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自然災害と家とお金:4-3-4.河川氾濫 ハザードマップの浸水範囲外だから絶対OK!……それってホント?

よく、「ご自宅が洪水に対して危険かどうかはハザードマップを確認しましょう」という専門家のコメントをニュースで聞くことがあります。
ハザードマップ、見たことあります?

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おはようございます、あじさいです。
珍しく朝に投稿です。
この間の3連休までが緩モード(と勝手に設定)。今回から、自然災害と家とお金シリーズに戻します。
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さて、前回(昨年末)は「家が浸水するのはどこから?」というテーマでお伝えしました。すき間やみぞを塞ごうということでしたね。

前回の記事はこちらから↓

今回は、河川氾濫(洪水)のハザードマップの話です。
「ハザードマップ万能!それって本当?」という話です。
今回はハザードマップがないところに焦点を当ててお届けします。

ハザードマップの浸水範囲外は安全?問題

河川氾濫(洪水)のハザードマップを見たら、うちは浸水範囲外だった!
家のすぐ近くに小さな川があるけど、何も掲載されていないや。
うん、うちは危険じゃないから安心だね♪

これって、本当に危険ではないと言えるでしょうか。

たしかに浸水の可能性が低いとも考えられますが、一方、浸水の可能性があるとも言えます。

ポイントは、「小さな川」

中小河川のハザードマップは発展途上

実は、中小河川でザードマップが制定されているところはまだまだ、限られているんです。だから、ハザードマップがない場所……というのも十分にあり得るんです。


ところで、日本にはいくつの河川が存在するでしょうか?

①約1,500本
②約15,000本
③約35,000本

正解は、③約35,000本! 正確には、35,485本存在します。

出典:国土交通省「河川データブック2020」4-1-2 河川数等より


日本って、河川が非常に多いんです。国と都道府県が管轄の一級、二級河川だけで21,000以上。そして、市区町村管轄の河川である準用河川がさらに14,000以上。とても、全ての河川にハザードマップ……というわけにはいきませんよね。

ハザードマップを作るには、「浸水想定区域図」、どのくらいの雨が降ったときに、どのくらいの深さ・範囲で浸水するか?という図を作る必要があります。そのためには、洪水の浸水想定区域を指定する必要があるのです。

では、日本の河川の何%で浸水想定区域が指定されているでしょうか。

① 約5%
② 約30%
③ 約 50%

正解は③の約5%!2019年10月の段階で約1,700(1,738)河川です。



さすがに国が管理する大きな河川では全て指定されています。
都道府県の管理河川でも、洪水予報河川・水位周知河川という対策の優先度が高い河川が指定されているのですが、浸水想定区域が制定されているのはそのうち8割にとどまっています(想定最大降雨の場合)。

都道府県の管理河川で洪水予報河川・水位周知河川に指定されていない河川(約19,000)では、浸水実績の公表が一部の市区町村にとどまっており、浸水が想定される範囲の周知が進んでいません。

えっ、市区町村が管理する河川……、はい。言わずもがな、ですね。

出典:国土交通省「中小河川の水害リスク評価に関する技術検討会第1回委員会」の資料より(2020年1月開催)

ハザードマップがない河川で河川氾濫が発生した事例

2019年10月に発生した台風19号を例にお伝えします。

台風19号では、宮城、福島、茨城、栃木、埼玉、新潟、長野の各県が管理する河川計67カ所が決壊した。そのうち、水防法に基づき浸水想定区域の指定が必要な「洪水予報河川」「水位周知河川」以外の河川は43カ所に上った。(出典:時事ドットコム2020年1月の記事より)

要は、ハザードマップがない43河川で決壊が発生したんです。
だから、ハザードマップがない=OKではないし、
今まで危なくなかった=大丈夫でもありません!

川が近い=ここ大丈夫!?と疑うことが大切。

いつもはおだやかな川も大雨の時は急に水位が増えて溢れます。

どうやって危険な場所を見つけるの?

これは、ずばり「地形」がカギとなります。
さすが気象庁、分かりやすい資料を見つけましたので以下に示します。

このように、山に挟まれた川の両サイド、「谷底平野」とよばれる地域は特に注意が必要です。

出典:気象庁「流域雨量指数・危険度分布の活用による中小河川の洪水からの避難」

こういった場所での洪水発生例としては、2012年と2017年7月に発生した九州北部豪雨、和歌山県那智川(2011年年8月)岩手県 小本川(2016年8月)福岡県 赤谷川(2017年7月)が挙げられます。


中小河川は、河川の水位が急上昇するのに、水位計によるモニタリングはされていないケースが多く、また、危険な場所というのもなかなか分からないんですよね。だから、その場所が危険かどうか判断するのって難しいんです。

だからこそ、大雨のときは最新情報をニュースで確認すること、河川の水位が低くても対策しておくことが大切!
「川の近くは河川氾濫がおこるもの」として、想定したほうがいいですね。

<<まとめ>>

・ハザードマップの危険区域外=安全ではない!
・浸水が想定される区域が定められている河川はかなり少ない、だからこそ「川の近くだけど大丈夫?」と疑い、備えることが必要!
・中小河川の近くに位置する谷底平野では浸水に注意が必要!

次回で河川氾濫シリーズは最後です!

あじさい

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