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無差別級!リレー小説⑤りん

「"成って"から、暫く経つでしょ。キミのことも教えてよ」

「僕の話なんて、聞いても面白いことないと思うけど……」

「えー!ワタシの話聞いたのに?キミって秘密主義?」

「別にそうじゃないけど……聞いてつまんなくてもガッカリしない?」

「しないしない!」

「……本当かなぁ」

「ホントホント!」

「じゃ、僕の話、するね。僕は、この街が大嫌いなんだ。あ、もう街は全滅したから、大嫌い"だったから"か。ふふ、過去形って気持ちいいなぁ。」

「何がそんなに嫌だったの?」

「何もかもだよ。僕に分からないように喧嘩をする両親も、気付かないふりして笑う朝も、走る速さでヒエラルキーが決まるくだらない男の子と髪型ばかり気にする女の子しか居ない学校も、両親の諍いを聞こえないふりして眠る夜も、嫌な夢しか見ない夜中も、とにかく、この街で生きていく時に関わる全てが、大嫌いだった。」

「ふーん。それでそれで今は?」

「最高の気分だよ。とくにさっき君が僕以外"成って"ないって教えてくれたから。」

「じゃ、キミのサイコーはワタシのお陰的な?」

「……ま、少しはね。今はつまらない朝食タイムはないし、1人でゆっくり散歩が出来るし、月が冷たくて優しい。」

「あはは、キミってば詩人だねぇ!」

「……馬鹿にしてるの?」

「違うよー!そんなにカリカリしないで!カルシウム足りてないんじゃなぁい?って、ワタシたち、カルシウムもう要らないか!あはは!」

「……。」

「ごめんってばぁ。そんな目で見ないでよ。」

「僕の話はこんなもんだよ。笑ってるってことはガッカリはしてないってことでしょ。さ、もう僕に構うのはよしなよ。」

「怒んないでよー。」

「言ったでしょ。僕は1人でゆっくり散歩したいの。」

「えぇー、ワタシが居るとダメなの?」

「……うん。」

舞台を創ること以外にも創作がしたい、これまで舞台で表現してきた物語や世界をもっと知っていただきたい、楽しんでいただきたい……そんな思いから始めたnoteです。 細々と更新しておりますが、少しでも楽しいをお届けできていれば幸いです。 もしよろしければ、サポートよろしくお願いします!