウト 嬉しかった言葉』とか、そういうワードで検索しておけば良かった。彼がカミングアウトしてくれたら、何がきっかけで気づいたのかも聞いてみたいなぁ。

彼「あのね、実はね……」
私「うん?」
彼「あのね、俺……」

頑張れ!

なんの話かわからないけれど、とにかく発達障害の話なら、私はすでに受け入れているぞ! 大丈夫だから、勇気を出して言うんだ! こちらがふられるのももう覚悟の上だ! 早くしないと、不安で私の胃がキリキリし始めちゃうぞ!

彼「その…」

ああ。もう、本当に辛そうな顔をしているなぁ。気づいてから今日まで、相当悩んだんだろうなぁ。私ともう一緒にいられなくなるかもって思ったら怖いんだろうなぁ。でも、ちゃんと顔をあわせて、正直に伝えたかったんだろうなぁ。まったく、そんなんじゃ今日のデートは純粋に楽しめていたんですか? 今日は1日何を考えて過ごしていたんですか?

しかし、そんなに誠実に思ってもらえていて、私は光栄だよ。私は貴方が正直にカミングアウトしてくれるなら「別れる」なんて絶対に言わないから。全部知ってて今まで付き合ってきたから。頑張れ! 言ったら楽になるぞ!

私「何か言いづらい事があるのかもしれないけれど、思いきって言ってみなよ。なんの話かわからないけれど、とにかく言ってみないと、前にはすすめないよ。私、ちゃんと話を聞くから、言ってみて」
彼「言わなきゃいけないってわかっているんだけれど、これを言ったら、君は離れていっちゃうんじゃないかな、って思ったら怖くて…ごめんね」

うん。たぶんその感じだと、私は離れていかないと思うよ!? やっぱり発達障害の話だよね? それなら大丈夫だよ! ほら! 早く言うんだ! 私のお腹が空気を読めずに『ぐ~』と鳴ってしまう前に! マジで、この状況でお腹が鳴ったら気まずいから、お願いします…。

彼「……!(もう一回抱きしめてくる)」
私「……!(お腹が『ぐ~』と鳴らないように腹筋に力を入れている)」

話しはじめてから結構な時間がたっていたと思います。夕焼けが夜の暗さに覆われかけていた時、彼はようやく体を離して、私の顔を見ると、

彼「俺、たぶん発達障害だと思うんだ」

と話してくれました。

彼「発達障害って知ってる?」
私「うん。知ってる」
彼「俺、テレビで知って…。なんとなくテレビ番組を見ていたら、たまたま発達障害を紹介していて、見ていたら自分にも思い当たる事が凄く多くて、これ自分の事だって思って。そのあと気になってネットでも調べて、ちゃんと検査とか受けたわけじゃないけれど、書いてあった事ほとんど当てはまるから、たぶんそうだと思う」
私「うん」
彼「ごめんね。ちゃんと言わなきゃって思ったんだけれど……」
私「うん」
彼「ごめんね……」
私「なんで謝るの? 何も貴方は悪くないから、謝らなくて良いよ」
彼「隠して付き合うのは良くないって思ったんだけれど、別れたいって言われたらどうしようって思ったら言うの怖くて……」
私「うん」
彼「なかなか言えなくて、ごめんね……」
私「うん。……わかるよ。言うの凄く怖かったよね。勇気だして打ち明けてくれてありがとう。正直に話してくれて、私、嬉しいよ」

泣きそうな彼のギュッと強く握りしめた拳に、私はそっと手を重ねました。

私「私ね、気づいていたの。もしかしたら発達障害なんじゃないかなぁって。結構前から、そうかもなぁって、わかっていたの」
彼「……」
私「私は発達障害かもって知ってて付き合っていたの。だからね、私は貴方が発達障害だから、なんて理由で別れたりしないよ」

唇を噛み締めて涙をこぼした彼につられて、私の目にも涙があふれてきました。

彼「俺、嫌われるかもって思ったらなかなか言い出せなくて……」
私「なんで嫌われるって思うの? 私はそもそも発達障害がある貴方をそこも含めて好きになったんだよ。途中からは、障害の事をわかった上でずっと付き合っていた訳だし……。発達障害を知らなくて好きになって、途中で好きになった人が発達障害だってわかったからって、そこから急に嫌いになるなんて事はないと思うよ? だって、発達障害があるってわかったからって、貴方が急に別の人に変わっちゃった訳じゃないんだよ?」
彼「でも、障害って聞くとそれだけで嫌がる人もいるから……」

涙を流しながら、しぼりだすように彼がそう言いました。

私「それは……言い方が悪いかもしれないけれど、それまで仲良くしていたのに、障害と聞いただけで態度が変わる人がいたら、その人がおかしいんだと私は思うよ」
彼「君も、友達とか、母親とかも……、俺に障害があるとわかったら、みんな離れていっちゃうんじゃないかなって怖くて……」
私「そんな事ないよ。貴方の周りの人はみんな良い人達だよ。みんな障害の事を知らなかったとしても、発達障害がある貴方の事を好きになったんだよ。発達障害がない状態の貴方を好きになった訳じゃないんだよ? 貴方の事をみんな好きで、一緒にいて楽しいって、私も、そう思っているから今ここにいるんだよ。発達障害があるって話しても、みんな『へー』ってくらいの感じだと思うよ。きっと何も変わらないよ」
彼「そうかな……」
私「そうだよ。特にお母さんは貴方の事を嫌いになる事なんかないよ。貴方からお母さんの話を聞いている限り、お母さんは貴方の事を凄く大切に思っているし」
彼「でも、障害があるってわかったあと、親が障害を受け入れられずに、親との仲が上手くいかなくなる人もいるみたいだし……」
私「んー、それは……。もしかしたら『私のせいで』ってお母さんは悩む事があるかもしれないけれど、そうだとしても貴方を嫌いになる事なんかないと思うよ」
彼「それも、それも嫌なんだ……。母親が自分のせいかも、なんて悩むなんて。それも嫌なんだ……」

彼の顔が、ひどく辛そうにゆがみました。

私「……そうだね。誰が悪い訳でもないのにね。お母さんも貴方も悪くないのにね……」

このあと、二人でポロポロ涙を流しながら抱き合ってしばらく泣きました。

私は、彼が発達障害という言葉を知ったあと、ネットで検索してどんな言葉を目にしたのか、これだけ打ち明けるのに苦しんだ彼の姿を見ていると容易に想像がついて、その事を考えると悲しくて、悔しくて、泣いていました。

私「大丈夫。私は離れていったりしないよ。大丈夫」

そんな事を彼の背中を撫でたりしながら繰り返し言っていたように思います。

二人の涙が落ち着いてきたところで、

私「お腹空いたね」
彼「うん」
私「お夕飯、何食べようか? 私ね、実はずっと、貴方の話を聞きながらお腹が鳴らないように我慢していたの」

涙をティッシュでふきながら、私も小さなカミングアウトをして笑いました。

気づけば日はもうすっかり暮れていました。その後は二人とも泣き疲れていたので、外に食べに行くのはやめにして、コンビニか何かで食べ物を買ってきて、ホテルの部屋でテレビを見ながらまったり夕飯を食べました。

後書き

彼の言葉に関してはうろ覚えな部分もあるのですが、あの日の夕日と、私が頭の中で考えていた事は、かなり鮮明に覚えていて、ほとんど書いた通りだったと思います。発達障害に気づいていながら指摘しなかった事について、彼に怒られたりしたらどうしよう、ふられるかな、と思いついてしまった時は、別れたくなくて本当に焦りました。どうやって受け止めたら彼にふられずにすむのか、必死で考えていた事が、今となっては笑えます。

この文章を書きながらふと気になって、夫に改めて「発達障害に気づいていたのに、私が指摘しなかった事、後でムカついたりしなかった?」と聞いてみました。

「別に」と、実に素っ気ない返事でした。夫の本心は良くわかりませんが、今も二人で過ごしている事が答えなのでしょう。

私のように、発達障害をカミングアウトされた時に「ヤバい。発達障害に気づいていたのに言わなかったから、それが原因でふられるかもしれない」と焦った方は他にもいらっしゃいませんかね?

何度考えても、どうしたら良かったのか、答えは良くわかりません。

本当にあの時、ふられなくて良かったです……。

夫いわく、取り分は8(私)対2(夫)という事なので、もしも夫の事を話題にしたnoteでサポートしてくださった場合は、夫にもきちんと分けます。「分け前はまだですか! 先生!」と笑顔で言われる今日この頃です。