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ほら、この手を取って(曲目:Light Dance)

10/12。

6:12起床。

天気は曇り。





踊っている夢を見た。


ふらふらと、ふらふらと、足もとおぼつかず。


踊りながら、深く、深く、どこまでも落ちていく夢。


まるで、アリス・リデルだ。


アリスは、踊っていなかったと思うけど。


悪夢を見ることが多かった今日この頃。


「もう少しだけ、眠っていたかった」


そう思ったのは、ひさしぶりだった。


だって、ぼくは踊りたいんだから。


いつまでも、どこまでも、踊っていたいんだから。


(さすがに、『赤い靴』のカーレンになるのはごめんだけど。)


だって、窮屈なんだもの。


どこへも行けやしないんだもの。


ぼくはぼくを、どこへも連れていかないんだもの。


それなら、ここで踊っていたいよ。


くるくる、くるくる、適当なステップを踏んで。


踊っている間、ぼくは自由だ。


何にも邪魔されない。


何にも干渉されない。


(鑑賞されるのもごめんだなあ。)


ぼくだけの舞台。


ぼくのための城。


(城なんて、大げさかなあ。)


「ここは退屈 迎えに来て」って、誰かがいっていたな。


ここって、退屈なのかな。


ぼくって……。


退屈かどうか決めるのは、ぼくでいいよね。


踊っている間は退屈じゃないから、それでいいよね。


『退屈』の反対は……『熱中』?


んん……。そんなに熱いものでもないんだよな。


熱くはない。


冷たくもない。


ぼくを動かしているものは。


『退屈』も『熱中』も届かない場所にある。


正体のわからないそれは、きっとぼくを見下ろしている。


でもぼくは、それに操られているわけじゃない。


ぼくは、マリオネットじゃない。


それは、ぼくを見守っているだけなんだ。


ぼくが、転んだりしないように。


ぼくが、舞台から落ちないように。


たぶん、やさしい奴なんだよ。


姿は見せてくれないけどね。


おかげで、ぼくは安心して踊ることができる。


いつまでも、どこまでも、踊ることができる。


「ここは退屈 迎えに来て」なんて、ぼくはいわないよ。


『退屈』なんて、とっくに忘れてしまったよ。


ずいぶん前に。


きっと、踊りを覚えたときから。


さあ、


ぼくは、ここで踊っているよ。


昨日も、明日も、踊っているよ。


ねえ、


君はどうするの?


ぼくと一緒に踊らない?


たまには、二人もいいかなって。


その気になったなら、


ほら、


この手を取って。

Light Dance/Akira Kosemura(2010年)





「僕だけが、鳴いている」


これは、
ぼくと、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。


連載中。


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