藍沢迷@読書と創作

藍沢まよゐ(@AizawaMayoi)27歳です。本のキュレーションや本棚のデザインを…

藍沢迷@読書と創作

藍沢まよゐ(@AizawaMayoi)27歳です。本のキュレーションや本棚のデザインを生業としております。本の相談◎、特にその時の感情に浸れるような本の選定を心がけています。映画のシーンに使用されるBGMのように、感情と本のマッチングを支援します。

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  • この読書レビューがすごい2024

    2024年藍沢迷が選ぶ素敵な読書レビューを記録する予定です!

記事一覧

文章を書くのが嫌いな私がnoteを続ける理由

✴︎文章を書くのが嫌いだった昔から文章を書くのが苦手だった。そして嫌いだった。読書感想文も国語のテストも何もかも活字恐怖症だった。くもんも国語だけ早々にやめた。…

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【原作が先か、映画が先か】原作者と映画監督の意図の違いを理解する

小説と映画。同じ物語でも、その表現方法は大きく異なる。原作者と映画監督は、それぞれどのような意図を持って作品を創り上げているのでしょうか。本記事では、両者の視点…

「好きな作家は誰ですか?」への答え方|読書と「わたし」

好きな作家は誰ですか?そう聞かれてうまく答えられない自分がいた。 私は近所に図書館があったこともあり、本棚に並べられている本の中からタイトルと表紙に惹かれて本を…

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【推し文学】 8月に読みたい本!心揺さぶる小説【厳選3冊!】

こんにちは。藍沢 迷です。 2024年7月末日、文学好きとしては紹介せずにはいられない重大ニュースが飛び込んできました! ピューリツァー賞受賞作家シルヴィア・プラスに…

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図書館利用と地域特性:東京都と地方の比較分析

✴︎公共図書館の利用状況の今まずはこの画像を見てほしい。 この画像は、日本図書館協会の資料に基づいており、日本の公共図書館の現状および、地域による図書館利用状況…

「note」とわたし|文章を書く勇気

AIの進歩は凄まじい。2023年から2024年にかけて大幅に進化し、文章生成や校閲、画像生成、作曲など、さまざまなタスクを高精度で行えるようになった。例えば、Julie W. Des…

恋とか、愛とか、好きってなんだ

こんにちは。藍沢 迷です。 「好き」の定義に悩んだことはありませんか?それとも、恋愛に慎重になりすぎて、チャンスを逃してしまった経験は?  私はそんな経験ばかり…

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【読書感想】人生を問う哲学 - 『君のクイズ』

📚2023年本屋大賞ノミネート作品📚 『君のクイズ』 🔍クイズが問いかける人生の真理🔍 ✴︎作品概要小説『君のクイズ』(小川哲著)は、一見単純なクイズ番組の舞台裏を描…

本屋大賞作家から話題の新人まで:7月に読んで良かった本【厳選7冊!!】

こんにちは。藍沢 迷です。 7月はとにかく豊作でした! 新たな本と出会い、そして新たな視点を与えてくれる7冊をご紹介させてください!★は個人的なおすすめ度合い。 ①…

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【最新情報】ジョーカー続編、狂気の予告編解禁!

ついに、世界初公開!! 『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』の予告編が公開されました!!2019年に世界を震撼させ、アカデミー賞主演男優賞および音楽賞を受賞した『ジョー…

小説と映画の両方を楽しむ方法とは

先日、原作と映画どちらを先に手に取るかという話をした。そこで今回は小説と映画の両方を楽しむ方法がないか模索したいと思う。 ✴︎小説と映画を楽しむための方法方法①…

【原作が先か、映画が先か】藤井道人が描く、儚くも美しい愛『余命10年』

先日、『原作が先か、映画が先か』という記事を書いた。思った以上に反響が良く、多くの方が一度は考えたことがあるテーマなのだと実感した。 この機会に、独特の切り取り…

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技術ゼロでGoogleに挑戦!!『インターンシップ』感想

映画『フリーガイ』(2021)でメガホンを取ったショーン・レビィ監督の代表作『インターンシップ』(2013)を観た。コメディなのにストーリー性もあり、学生だけでなく、転職を…

【大解剖】『エレファントヘッド』:ミステリーの常識を覆す衝撃作【ネタバレあり】

🏆『2024本格ミステリ・ベスト10』第1位🏆 『エレファントヘッド』 この謎に触れたら、もう引き返せない 2023年9月、白井智之氏による小説『エレファントヘッド』が刊…

「しおり」と私|読書を巡る記憶

✴︎栞を使わない読書スタイルこんにちは。藍沢迷です。 皆さん、本を読むときに栞を使いますか?私は読書を始めてから一度も栞を使ったことがありません。本に挟まってい…

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原作が先か、映画が先か。

職場でこんな話題が出た。 Aさん「原作を読んでないから『ルックバック』まだ見に行けないわ」 U君「まじすか?見た方が良いですよ」 Aさん「U君は原作読んだの?」 U君…

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文章を書くのが嫌いな私がnoteを続ける理由

✴︎文章を書くのが嫌いだった昔から文章を書くのが苦手だった。そして嫌いだった。読書感想文も国語のテストも何もかも活字恐怖症だった。くもんも国語だけ早々にやめた。 大学生になって始めて書くことになった実験レポート。書き方がわからなくて、提出日の朝4時まで放置していた。提出期限は朝8時45分。今思えば、入学早々に必修を落とす危機だった。何を書けばいいのかわからなかったのだ。振り返ると、実験レポートは形式があるものだった。何回か書いているうちに体裁の整え方や、書き方がわかってきた

【原作が先か、映画が先か】原作者と映画監督の意図の違いを理解する

小説と映画。同じ物語でも、その表現方法は大きく異なる。原作者と映画監督は、それぞれどのような意図を持って作品を創り上げているのでしょうか。本記事では、両者の視点の違いを探ります。 原作者と映画監督は、同じ物語を異なるメディアで表現するクリエイターとして、それぞれ独自の意図や視点を持っている。注目したいのは、小説と映画における表現手法の違い、強調したい箇所の違い、時代背景の反映である。それぞれのメディアの特性を活かした創作方法は、作品の印象に大きな影響を与える。早速見ていこう

「好きな作家は誰ですか?」への答え方|読書と「わたし」

好きな作家は誰ですか?そう聞かれてうまく答えられない自分がいた。 私は近所に図書館があったこともあり、本棚に並べられている本の中からタイトルと表紙に惹かれて本を選ぶことが多かった。そのため、同じ作者さんの本を読むこと自体が稀だった。私にとって読書は、一期一会の出会いであり、作家との対話というよりも、作品そのものと向き合うものだったのだ。 大人になり、読書好きとして周囲から好きな作家を尋ねられる機会が増えた。しかし、印象に残る作品はあっても、その作者さんの他の作品や全体的な

【推し文学】 8月に読みたい本!心揺さぶる小説【厳選3冊!】

こんにちは。藍沢 迷です。 2024年7月末日、文学好きとしては紹介せずにはいられない重大ニュースが飛び込んできました! ピューリツァー賞受賞作家シルヴィア・プラスによる小説『ベル・ジャー』の20年ぶりとなる新訳が発売されたのです! この記事では、2024年個人的に注目の作品を3冊ご紹介したいと思います。直木賞、本屋大賞を受賞した方々による話題の小説も!! それでは早速見ていきましょう〜! ①ガラスの檻の中で、自由を求めて羽ばたく女性◆『ベル・ジャー』シルヴィア・プ

図書館利用と地域特性:東京都と地方の比較分析

✴︎公共図書館の利用状況の今まずはこの画像を見てほしい。 この画像は、日本図書館協会の資料に基づいており、日本の公共図書館の現状および、地域による図書館利用状況の差異を示している。 ✴︎目的近年、図書館の利用状況と地域の特性、さらには学力との関連性について、興味深い傾向が浮かび上がってきている。特に、東京都や滋賀県など、特定の地域で図書館利用率が突出して高いという事実は、教育や文化政策の観点から注目に値する。本レポートでは、これらの現象の背景にある要因を多角的に分析し、図

「note」とわたし|文章を書く勇気

AIの進歩は凄まじい。2023年から2024年にかけて大幅に進化し、文章生成や校閲、画像生成、作曲など、さまざまなタスクを高精度で行えるようになった。例えば、Julie W. Design氏の《INNER CHILD》は作詞・作曲・画像、これら全てAIツールを駆使して作成された楽曲である。 身近なところでも、文章生成AIを活用する機会が増えた。私自身、メールなどの簡易的な文章であれば、0から100まで自分で文章を作成することは少なくなった。例えば、ChatGPTは誤字脱字の

恋とか、愛とか、好きってなんだ

こんにちは。藍沢 迷です。 「好き」の定義に悩んだことはありませんか?それとも、恋愛に慎重になりすぎて、チャンスを逃してしまった経験は?  私はそんな経験ばかり…ここ数年、「LOVE」を囁く生活とは縁遠かった藍沢です。本日もよろしくお願いします。 20代前半の頃は「もう好き!」「付き合って!」と勢いのまま交際していた私。今思えば、相手に恋をしていた以上に恋に恋をしていたのです。(初めて恋愛をしたのが21歳と遅かったのも影響している🤔) それはさておき、20代後半になり

【読書感想】人生を問う哲学 - 『君のクイズ』

📚2023年本屋大賞ノミネート作品📚 『君のクイズ』 🔍クイズが問いかける人生の真理🔍 ✴︎作品概要小説『君のクイズ』(小川哲著)は、一見単純なクイズ番組の舞台裏を描いた物語に見えて、実はクイズの究極の問い「クイズとは何か」に挑んでいる。この小説は、エンターテインメントとしての面白さと、クイズに向き合う若者たちの人生観そのものを描いた稀有な作品といえる。 ✴︎物語の導入が魅力的物語は、クイズ番組「Q-1グランプリ」の決勝戦から始まる。主人公の三島玲央と、その対戦相手で

本屋大賞作家から話題の新人まで:7月に読んで良かった本【厳選7冊!!】

こんにちは。藍沢 迷です。 7月はとにかく豊作でした! 新たな本と出会い、そして新たな視点を与えてくれる7冊をご紹介させてください!★は個人的なおすすめ度合い。 ①「正しさ」の裏側にある、切ない愛の行方★4.3◆『流浪の月』凪良ゆう(2019/8/29発売) 2020年の本屋大賞作『流浪の月』を読んだ。一体どうしてこんな物語が書けるのだろうか。激しく嫉妬してしまった。映像を見ているかのような情景描写の美しさ、登場人物たちの微妙な心の動きを捉える筆致。優しさだけではない現実

【最新情報】ジョーカー続編、狂気の予告編解禁!

ついに、世界初公開!! 『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』の予告編が公開されました!!2019年に世界を震撼させ、アカデミー賞主演男優賞および音楽賞を受賞した『ジョーカー』の続編が、ついに劇場に帰ってきます。 本作のタイトルに含まれる「フォリ・ア・ドゥ」(Folie à Deux)はフランス語で「二人狂い」を意味し、精神医学用語では「感応精神病」として知られています。これは、妄想を持つ人物から親密な関係にある他者へ妄想が感染し、複数人で同じ妄想を共有する現象を指します。

小説と映画の両方を楽しむ方法とは

先日、原作と映画どちらを先に手に取るかという話をした。そこで今回は小説と映画の両方を楽しむ方法がないか模索したいと思う。 ✴︎小説と映画を楽しむための方法方法①:どちらを先に楽しむかを決める 小説を先に読む:小説を先に読むことで、物語の詳細やキャラクターの内面描写をあらかじめ把握できる。小説では主人公以外のキャラクターも丁寧に描けるが、映画では主人公の視点がメインで物語が展開されることが多い。例えば、『ハリー・ポッター』シリーズでは、小説に登場する多くの脇役やサブストーリ

【原作が先か、映画が先か】藤井道人が描く、儚くも美しい愛『余命10年』

先日、『原作が先か、映画が先か』という記事を書いた。思った以上に反響が良く、多くの方が一度は考えたことがあるテーマなのだと実感した。 この機会に、独特の切り取り方で原作小説を映像化した『余命10年』(2022年、藤井道人監督)を紹介したい。本作は、ただの映画ではないのだ。原作を映画として昇華し、また原作にバトンを渡す映画という捉え方をすると評価が変わってくる。 ✴︎映画と原作の関係性映画『余命10年』は、原作を改変しているのに、原作へのリスペクトを忘れていない。それどころ

技術ゼロでGoogleに挑戦!!『インターンシップ』感想

映画『フリーガイ』(2021)でメガホンを取ったショーン・レビィ監督の代表作『インターンシップ』(2013)を観た。コメディなのにストーリー性もあり、学生だけでなく、転職を考えている人や転職したばかりの人、管理職の人まで楽しめる秀逸な構成が魅力的な本作。ここまで世代を超えておすすめできる作品は珍しい。 ✴︎中年の危機腕時計の営業マンとして働いていた、中年のビリーとニック。物語は、彼らの会社が倒産し、職を失うところから始まる。新しい仕事を見つけることができずに落ち込んでいた中

【大解剖】『エレファントヘッド』:ミステリーの常識を覆す衝撃作【ネタバレあり】

🏆『2024本格ミステリ・ベスト10』第1位🏆 『エレファントヘッド』 この謎に触れたら、もう引き返せない 2023年9月、白井智之氏による小説『エレファントヘッド』が刊行され、ミステリー界に激震が走った。 本作は、手にした人々に驚きと困惑、そして時に忌避感をもたらし、新たな読書体験を提供した怪作として話題である。 自分の読書経験を振り返っても『エレファントヘッド』と似た作品は見当たらない。それほどの衝撃だった。 注意:以下、本文にはネタバレが含まれています ✴

「しおり」と私|読書を巡る記憶

✴︎栞を使わない読書スタイルこんにちは。藍沢迷です。 皆さん、本を読むときに栞を使いますか?私は読書を始めてから一度も栞を使ったことがありません。本に挟まっているスピン(紐)さえ不要だと感じていたほどです。 必要ないと思いつつも、響きがなんとも魅力的な「しおり」。語感が好きなんですよね。 本日は、「栞の使い方」についてコメント欄にて交流できれば幸いです。 ✴︎「しおり」とは何か◆しおりの語源 「しおり」という言葉の由来は、実は山道を歩くときの目印と関係があります。「

原作が先か、映画が先か。

職場でこんな話題が出た。 Aさん「原作を読んでないから『ルックバック』まだ見に行けないわ」 U君「まじすか?見た方が良いですよ」 Aさん「U君は原作読んだの?」 U君「いや、原作は読んでないですけど、映画は見に行きました。今一番おすすめなんでとりあえず見た方が良いですよ」 Aさん「原作読まずに見れるわけがない」 こんな話からランチタイムに原作を先に読むか、映画を見るかについて話し合うことになった。 きっかけは「ルックバック」だったが、話し合いは主に小説or映画の流