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#58 三つ足のカエル と 本能寺

二年前に京都を訪れ、織田信長が討たれた本能寺(現在は再建された本能寺が移転された別の場所)の宝物殿にある唐銅香炉「三足の蛙(みつあしのかえる)」を見に行きました。「本能寺の変」が起こる前の晩、香炉のカエルが鳴き始めて異変を知らせたという伝説があります。泣き止まないので、”蜀江(しょっこう)錦(にしき)”の布をかけて泣き止ませたというお話もあるそうです。(危険を知らせるブザーが鳴っても、それに気づく側が対処できないと、何事も対応できないですね。ただ、カエルが突然泣き始めて止まらなければ、自分ならどうするかと言われたら??そこから逃げるとは思わないですね。京都で一番安全と思える場所に滞在していた信長にすれば。)

 この”三つ足のカエル”は中国の”唐”より伝来したもので、”長寿”と”
”吉兆”をもたらす中国の幻獣、”せんじょう”がモデルだそうです。(ヒキガエルに似ているようです。)三本足なのは、前と左右にある財をかき集め、くわえこむからという説があるようです。三本足のカラス、”八咫烏”(やたがらす)も、中国の三本足の鳥”三足烏”(さんそくう)に由来するとかしないとか、、。とにかく、3は特別の数で、通常4本足や2本足の生き物が3になると、特別な能力を持つというシナリオが古来よりあるようです。

 ちなみに、本能寺に接した敷地(境内?)に「ホテル本能寺」があり、驚きました。万城目学さんの「本能寺ホテル」と語順が違うだけです。宿泊するわけでないので中を見学させてもらいませんでしたが、きっと、エレベータに乗るのには勇気がいることでしょう。(これ以上は、書けません。)

 さて、本能寺の帰り、すぐ近くの寺町二条にある錫(すず)製品を扱うお店(清課堂)にも立ち寄りました。そのころ、錫製品に凝っていて(?)ウェブでいろいろ検索していたら、本能寺の近くに仏具などを古くから扱っている創業180周年を記念して製作された限定品「銀香炉 三足の蛙」を見に足を延ばしたのでした。こちらの”三つ足のカエル”は、限定18個・定価50万円(税抜き)でした!! とても買えません。訪れた時にはまだ売れ残っていて(こんなに高い小さな置物、そうはたくさん売れんだろうなー)と思っていたら、ちゃんと完売していました。(富裕層の方々が経済を回してくれているのを感じます。)展示品を見ると、確かに精巧・緻密でよくできています。はっきり言って、本物よりきれいでした。(銀製だから当たり前ですが。)180年目の気概(きがい)・やる気あふれる工芸品・美術品でした。

 私の仕事場の本棚には、本能寺の宝物館売店で買った、三つ足カエルの置物が静かに”鎮座”(ちんざ)しています。いまだに泣くことはありません。もし泣いて止まらなくなったら、すぐに逃げるつもりです。(本当?)、、、、、 お後がよろしいようで。