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忍び寄るヒカキンの足音

HIKAKIN(ヒカキン)さんを知らない人は居ないだろう。
子供を中心に絶大な人気を誇り、日本で一番知名度があるユーチューバーといって過言ではない。

そんなわけで、うちの子がヒカキンに出会うのも時間の問題なのだろう。そう思って覚悟していた。……いや、していたつもりだった。
実際には、どうやら予想を遥かに超える速度で、我が家はヒカキンさんの魔の手に染められようとしているらしい。

褒められたことではないが、うちの上の子(4歳)はケータイが好きで、Youtubeで動画を良く見ている。

最初は、子供向けのおもちゃの紹介動画から始まって、そこから次から次へと似たような動画を数珠繋ぎにしていた。漢字はおろか、まだひらがなも満足に使いこなせないので、ただ出てきたものを選ぶことしかできないわけだ。

しかし子供の成長は早いもの。

気がついたときには、音声入力というものを使いこなし、ケータイに向かったしゃべりかけている。タイトルをいい加減に覚えていたりもするようだが、十分用を足しているようだった。私だって、音声入力なんてほとんど使ったことがないのに……

そしてそんな中で、ヒカキンさんを始めとするユーチューバーの動画に遭遇することは何度もあった。でも、すぐに悪魔に魂を取り込まれたかといったら、そうではなかった。

どうやら、ギャグというか……「面白い」というものが、まだわからないようで、あまり興味をそそられないまま、プイっと他の動画にいってしまう。ヒカキンさんの血のにじむような努力に支えられ、毎日のように出しているおもしろ動画には、見向きもしなかった。

しめしめ。まだまだうちにヒカキンの波がやってくるのは先の話だな。
一度はそうタカをくくった。

が、これはすぐに裏切られることになる。

原因は、スイッチのソフト『スーパーマリオ オデッセイ』だ。

私は今はちっともゲームをやらないけれど、嫁は違う。
ゼルダのためにゲーム機を買うし、付随して買いたいゲームはちょこちょこ買う。その中にあったのが、件の「スーパーマリオ オデッセイ」であり、何の拍子か、うちの子もこれに興味を持ってしまったのだ。

まだまだ子供にはやれないだろう。

という予測もまた簡単に裏切られる。
簡単なモードであれば、出来るとはいえなくとも、それなりに楽しんでやる。難しいところはこちらに丸投げされるので、面倒も増えるけれど、なんにしろ「ゲーム」というものに非常なる快感を覚えたのは間違いないようだった。

ここ最近は、思い出したように「ゲームやりたい!」と唱える始末。
私だって「ゲームは1日1時間」と言われて育ったし、そんなに手放しでやりっぱなしにさせるのは、さすがに良くないだろう。ちゃんとご飯残さず食べれたら、とか、お手伝いできたら、とか色々条件をつけて、時間を決めてやらせるようにする。

そこまではいい。

問題は「ゲームの実況動画」というものが世の中にはびこっていることだ。そして、件のヒカキンさんは、何の恨みがあるのか「スーパーマリオ オデッセイ」の実況動画にも手を出していたのだ。

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ここまでくれば、勘の良し悪しに関わらず察しがついたと思う。

ゲームをやっているときは、ゲームをやる。ゲームをやっていないときにはヒカキンさんの実況動画を見る。という恐ろしいまでの向上心。まあいいことなのかもしれないけれど、いくらなんでも君は4歳だから、多すぎていいことはない。

問題はもう一つあって、実況動画というのは結構沢山あるし、スーパーマリオ オデッセイだけでも、星の数ほどの動画がある。中には何もしゃべらずにもくもくとゲームをやるものとかもある。

うちでは目が悪くなるから……ということで、Youtubeはテレビに映していることがほとんど。御茶の間には沢山ある実況動画が、頓着無く沢山映し出される。そうやって色々見ると思うのだ。

「やっぱりヒカキンさんは面白いんだな」と。

ゲームの実況動画に関しては、腹を抱えて笑う、というほどのことは無い。無いけれど、純粋に見ていて楽しい。特別ゲームに興味がなくても、不快じゃない。さすがこれは人気あるはずだ、と納得させられる。

そう一度気がついてしまうと、大人としてはどうせ見るなら、出来るだけヒカキンさんの実況を見てほしい。
だって興味も無い、面白くも無いものをずっと見せられるのに比べたら、興味は無いけど、それなりに面白いものを見せられているほうが、何倍もいい。あたりまえだ。

結果、子供の欲求と親のエゴの融合したポイントが、ヒカキンさんという有名ユーチューバーだった、というわけだ。さすが人気者は立ち居地からして勝ち組だ。

そんなわけで、うちでは加速度的にヒカキン濃度が高まっている。
そんな早い時期からユーチューバーに染まってしまって、ユーチューバーになりたいとか言い出したら、正直私はちょっといやだ。プロゲーマーもちょっといやだ。

何気なく見て、あははと笑わせてくれる。
そのくらいの距離感のもので居てほしいのだ。



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「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)