2022年の振り返りとお礼

はじめのご挨拶

2022年は作品数で言えば4作品、公演数で言えば5公演に関わりました!
それぞれの作品でお世話になった方々、見にきてくださった皆さま、気にかけてくださった皆さまに、心から感謝申し上げます。ありがとうございました!
作品や公演についてほんのり振り返ってまいりますので、気まぐれに、年末の楽しみのはざまに、ちょろっと混ぜてくださったら幸いです。

しあわせ学級崩壊リーディング短編集#1 内『マリヴロンと少女』@BPM/神楽音

所属以来初めての出演作でした。
宮沢賢治の『マリヴロンと少女』は、歌うたいのマリヴロンと、それに憧れる少女ギルダの短い会話を描いたお話です。
過去にしあわせ学級崩壊の作品に出演したこともありましたが、小節単位(16小節の間にセリフをここまで言い終える、という形)ではなく、拍単位でセリフを当てはめる形式ははじめてで、稽古開始時にはちゃんと拍に乗せようとするほどにズレたりダサくなったりすることにめちゃくちゃ悩まされました…
宿題(それぞれのシーンのいちばん良いテイクを録音してひなたさんに送る)とそのフィードバックを経てどうにかこうにか作品が成立したあとは、とにかく楽しく稽古も録音も本番もできたなと思っています。
少女のひたむきで不安定で思い詰めたら止まらないようなありよう、その少女から憧れられるに足るすぐれた歌うたいのマリヴロン、そして宮沢賢治の描く、少女とマリヴロンの心を映し出すような情景を届ける地の文の朗読、その全部にチャレンジできたのはとても豊かな時間でした。

しあわせ学級崩壊リーディング短編集#2内『しおのエクボ』、『よだかの星』@神楽音

ゲストの俳優さんを8名お迎えして、それぞれ4つの有名文学作品と、4つの劇作家さん書き下ろし作品を上演しました。加えて、それぞれの劇団員バージョンも上演し、わたしはほろびての細川洋平さんにご提供いただいた『しおのエクボ』、宮沢賢治の『よだかの星』を担当しました。
『しおのエクボ』は、しおと、語り手であるいっちゃんの会話を描いた物語です。
しおからいっちゃんへの思い、いっちゃんからしおへの思い、2人の関係性と、それが明らかになったあとのラストシーン、ぜんぶを大事に届けるのにとっても苦労したんですが、ふたりの間にしっかりとつながりができたな、と思えてからは、ラストシーンまで一本通ったものができたように感じています ひとりなのにひとりじゃない、不思議で悲しくてあたたかな作品でした。
『よだかの星』は、皆に疎まれいじめられ、鷹にも、名を変えなければ命はないぞと脅されたよだかが、遠くへ行こうと決意するも、星々にも冷たくあしらわれて力尽き、最期は星になってしまう、というお話です。
とにかく、よだかをその決意に至らしめる過程、よだかが星々に訴えかけるシーンからラストシーンまで、の大きなふたつの流れを、音楽に飲まれず・物語だけが主張することもないように推進させることの難しさ!!という感じでした…正直なところ、稽古が終わった段階では、うまくいってるのかな…という気持ちもありましたが、神楽音のステージで見えた景色がひとつの正解だった!と今では思います。

しあわせ学級崩壊リーディング短編集#2内『しおのエクボ』、『よだかの星』 劇団員版上演@time Tokyo

神楽音での上演を終えて、もうおしまいか…さみしいな…と思っていたところに頂いたご縁でした。
白い壁、広々とした空間、街も含めて神楽音とは全く異なる温度を持った場所でそれぞれの作品をやらせていただけたのはとっても豊かな時間でした。
オーナーさんもスタッフの皆さまも温かい方々で、こうやって出会えたことがすごく嬉しかったです。
それと、京王堀之内の駅まで劇団員と歩く道すがら、こんな夜はもうないんだな、と思って突然切なくなったことも、もうここにしか書けないと思うし書き残してしまおうと思います。


演劇ユニットクロジカ旗揚げ公演『蒲田行進曲』@王子小劇場

初挑戦!演出助手!
演劇ユニットクロジカのおふたり(池内理紗さん・吉田覚さん)と、劇団肋骨蜜柑同好会のフジタタイセイさんとはいつかお仕事したい!と一方的に思っていたのですが、ご縁ありお声がけいただきました。
演出助手は初めて、平日はサラリーマン、ちょうど解散公演の日程が千穐楽と重なってしまう…という状況の中でおっかなびっくり走り出し、ご迷惑にならない範囲でなんとか期待に応えられれば…くらいの気持ちでいたのですが、顔合わせで俳優の皆さんの熱にあてられ、もう帰りのバスに乗り込む頃には浮かされたような心持ちでありました。
それでも、わたしに何ができるかしら、という気持ちは残っていましたが、お互いをリスペクトし演劇や作品に対する愛だったり情熱だったり、いや本当のところはわかりかねますがそれでも、何かしら前向きな熱に満ちた稽古場に通うにつれ、わたしの心持ちもどんどん前のめりになっていったような気がしています。
会社の仕事との折り合いをうまくつけられず稽古場に伺えなくて申し訳なく思う日もありましたが、初めての挑戦ながら、わたしのできる最大限の形で作品や座組みに貢献できたのではなかろうか、と振り返った今は思います。

暴力や差別にまみれた『蒲田行進曲』ですが、フジタさんが映画やシナリオ、舞台版を組み合わせて作ったクロジカ版には、人を踏んづけてしか上り詰めて来られなかったスター銀ちゃんの孤独や痛みが力いっぱい書き付けてあると感じます。フジタさんが見せたかったもの、というよりも、つかさんが書いたものをよりビビッドに掘り起こした、のかもしれない、と思いますが!

銀ちゃんに踏みつけられているようでその実、また違う人を踏んづけて生きる大部屋や女優の姿、それだけでなく、本当に例外なく、誰かは誰かの足や背中を踏んづけて生きているんだという痛みのことが書かれていましたが、
それでも、これはぜんぶ作りものでした、目の前にあった世界は全部嘘でした、だけど、これを見て動いたあなたの気持ちは本当だ、と晴れやかに伝えることのできるカーテンコール、あのシーンが好きなんだ…あれが…
もっともっと好きなところを話したいんですがもはや振り返りから趣旨が変わりつつあるのでこのあたりで…!

あたたかく受け入れてくださった座組みの皆さんに、心から感謝しています。
いつかまた出会えるよう、(それが舞台上であったならもっとうれしい!)精進してゆきたいと思います。
配信も販売中ですのでどうかどうか見てほしい!
ぜひ!


しあわせ学級崩壊解散公演@nagomix渋谷

詳しくはこちらの記事につめ込んでしまったのでもうこれ以上は蛇足だろうと思わなくもないですが、少しだけ…

先の『蒲田行進曲』の千穐楽と解散公演が重なってしまい、いろいろとご不便をかけるスケジュールだったにも関わらず、どちらも両立したい!という思いを尊重してくださったクロジカのお2人のおかげで、気持ちよく解散公演に向かうことができました。
当日朝、『しおのエクボ』のリハーサルを終えて、「言うことないです」とひなたさんに言ってもらえてかなり安心したし、自信をもって本番に臨めました。しっかり緊張しましたが…
それでも、やりきった、と思えるくらい本番も楽しめて幸せでした!
作品のご提供をいただいた細川洋平さんにも見ていただけて嬉しかったなあ
各人の作品についてもひとことずつ!
・田中健介『狂人日記』(魯迅):田中健介ここにあり、と言いたくなる自由な姿!絶対に真似できない
・福井夏『小さき者へ』(有島武郎):なっちゃんの凛とした「人生は寂しいなどと私たちはただそう言ってすましていることができるだろうか」のフレーズに泣いた
・大田彩寧『燈籠』(太宰治):思い始めたら止まらない恋心の激しさ、それが消えてしまって家族を顧みるときの穏やかな心持ち、その鮮やかさにやられた
・福井夏『よだかの星』(宮沢賢治):はじまったその瞬間からぐいぐい物語を引っ張っていくなっちゃんの存在感!さすがすぎる
・林揚羽『蹂躙を蹂躙』(綾門優季):身を切るような切なさを感じていたのがこの日はより色濃くて苦しかったなあ
・林揚羽『この朝を墓標として』(綾門優季):おなじみになったこの作品も聞くたびいろんな表情を見せてくれる 「いってらっしゃい」は生活の中にあるちょっとした別れの挨拶だったりするよな、などとおもう
・源馬大地『架空の生活』(屋代秀樹):久しぶりの出演ながら堂々たる姿でさすが大地さんだと思ったな
・大田彩寧『野球部とドライブ』(大石晟雄):語り手の女性が野球部の少年にかけてあげる言葉が好き 勝手なところもあるなと思うけど、「大丈夫」にこもる祈りを感じる
・村山新『唯ぼんやりした幸福』(僻みひなた):これを背負えたのは新さんしかいなかった 僻みひなたの重すぎる愛情 こんなまっすぐな言葉選びと音楽でお別れされたら気持ちよく送り出すしかないじゃんねえ

公演以外のこと

今年の抱負はこれでした
・元気でいること
・誠実でいること(そのために、好きなこと、もの、ひとをちゃんと大事にすること)

まずは元気だった(コロナになったり、落ち込んだりもしたけど、総じて)!
誠実であったかどうかはちょっと自己採点が難しいところですが、
わたしのまわりに素敵な人たちがたくさんいてくださったこと、そうした方々とたくさん新たに出会えたことは、1年間好きなことやものやひとを大切にしてこられたからかな、と思います
引き続き誠実さは大切にやってゆきたいものだ!がんばります!

締めのご挨拶

長々と書いてしまいましたがここまでお付き合いくださりありがとうございました!
別れもあり出会いもあり、新たな挑戦もあり、総じて濃くて楽しい一年になりました。
それはほんとに、こうしてnoteを読んでくださる、わたしのことを見守ったり面白がってくださる皆さまのおかげです。
2022年、本当にありがとうございました!
2023年もどうかどうか、よろしくお願いいたします!
よいお年をお迎えください♡

クロジカ蒲田でご縁のあった池内理紗さん(https://twitter.com/haop9?s=21&t=LR0pmQ9lw9X0FSYcRkkfpw)に撮影いただいた、かわいいわたしでご挨拶!
まだお写真あるよ〜おひろめまってて!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?