結婚前、病名告知された私と、障害に悩む夫の、リアルな会話

結婚前、婚約中に私の拡張型心筋症の確定診断が出ました。今回はその時に私が夫に対して「なんで?」と思ったお話です。障害や持病がある方が結婚を考える時に参考になるかも?(ならないかも?)

私は数年前から自分の体調がおかしいと感じていました。なので、結婚前に自分に病気があるなら明らかにし、病名を伝えてそれでも結婚するのかしないのかきちんと相手に判断してもらうのが、結婚に際しての礼儀であり自身の誠意の示し方であると考え、病院で心臓カテーテル検査(心臓生検)を受けました。

夫にも良い機会なので、投薬治療などの検討材料にする為、一応結婚前に発達障害の診断を受けて欲しかったのですが、先延ばし癖と、そもそも二人の間で「発達障害があるのはほぼ間違い無さそうだね」という認識は一致しており、まだ投薬治療や障害者雇用等は検討していなかったので、この時は先送りにされてしまいました。(問題が起きてからだと色々慌てるので、やはり早目に受診しておいた方が良かったなと今は思っています…)

夫(当時は彼氏)には、前々から私の体調不良の話はしてあり、既に病名の検討はついていたので、検査入院のタイミングも彼に相談してありました。その上で結婚する為に私は退職し夫の元へ転居(東京→広島)してから、新居の近くの病院に前のかかりつけ医からの紹介状を持って相談しに行き、更に紹介状をもらって大きな病院へ検査に行きました。

結果やはり病名が告知されましたが、私は検査内容が思ったより大変だった事と五年生存率等の話をされ「あれ? なんか思ったより大事になっている??」と感じました。(※補足ですが、彼はその時丁度仕事で遠方に行っていた為、診断結果は私一人で聞きました)

元々、私の病名が確定した事で彼が全うな理屈で結婚を躊躇する様であれば、私は大人しく地元に帰るつもりの計画でした(不誠実な事があれば慰謝料をとるつもりで、婚約中である事の合意は取ってから転居しましたw)

検査+投薬治療(アーチスト)の為の2週間ほどの入院から退院し、彼の仕事が落ち着いたところで腰をすえて話し合いの場を持とうと私はしました。

私「大事なお話がありますので、聞いて頂けますか?」
彼「はい?」

お互いに正座して向かい合いました。これは私達の、真面目な話をする時のお約束の体勢ですね。

私「この前簡単に説明しましたが、私には拡張型心筋症という病名がつきました。この病気は突然死のリスクがあり、この前説明した通りお医者さんから五年生存率の話もされました。現状はそこまで心臓が悪い状態ではなく、投薬治療をきちんと続けていれば、悪化も防げて長生き出来るであろうという見込みではありますが、やはり突然死するリスクや先々のリスクについては考えなければならない病気です。私には、二人で一緒に寝て翌朝起きたら隣で心不全で死んでいるかもしれないというリスクがあります。心臓病の影響で子供を持てないかもしれない可能性もあります。それでも貴方は私と結婚しますか?」
彼「……」
私「先々の事も含めて考えて、今もし貴方が、私と結婚しないと判断されるなら、私はいさぎよく身を引きます。私の病気が原因の判断なら、婚約破棄の慰謝料だのなんだのと騒ぐつもりは全くありません。今すぐに結論を出す必要もありません。良く考えて結論を出してください。貴方が一生懸命考えた結果なら、私は素直に受け入れます」 
彼「気にしない。結婚する」
私「(即答してきたな…こりゃちゃんとリスクについて考えられていない可能性があるぞ…)本当に良いの? 私が退職してこちらに引っ越してきた事を気にする必要はないよ? 婚約破棄になるリスクは考えた上で動いているから、地元に帰ったって貯金もあるし私はなんとかなるよ? 一時の感情や同情や惰性で結婚して後々こじれたら、それこそお互いに人生を無駄にする事になるし、良く考えた方が良いよ。もし貴方には何も問題がなかったとして、私の病気が原因で子供を持てなかったとしたら、歳を取って周りが子供の話をしてくるようになった時、貴方は大丈夫? 若い女性と再婚して子を持ちたいとか後で言い出したら、私は怒るよ? そこまで考えられてる? もし別れるなら今の内だよ?」
夫「大丈夫」
私「…いやいや。せめて1日くらい考えてから結論出した方が良いと思うよ? 」
夫「いい!(ちょっとイラついている)」
私「本当に? 結婚するって事で良いの?」
夫「いい! 結婚する!」
私「そう……? まぁ、ありがとう。そう言ってくれるなら、私も早死にする気はないので健康に気をつけて頑張りますね」

夫の場合は『先々の事をリスク等も含め予想して、それにあわせて予定を立てて行く事がやや苦手』という部分があるので、本当に? 大丈夫? という疑問が私の中に残ったのですが、まぁ、一度決めた事はちょっとやそっとじゃ曲げない頑固さも時々発揮するので、そうか、結婚するという決断は曲げる気はないんだなぁと、その時は思いました。

まぁ、元々私の体調不良についてはずっとわかっていた事でもありましたし、今更という部分も大いにあったのでしょう。

と、思ったのに……後日。

夫「発達障害のある俺が結婚なんてして良いのかな……」
私「んんっ!? 別に良いと思うよ!? 発達障害じゃ死なないし!?」
夫「そうかなぁ……」
私「それ言ったら、むしろ心臓病で死亡リスクのある私の方が本当に結婚しても良いものかと思っていますけれど!? 何? 結婚するの嫌になった?!??」
夫「嫌になった訳じゃないよ。君とは一緒にいたいけれど……」
私「私は結婚もせずにダラダラと付き合うつもりはないよ? 私とこの先も一緒にいたいなら結婚しか選択肢はないけれど? 第一、結婚相手の私が発達障害を承知していて結婚で良いって言ってんだし、一緒にいたいなら結婚で良いんじゃないの?」
夫「そうなんだけれど……」
私「?!??」

私の心臓病はあっさり受け入れて結婚すると言い張ったのに、自分の事になると急に弱気になるし、とっくに受け入れている障害の事を持ち出す夫は、私からすれば本当に謎でした。付き合い初めてから七年近くたっているし、超今更じゃないですか???

え??? 私、もう仕事やめて引っ越してきてますけれど??? そこ悩むならもうちょっと前に結論出しといて???

なんで???

というのが、私の感じた事でした。

私が夫の障害を受け入れていても、夫自身がまだ自分の障害を受け止められていないんだなぁとは思いましたが、当時の私に出来た事といえば、私は貴方の障害を承知した上で結婚を選択しているという事、私は貴方と一緒にいて楽しい、だから一緒にいたい、そういうメッセージを送り続ける事だけでした。いまいち夫にこのメッセージが響いていなかった事と、夫の障害に対しての生活上の工夫が足りていなかった部分があった事などが原因で、後々離婚騒動が起きる訳ですが…。

最後に補足ですが「むしろ心臓病で死亡リスクのある私の方が本当に結婚しても良いものかと思っていますけれど!? 」と私は言っていますが、本音はそんな事思っていませんでした。

早死にするリスクは何パーセントかあっても、長生き出来た場合はもちろん夫に私と結婚するメリットはそれなりにあるし、早死にしてしまうなら早死にしてしまうで、それでも夫が結婚したメリットはあったなと思えるように、楽しい結婚生活を送る事と、まとまった額の遺産がちゃんと残る様に貯蓄頑張ろ~くらいに私は思っていました。

デメリットがあっても、それを越えるメリットを提供すれば良いんですよ!(´∇`)

人間なんて、たいしたものでもない小さな事に喜びを見いだせる存在なのだから、そんなに結婚に対しても、身構えなくて大丈夫だと私は思います。

離婚した人が言っていましたけれど『夜眠る時に隣に寝息をたてている人がいる』そんな事がどれだけ幸せな事だったのか、後で気づいたと。そんな事だけでも人はちょっと幸せになれるのだから、良いのです。今の私も、夫がテレビゲームをしてコントローラーをガチャガチャさせている音を聞いて笑っていたりするので、結婚生活ってそんな小さな幸せがあれば充分だと思います。

夫いわく、取り分は8(私)対2(夫)という事なので、もしも夫の事を話題にしたnoteでサポートしてくださった場合は、夫にもきちんと分けます。「分け前はまだですか! 先生!」と笑顔で言われる今日この頃です。