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お盆休みとポークビーンズ。

『今年は帰省をやめようと思う。』

実家に連絡を入れたのは2週間ほど前のことだった。

帰省をやめたからといって何処か行く場所があるわけではないし、仮に行きたいところがあってもどこにも行けないのが今年。

なにもかもを諦めて、自宅で録画した相席食堂を見ていると電話が鳴った。

『今日休み?』

ビデオ通話の画面には、いかにも休日だという格好でスイカを食べる姉が写っていた。

彼女のいる実家のリビングには昼ごはんを食べ終えた祖母と、夏休みだからと遊びに来ていた小学生のいとこがいた。

「夏休みの宿題は終わったの?」

私が聞くと後ろめたそうにニヤニヤしながら

『あと料理するだけ』そう答えた。

小学校の夏休みの宿題に何か料理を作って家族に振る舞う。

という項目があるのだそう。

「どうせやることないんでしょ?冷蔵庫の中見せて」

そう私がいうと、フラフープをしなきゃだの縄跳びダンスを踊ろうかな。だのと文句を言いながら彼女は冷蔵庫の中を見せた。

冷蔵庫にはパプリカににんじん、セロリやごぼう。塩漬けのワカメとかが入っていていかにもなんでも作れそうだった。

「お肉はなにがあるの?」

そう聞くと奥の方で祖母が『豚バラはあるよ』と言っているのが聞こえた。

「じゃあ豚汁にしたら?」

ごぼうとにんじんと大根と豚バラ。

途中でいろんな人にいろんなことを言われるものだから

見るからに不機嫌にはなっていたけれど、

どんどん形になっていく料理に

少しずつ機嫌を取り戻し、気づけば豚汁が画面の向こうで完成していた。

電話を切り、一息つく。

私も豚にしようかな。

暑い夏にさっぱりと食べられる豚料理。

今夜はポークビーンズにすることを決めた。

歩いて2分のスーパーへ行き、豆の水煮とトマト缶、あと豚肉とベーコン。

家に帰ってキッチンに立つ。

じゃがいもを皮をむき、1センチ角に切る。

たまねぎは半分にして層をばらけさせながら1センチ角に切っていく。

にんじんも半分を1センチの色紙切り。

あとベーコンも同じ大きさに。

豚肉は好きな大きさに切っておく。

鍋に油を敷いてたまねぎを透明になるまで炒める。

次はにんじん。油が回ったらベーコン。そしてじゃがいも。

最後に豚肉。


ひたひたになるまで水を入れ、コンソメを1つぶ。

沸騰したらトマト缶を入れて時々混ぜながらさらに煮込む。。。

程よく水分が減ってとろみが出てきたら塩こしょう。そして砂糖も少々。

熱くても冷たくても美味しいポークビーンズ。

最近料理をしなかったけど、

2週間ぶりの料理はそれなりに楽しかった。

お盆休みの豚料理。

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